東武百貨店池袋本店の店内ミニツアーから見る百貨店の接客の変化

本日は東武百貨店池袋本店の店内ミニツアーから見る百貨店の接客の変化に関して記載します。

 近年、小売業において接客の変化が見られると言います。セルフ販売をメインとする業態ではVMDを充実させたり、デジタルサイネージなどの情報通信技術を活用して、合理化を図り人頭効率を良くするような動きが見られる一方で、接客販売業態では商品の探索段階にコンシェルジュを配置したり、商品の比較・選択段階に専門人材によるコンサルティング拠点を設けたりして、個々の顧客に対応するような動きが見られると言います。確かに食品スーパーのいなげやがデジタルサイネージを積極的に取り入れたり、ユニクロがVMDの徹底を図っていたりということが見られる一方で、百貨店においてはコンシェルジュを配置し手厚い接客で中高年層を囲い込もうとしている動きもあると言います。

 東武百貨店池袋本店においては店内ミニツアーを開催しています。この企画は2010年6月17日から始めているそうですが、好評を博しているといいます。この企画の内容としては、東武百貨店側が毎回テーマを決め、そのテーマに沿って関連の売場を複数選び、参加する顧客(毎回10名程度)を案内し、それぞれの売場でバイヤーや専門販売員が商品の品質・機能の特徴・こだわりや開発の背景・仕組みなどを詳しく説明していきます。所要時間は約2時間。参加費は無料。商品試験室で施設の概要説明や電子顕微鏡による検査なども見ることができたりすることもあるようです。ツアー中は商品の売り込みは一切せずに説明のみとなります。東武百貨店池袋本店はかなり広いので(売場面積、約83,000平方メートル)、その点を強みとしてツアーに活かしているのかもしれません。この企画は、従来からある百貨店の丁寧な接客ということのみならず、“顧客に様々な商品・ブランドを発見できる、楽しさ・知識欲を満たす”というサービスを提供していると言えます。

 接客というと、かつてはモノの販売に付随する、顧客に対する丁寧さであったりおもてなしの精神であったりということが取り上げられることがメインでした。確かにこの部分は今でも重要な部分です。しかし現在のようにモノで満たされている時代においては、企業が接客を通じて顧客にいかに価値を提供していけるか、という部分も大切になってきているようです。

 (参考文献 全国百貨店の店舗戦略2011)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です