【指間炎(趾間皮膚炎)とは】
脚の肉球や指と指の間、水かき部分に炎症が起こった状態のことで、皮膚が赤くなり、腫れます。状況によっては血やうみがたまって患部が膨らみ、それが破裂します。早期に発見・治療ができれば症状は軽度で済みますが、症状が悪化してしまった場合は壊死した皮膚を取り除く外科手術が必要になることがあります。また、指間炎は再発して慢性化するので根気よく付き合うことが求められます。うちのキャバリアは、初めて指間炎にかかった時、患部が破裂しました。その際の出血はかなり多く、その量は慌てるレベルでした。そして毎年暑くなると肉球の間が赤くなり患部からうみが出てしまっていました。今は様子を見ながらステロイドを服用して症状が悪化する前に治すようにしています。かかりつけの病院の先生と相談しながら長期戦の覚悟で治療に当たった方がよい病気だと思います。
(犬の脚裏は汗腺が発達しているので汗が出ます。うちのキャバリアは夏に脚裏に汗をかき、それが蒸れているのかもしれません。)
【指間炎が怪しまれる初期の症状】
歩き方がいつもと違うときは注意が必要です。いつもは普通に歩いているのに、脚をかばうように歩く時があります。また、一つの脚を執拗になめている時も要注意です。そんな時、肉球や指と指の間を見てみると皮膚が赤くなっていることがあります。皮膚が赤くなっている方の脚を触るととても嫌がります。その症状が現れたら悪化する前に対策を取った方がよいです。肉球に不快感や違和感があると犬はその箇所を執拗になめたり噛んだりします。炎症を起こすとかゆみが出るのでなめたり噛んだりするのです。肉球をなめたり噛んだりすると患部が湿った状態になり細菌が繁殖しやすくなりますので、炎症が進み、症状が悪化していきます。うちのキャバリアは一つの脚を執拗になめ、その後なめた方の脚を地面につけることを嫌がり、脚を空中でブラブラさせてしまうことがありました。そんな時はいつも動物病院のお世話になっています。
【指間炎の原因】
指間炎の原因には以下のものがあります。
・外傷
・皮膚炎
・爪の疾患(炎症)
・ストレス
・汚れによる炎症
・感染症
・やけど
【指間炎の予防策】
犬の指間炎は原因がはっきりと判明せず、効果的な治療法がなかなか見つからないこともあるようです。ただ、事前に指間炎にならないように飼い主が注意してあげることはできます。以下、予防策をご参考にしていただければ幸いです。
〈やけどを防ぐ〉
高温のアスファルトの上を散歩すると脚をやけどしてしまいます。夏の散歩は要注意です。加えて、近年は地球温暖化で夏でなくても夏の様に暑い日が続いています。暑い日のアスファルトの温度は50℃以上に達します。暑いと感じる時は散歩の前に地面を触って、その温度を確かめてから散歩に連れて行ってあげるようにしなければなりません。また、早朝だから大丈夫と思っても地面を触ると熱いことが多々あります。日陰を散歩させてあげましょう。犬はやけどをするとそれを治そうと患部をなめてしまいます。そうしますと患部に雑菌が繁殖し、炎症が悪化していくことになります。散歩に行く前に、必ず地面の温度を確かめましょう。なお、うちのキャバリアはやけどから指間炎になった時に大量出血に至ってしまっています。
〈なめることを防ぐ〉
脚をなめる癖のある犬は指間炎になりやすいです。犬はストレスを感じると身体の色々な部分をなめて気を紛らわそうとするので、コミュニケーションをしっかりととってあげることが指間炎を防ぐ一つの方法となります。また暇を持て余し飼い主の気を引こうとして脚をなめる犬もいるので、脚をなめないようにしつけてあげることも大切です。脚を頻繁になめている時にはエリザベスカラーをつけてあげるのも一つの手段だと思います。ただ、例えばうちのキャバリアはエリザベスカラーをつけると明らかにテンションが下がります。飼い主としては、そんな様子を見ると可愛そうになります。またエリザベスカラーの種類によってはお留守番中に自分で外したりすることもあります。エリザベスカラーの使用するかしないか、どのエリザベスカラーを使うのかは飼い主の判断が求められます。
〈肉球の外傷を防ぐ〉
肉球が傷つくと、患部を気にしてなめて指間炎になります。肉球の外傷には気を付ける必要があります。道路には色々なものが落ちていますので、散歩中に小石やガラス片を踏んで傷ついてしまうことがないように注意してあげましょう。肉球が傷つかないようにする方法として、靴や靴下をはかせてあげてから散歩するもの手です。(うちのキャバリアは靴や靴下をはくのを非常に嫌がり、自分で脱いでしまいます。これもおそらく犬の個性があると思います。)また、散歩から帰ったらウエットティッシュ等で優しく汚れを取ってあげるとともに、脚の裏の状態を確認してあげましょう。
脚の裏を毛刈りする際にも注意が必要です。バリカン負けしてしまい、犬がその箇所を気にしてなめたり噛んだりしてしまうことがあります。もし指間炎を経験している犬であれば、トリミングの時にそのことを伝え、肉球の毛(指の間の毛)をどれくらいカットするのかトリマーさんと相談するのが良いです。
〈濡れたままにしない〉
肉球を濡れたまま放置することも指間炎の原因になる可能性があります。雨の日に散歩をすると、指の間に汚れが入ります。指の間に入った泥や小石が指の間を傷つけてしまうこともあります。水たまりには雑菌もいますのでその点考慮が必要です。散歩で脚の裏が濡れてしまったら汚れを取って乾かしてあげましょう。
〈肉球を清潔に保つ〉
家の中も清潔に保ってあげたいです。飼育スペースに抜け毛や排泄物があると、そこから菌が発生します。また、アトピー性皮膚炎から指間炎になることもありますので、家の中でダニ・ハウスダスト・花粉が極力ない状態にしてあげたいものです。
【動物病院での治療】
薬物治療として、炎症を抑える抗炎症剤や抗生剤などの外用薬(ビクタス軟膏・リンデロン軟膏)やステロイド剤などの内服薬が処方されます。
外用薬を塗ったところを犬が気にしてなめてしまうこともありますので、状況によってはエリザベスカラーをしてあげる必要があります。エリザベスカラーは多くの動物病院でレンタルしています(エリザベスカラーは使用していると汚れてくるので定期的に綺麗にしてあげましょう)。
なお、内服薬のステロイドは甲状腺(T4)に影響を与えます。うちのキャバリアはステロイド服用の影響により血液検査でT4が異常値をしめし、大事には至りませんでしたが一時心臓の機能が低下してしまうと肝を冷やしました。指間炎の治療は、動物病院で状況を診ていただきながら対応することがマストですし、かかりつけの動物病院で診ていただくと他の症状ともトータルで判断していただけるので、なお安心です。
飼い主の中では、指間炎の対応として、犬の皮膚病に効果的とされる薬浴をしたり、免疫力をアップさせるサプリメント(アガリクス)を使用したりする方もいらっしゃるようです。
うちのキャバリアが指間炎で出血した時の状況はこちらをご覧ください。
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