本日はドラッグストアの現状と動線計画の基本に関して記載します。
まず、ドラッグストアが消費者からどのような位置づけで見られているのか、流通経済研究所が東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県在住の女性消費者を対象として2006年に実施したアンケート結果から、考察してみます。まずドラッグストアの利用頻度ですが「週に1日程度(31.2%)」「月に2~3日(34.6%)」という回答が多く、スーパーやコンビニと比較するとその利用頻度は低くなっているということです。これは購買頻度の比較的少ない日用品・化粧品・医薬品などを中心にしているためです。続いてドラッグストアの主利用店までの所要時間に関して。この結果は「5~10分未満(43.4%)」「5分未満(25.1%)」と比較的近場のドラッグストアが選ばれているということがわかります。消費者がドラッグストアを利用するに当たり最も重視する項目としても「自宅や勤務先が近いこと」がトップとなっています。この消費者の重視項目で「自宅や勤務先が近い」ということに次いでランクされているのが「特売をよくしている」「全般に価格が安い」「ポイントカードの特典を受けられる」といった項目となり、消費者が低価格販売を期待しているという結果も表れています。
そもそも、ドラッグストアは医薬品販売で競争が穏やかで値下げの圧力が少なく、高い利益を上げられます。それを原資に食品や日用品を安売りして集客を図ることが出来ます。2001年度に約3兆円だったドラッグストアの業界売上高は2012年度に約6兆円にまで成長しています。2012年度の売上高も増加しているようですが、これは大手チェーンを中心に新規出店が過去最大規模になったこともありますが、それに加え、各社が集客に役立つ食品カテゴリーを充実させたことで、スーパーなどから消費者を奪ったことが要因としてあるようです。
さて、ドラッグストアにおいて買上点数が増えるような動線計画に関して記載します。来店前にその商品を買うことを決めていた者が商品購入者のうちどの程度あるか(計画率)と、その商品を買う者が来店客のうちどの程度あるか(購入率)という視点で見ます。ドラッグストアにおいて、計画率が高く購入率も高い商品には“トイレットペーパー”“シャンプー”“基礎化粧品”“ベビー用おむつ”“生理用品”があります。まずこれらの商品を分散して配置し客動線を伸ばします。そして計画率は低いが購入率が高い、ついで買いを誘えるような商品である“スナック菓子”や“歯ブラシ”を、先ほどの計画率が高く購入率も高い商品と商品の間をつなぐ動線上に配置し、ついで買いを誘発していきます。以上、基本的なドラッグストアにおける動線計画になります。
成長を遂げているドラッグストアですが、来春からは薬事法改正によって大衆薬の99.8%がインターネットでの販売が可能となります。販売規制に守られて高い利益率を誇ってきた大衆薬にも、今後価格競争の波が襲いかかります。これにより、業界での競争の激化・淘汰が起こってくることも想定できます。今後、生き残りをかけて各社が様々な施策を打ち出してくるだろうと思われます。
(参考文献 インストアマーチャンダイジング)