アマゾンとその秘密主義

本日はアマゾンとその秘密主義に関して記載します。

アマゾンは1994年にウォールストリートの金融機関で働いていたジェフ・ベゾス氏が「Cadabra.com」を設立し、1995年にアマゾン・ドット・コムの営業を開始したことに始まります。アマゾンのサイトは「いかに安く販売するか」ということに力が入れられています。低価格で商品を販売することで顧客満足度を上げるということが企業の考え方の前提にあり、アメリカで最大のライバルはウォルマートだと言われているそうです。アマゾンの売上高は非常に大きく、2011年12月期の数字を見ると3兆7375億円となっています。メインは、自社で商品を仕入れて顧客に販売する直販モデルを採っていますが、前期のように売上高が非常に大きいので、そのバイイングパワーを活用して商品を安く仕入れることが出来るようです。また、低価格での販売により売上を拡大するべく、大規模な物流センターを各地に建設し物流機能の向上による効率化を図ったり、利益を減らしてでも「送料無料キャンペーン」を行ったりしています。その様な状況なので、営業利益率はそれほど高くなく、2011年12月期で1.8%。売上高100円当たりのコスト構造で見ると売上原価が77.6円とコストの大部分を占めているようです。

ビジネスモデルとして、先ほど記載した直販モデルをとっていることに加え、利用者の好みにあった商品を薦めるレコメンドにも力を入れています。一番購買する確率が高い商品から順番に商品を薦めることにより、消費者に複数の商品を同時に購入してもらえれば一括放送ができ、運送費を減らすことが出来るからです。また最近では、個人や企業が手数料を払ってアマゾンで商品を販売する、マーケットプレイスにも力を入れています。それに付随してフルフィルメントと言われる、マーケットプレイスで商品を販売している出品者に付随するサービスで、出品者の商品在庫の管理・注文処理・出荷・カスタマーサービスまで代行するサービスも行っています。アマゾンはマーケットプレイスの拡大を目論み、日本国内では2013年夏に神奈川県小田原市に国内最大のフルフィルメントセンター(物流センター)を12か所目として稼働させています。

このアマゾンですが、製品の販売状況や今後の戦略についてほとんど発表することがなく、秘密主義だと言われることがあるそうです。アマゾンは自社のサービスを提供するときには「顧客を出発点にして、そこからさかのぼる」「発明と革新を進め、先駆者になることを目指す」「長期的な視野に立つ」という3つの視点を大切にしてきたそうです。サービスを提供するに当たり、「いつまでにサービスを開始しなければならない」という立ち位置ではなく、「クオリティの高いサービスを提供することが必要」という考えを持って行動しているということです。今後の戦略などを投資家に伝えてしまえば、その時発言した内容に沿った行動を期限までに実施しなければならなくなります。サービスのクオリティを高めるためにあえて秘密主義という立ち位置を採っているようです。

アマゾンのサービスのクオリティを高める考え方の中に日本のトヨタ方式の「カイゼン」があるそうです。目の前に見えている問題点だけを解決するのではなく、その裏にある根本的な原因を取り除く。そういった取り組みを進めるには時間がかかる。そのためにあえての秘密主義を採る。長期的なビジョンでみて、しっかりしたサービスを提供していこうというアマゾンの姿勢が伺えます。

 (参考文献 ビジネスモデル分析術)

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