出店エリアのセグメント化

本日は出店エリアのセグメント(ドミナント化)を行っているオオゼキに関して記載します。

 過去にオオゼキに行ったことがあり、その際は一見、普通の食品スーパーマーケットに見えました。しかしながら、実はこの企業はすごいようです。今まで出店した35店舗中、過去に1店も閉店したことがなく、経常利益率に関しても同業他社と比較して7~8%(2~3倍も)あるそうです。

オオゼキは商圏として比較的高額所得者が多い東急線や小田急線の沿線のエリアに出店。ビジネス展開をする際に最適な「エリア」と「そこに暮らす住民」の両者に焦点を合わせて、市場を細分化し、ドミナント出店。独自のマーケティングを展開しています。セブン-イレブンが当初その出店エリアを東京都江東区に絞って成功したように、オオゼキは高額所得者の多い世田谷エリアにドミナント出店することにより成果を収めているようです。また、出店の際には初期投資額も居抜き物件をそのまま借り入れるようにして最小限に抑えるようにしているそうです。

 食品スーパーマーケットは、人件費や家賃などの固定費が毎月出費されています。それを踏まえ人件費を抑えるためにパートタイマーの比率を高めることが不可欠だという専門家がいるそうです。固定費を減らすことにより不景気を乗り切る体力をつけ苦しい経営環境を乗り切ろうという施策なのでしょう。しかしながら、オオゼキは正社員の比率が7割程度とその採用者数を増やしていると言います。パート社員に必要とされる採用や教育、配置などに関わるコストを考えると、正社員の方が割安と同社は考えているようです。事実、こうした人材面での投資が功を奏し、一般的な食品スーパーマーケットの廃棄ロス率が3~4%とされる中で、同社は正社員の細かい対応により何と0.1%以下と言われています。

 地域を細分化しドミナント出店を行うことは、そのエリアに住む人々に企業名を認識してもらう上で非常に重要ですし、商品の運送にかかるコストも削減することができます。リアル店舗を出店する際は、商圏内の人口・導線、生活者の所得水準と言った内容から、どこに出店するかによって、出店後の売上に影響することから、慎重を要します。出店した後の戦略を含めて、新規出店する際にはどこに出店するかは非常に重要なのです。また、オオゼキの例から同業他社が行っているから自分たちも追随するという姿勢ではなく、独自に正しいと思う戦略を採ることにより、より多くの利益を得ることができるということもあることは押さえておく必要がありそうです。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)

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