iPhoneから見るライフサイクル

ライフサイクルに関して記載します。

iPhone5sとiPhone5cが2013年9月20日に販売されることが決定しました。それを持ってついに、3キャリア(ドコモ、KDDI、ソフトバンク)揃い踏みで、iPhoneを販売することになったわけです。上記のようなiPhoneの販売体制が組まれ、iPhoneが盤石かというと、そう言いきれない部分もあります。

【iPhoneから見る“ライフサイクル”】

『「2022-これから10年、活躍できる人の条件」 神田昌典著 2012年2月第1刷発行』にこう記載されています。

■iPhone5の販売時期は2013年6月、iPhone6は2014年6月、iPhone7は2015年4月。■iPhone5の後半モデルから多色展開。

1番目の予想に関してはiPhone5の販売時期が2012年の9月ですから、想定より早く市場に投入され、iPhone6の前に5s/5cという新機種が投入されています。2番目の予想に関しては当たっていてiPhone5cは5色展開です。神田氏はこのタイミングに関して累計販売台数をライフサイクルの成長カーブに当てはめて予想したようです。

【ライフサイクルとは】

モノにはライフサイクルがあり、導入期・成長期・成熟期と進んでいきやがて衰退します。立ち上がり時期である導入期はゆっくり成長し、成長期で一気に伸びで、成熟期で成長は鈍化します。この曲線のことを成長カーブといい、またS字型を描いているので、S字曲線とも言います。イノベーションが起きて新たな成長局面に入らない限り、成熟期に入ったモノは衰退していくのです。

iPhoneの販売台数の伸びが鈍化するにしたがって、新機種登場のタイミングが早くなり、そのままで行けば、例えばウエアラブル端末のような、他の新たな形態の登場し、そのうち世間ではiPhone自体あまり見られなくなってくるという状態になってくることも想定されます。その前にアップルがどのように手を打ち、新たな成長カーブを描いていくのかということは、重要な戦略となると思われます。

カクヤスの出店戦略

酒屋チェーンのカクヤスの出店戦略に関して記載します。

 東京23区に集中出店しているカクヤスというお酒のチェーン店があります。このチェーン店はビール1本でも2時間以内に無料配達してくれます。このことを可能にしている要因は、23区内を中心に250店舗という、非常に多くの店舗を出店することにより、近くの店から目的の場所まで配達することができる、ということです。つまり店舗を密集かつ適切に配置することによりそのことを可能としていると思われます。

カクヤスは1999年に着想し、2004年までは赤字だったようですが、今や東京の酒類販売シェア11%を持つチェーン店にまで成長しています。

このような多店舗出店することによりお客様の利便性を高めるスタイルは、はじめは厳しい状況に置かれやすいですが、一定の期間を乗り切れば軌道に乗るということでしょうか。店舗を“販売をするお店”として考えるだけでなく、お客様のお宅へ宅配する商品のための“倉庫”としても活用し成功している面白い事例だと思います。

行動経済学 双曲型割引

行動経済学『双曲型割引』に関して記載します。

 例えば今日、暑いさなか、非常にハードだった仕事を終えて、疲れ果てていて、どうしてもビールを飲みに行って疲れを癒したいという状態に陥ったとします。ホッピーでもウーロンハイでもなく、ビールでなければダメな気分です。

その際に、キンキンに冷えた1杯ビールが600円で販売していました。他の店までは距離もあるし、なかなか行けないと想定します。やっと店の中に入り、ビールを頼むと店員のお姉さんが「今日飲むのを我慢していただければ、明日には600円で2杯にサービスしますよ。」と言ってきます。

多くの人が、そう言われても、今、飲みたいのであって、明日まで待ちたくないので、そんな割引サービスはきっぱりとお断りすると思います。

 今度はもっと長い時間で考えて、「50日後はビール1杯600円ですが、51日後はサービスデーなので2杯セットで600円ですよ。」と言われれば、ほとんどの人が、わざわざ50日後にビールは飲みに行かず、51日後にビールを飲みに行くと思います。

 以上のように、僕たちは近い将来に対してはせっかちに手に入れようとし、遠い将来に対しては我慢強く安くなるのを待つことができます。このようなことを行動経済学で双曲型割引というそうです。

この欲しいと思うレベルに“時間”が影響してくるというのは面白い考え方です。

 (参考文献 行動経済学の基本がわかる本)

店舗レイアウト 買物をする際のお客様の目線

買物をする際の“お客様の目線”に関して記載します。

お店に行った時、店の前の方に背の高い什器が置かれているということが、たまにありますが、店の什器の高さは工夫が必要です。お客様は、店内に踏み入れた時に全体を見渡して、どんな店かを判断するからです。ですので、店の前の方に背の高い什器があると、全体を見渡すことができず、店の奥に進んでいこうという気にならないということにつながります。奥の方に何の商品があるのか見渡せるように売場レイアウトを工夫することが必要です。

また、お客様の視界は、左右90cm、上下50cmが基本です。ターゲット顧客をイメージしてその高さで主力商品の陳列を行うことが効果的です。

お客様目線で考える。まさしく、目の位置は重要ということでしょう。

 (参考文献:繁盛店が必ずやっている商品陳列最強のルール)

回転寿司から見る廃棄ロスに関して

回転寿司から見る廃棄ロスに関して記載します。

 過日、久々に職場の近くにある回転寿司に食べに行ったのですが、回転寿司屋にもかかわらず、お寿司は一個も回っておらず、代わりに商品POPがくるくるとコンベアの上を回転していました。結局最後まで寿司が回ることはありませんでした。

これは廃棄ロスを踏まえての対応と考えられます。

例えば「あきんどスシロー」という回転寿司のチェーン店があります(売上高1133億円、経常利益66億円(2012年9月期)、1店舗当たりの客席は約200席、売上高は3億円。かっぱ寿司やくら寿司と競い、売上高トップにもなっている規模の回転寿司チェーン)が、この「あきんどスシロー」は業界の中でも廃棄率が少ないということでも有名です。

通常、回転寿司は先に「これが売れるだろう」と見込んで商品を生産します。ですので、その商品がお客様から選ばれなかった場合、鮮度が落ちて、時間が経てば捨てられてしまう運命を辿ります。よく、回転寿司で何回も目の前を回ってカピカピになっている寿司を見ることがありますが、そういった商品は最終的に廃棄されてしまうのです。回転寿司には上記のような廃棄ロスがどうしても出てきてしまいます。この廃棄率、業界の平均は4~5%です。ところが「あきんどスシロー」は廃棄率が約1.5%です。

このように廃棄率が低いのには理由があります。それは回転寿司にインターフォンをつけたのです。回転寿司なのに普通の寿司屋同様、商品を受注してから生産するようにし始めたのです。また、お客様が入店するごとに大人と子供の人数をコンピュータ入力し、そのデータをもとにバックヤードのモニターに、時間帯別に投入すべき寿司の種類と量が表示されるようにもしています。

 廃棄ロスは利益率を低下させてしまうものですので、企業ごとにいろいろと工夫がされているようです。また、無駄を省くために常に工夫し続けていくことが必要です。いずれにしても、寿司がカピカピだった時の残念な思いは、あまりしたくないものです。

 (参考文献 小売・流通業が知らなきゃいけない物流の知識)

行動経済学 現状維持バイアス

行動経済学の「現状維持バイアス」について記載します。

 現状維持バイアスとは、人は現状を好む傾向にあることを言います。

プロスペクト理論という理論がありますが、人は1万円のお金をギャンブルでかけて1万円得するというものには、あまり参加しません。1万円をかけて2万円とか2万5千円とかの儲けがでれば、そのギャンブルに参加する人が増えていきます。人は同じ額であれば、得をするよりも損をする方がダメージを大きく感じるのです。

このようなことから、過去のやり方を捨てて新たな道を選ぶという行為にはリスクが高いと人は感じてしまいます。結果、人は新たな一歩を踏み出すことをせず、現状を好む傾向が強くなるのです。これを行動経済学では現状維持バイアスといいます。

しかし、この現状維持バイアスの傾向は非常に良くないことを引き起こす可能性があります。カエルを水の中に入れて、その水を徐々に熱していくと、カエルは熱がることもなく、やがて死んでしまうそうです。現状維持を続けたことによって、結果、危機を回避できず最悪の事態を招いたのです。

 現状を維持・前年踏襲は一見安全なように見えますが、現状維持は危険をはらんでいる可能性があることも十分に頭に入れておく必要があります。

 (参考文献 行動経済学の基本がわかる本)

ダイシン百貨店

ダイシン百貨店に関して記載します。

 随分前にダイシン百貨店に行ったのですが、場所はJR京浜東北線の大森駅から徒歩10分くらい、昔ながらの商店街を抜けていくと、ダイシン百貨店があります。2010年に工事を始め、1年半くらい前の2012年春にグランドオープンしています。

【特徴1.日本百貨店協会には加盟していない“百貨店”】

ダイシン百貨店はいろいろとユニークなお店です。まず、百貨店と名乗ってはいますが伊勢丹や三越などが加盟している日本百貨店協会には加盟していません。ですので、百貨店の売上を日本百貨店協会から調べたとしても、その中にダイシン百貨店の売上は入っていないこととなります。

【特徴2.超・地域密着経営】

同店は「半径500メートル圏内シェア100%」という方針を打ち出し、「電気、水道、ガス、ダイシン」をキャッチフレーズに、超・地元密着経営を実践しています。その結果、来店客の7割を占める50歳以上のお客様の160名が1日も欠かさずダイシン百貨店に来店すると言います。

【特徴3.品揃えの多さ】

品揃えのアイテム数が非常に多いという特徴もあります。そのアイテム数は18万点(なお、東急ハンズ渋谷店のアイテム数16万5,000点)。ペットフードは3,000種類。トイレットペーパーが50種類。ネズミ取り、ヤニ取りハミガキから年に4個しか売れない洗顔料「うぐいすの粉」まで、高齢者に向けて昔懐かしい商品も様々取り揃えています。インターネット通販でロングテール理論(あまりたくさん売れていないアイテムでも積み重なると大きな売上を作り上げる)という話がありますが、ダイシン百貨店はリアル店舗でこのロングテール理論を実践しているのです。

【特徴4.高額商品をしっかり販売】

また、安売り一辺倒のようなことも行わず、“生鮮売場で尾頭付きの鯛やカレイ”“精肉売場で100グラム2000円の神戸牛”“衣料品売場で20~50万円のカシミアや毛皮のコート”というアイテムも販売。全ての売場が自前で行っているため、商品知識が豊富な社員が丁寧に接客することで、高額商品の販売にもつながっているそうです。

 日本の小売業は商圏の拡大一辺倒で売場面積の拡大を図ってきました。しかしながら時代は移り変わり、店舗面積当たりの売上高は減少傾向にあり、店舗面積を拡大することが必ずしもメリットがあるとは言い切れない時代となってきていると言えます。ダイシン百貨店のように小商圏で生き残りをかける戦略は、今後の小売業の形の一つとなっていくと思われます。

 (参考文献 “下町百貨店・ダイシン”はなぜ、不況に強いのか)

テレビショッピング

テレビショッピングに関して記載します。

 昔、テレビショッピングを通じてビリーズ・ブートキャンプが流行りました。あのビリーの厳しい中に優しさのある指導と激しい動きに惹かれて、僕も購入したのですが、1ヶ月も続けていると、なかなかいい感じで体脂肪が減ったものです。他にもおなかでぶるぶるいわせて痩せるEMSとかもありました。グルコサミンとかスチームクリーナーとか真珠のネックレスとか、買うわけではないけどついつい見てしまう、不思議な魅力がテレビショッピングにはあります。

そもそも、テレビショッピングの多くはアメリカで生まれたノウハウ「インフォマーシャル(インフォメーションとコマーシャルを組み合わせた言葉)」という制作手法を活用していて、情報提供しながらコマーシャルをしていきます。このインフォマーシャルという手法では前半・中盤・後半でどのような内容を提供するかというノウハウが確立されていて、日本で放送されているものは日本流にアレンジして番組提供がなされているそうです。

カタログ通販がカタログの制作費にお金をかけるように、テレビ通販では番組制作にお金を投資しますが、テレビ通販の会社によって、いくつかのビジネスモデルがあります。

(1)テレビ番組内での通販コーナーで販売する会社。例:日本文化センターや日本直販。

(2)テレビ番組自体を買って通販を行うモデル。例:ディノス(フジテレビ子会社)、ジャパネットたかた、オークローンマーケティング。

(3)自社で専門のチャンネルを持ち、生放送で商品を説明して販売する会社。例:QVCやジュピターチャンネル(SHOP CHANNEL)。※自社内にスタジオを持って24時間放送を行っています。

なお、テレビショッピングの場合、販売する側のメリットとして、ネット通販とは異なり、商品が単品のため、梱包場所や検品場所が少なくて済むということがあるようです。

 同じ内容を繰り返し流しているテレビショッピングもついつい見てしまったりしてしまう時があります。あの実演販売的な面白さが魅力なのかもしれません。

色のイメージに関して

季節と色は不思議とイメージが結びついているものです。以下、簡単に春夏秋冬を象徴するような色について記載します。

■春の色:花が咲き新緑であふれる時期。ピンク系や黄緑系が春をイメージするのにはよいです。また、ペールトーンやブライトトーンと言われる、元の色に白い色を多めに混ぜた色の組み合わせをすると春っぽさが表現できます。

■夏の色:ぎらぎら太陽が照りつけるこの時期。青・赤・黄色といったはっきりした色(ビビッドトーン)を使うと夏っぽさを演出できます。また、コントラストをつけると良いです。

■秋の色:収穫の時期、紅葉の時期。この時期を表す色はベージュ、茶、黄土色、カーキなどのナチュラルカラーです。ディープトーン、ダルトーン、ダークトーン(元となる色に黒、もしくは濃い灰色を混ぜたような色)を使うと良いです。

■冬の色:冬は寒い閉塞された感じのする時期です。イメージカラーとしては白、グレイ、アイボリーなどのモノトーンの色がこの時期を表現するのには良いです。

 上記のように色の使い方で四季を感じさせることができます。

また、季節感を出す以外にも、商品ディスプレイを行う際に色を意識して配置するとイメージ通りのディスプレイを作り上げることができます。以下、簡単に記載します。

■メルヘンティック(ロマンティックで可憐で優しい表現):淡いパステルトーンやオフニュートラルカラー、クリーム、ピンク系などで柔らかい雰囲気に配色します。

■ナチュラル(自然派志向の配色):ベージュ、アイボリー系を中心にトーンを微妙に変化させると良いです。草木のイメージ。

■エレガント(上品で優雅、しなやかな気品の良さと都会的な感覚):グレイッシュカラー(元の色にグレイがたくさん混じった色)を中心にコントラストを抑えて配色。ラベンダーなど低彩度の紫系を用いると高級感がでます。

■シック(知的で奥ゆかしく、あか抜けした雰囲気):地味なグレイやグレイッシュカラーを基調にまとめると良い。適度なコントラストが必要になります。

■クラシック(伝統的な雰囲気):黒やブラウン系、ボルドー、暗いグリーンなどを使います。暖色系の深みのある濃い色や中間色が中心となり、同一トーンや類似トーンでまとめます。

■ダンディ(しゃれて格調高く、落ち着いた渋い感覚):ブラウン、ダークグレー、暗い色調の青紫などハードな色を基本に落ち着いた濁色使いでまとめます。

■ポップ(自由で明るい雰囲気):清色調(元の色に白を混ぜた色)の鮮やかな色を中心に、色相コントラストで色と色をぶつけ合い明快なリズム感を出す。

■スタイリッシュモダン(ハイテク調のシャープな雰囲気):濃いブルー系やグリーン系にモノトーンやニュートラルカラーを組み合わせてコントラスト感を強調します。

 色使いだけでいろいろとイメージが変わりますので、ぜひ活用したいものです。

店産店消

「店産店消」に関して記載します。

 「地産地消」という、地元でできたものを食べるという話を聞くようになりましたが、今では「店産店消」というコンセプトの店まで登場してきています。例えば、日本サブウェイは2010年7月に東京駅にある丸ビルの地下に「813LAB」という、店の中に植物工場がある店を出店しました。植物工場では、太陽光の代わりに人口工でレタスを照らし、49日間で収穫に至るようになっています。新鮮で安全な野菜をその場でお客様に提供できるというわけです。店内はこの植物工場のレタスを見ながら食事ができるようになっています。

 地産地消や上記の店産店消をコンセプトにする店が増えてきていると聞きます。この目的としては物流時にかかる二酸化炭素の排出量を減らすということと同時に『物流コスト』を減らすという目的があります。日本は非常に食品自給率が低く、多くの食品を輸入に頼っているところがあります。そのこともあり日本はフードマイレージが総量ベースで世界一、かつ国民1人当たりでも世界一というような状況です。(フードマイレージ:食べ物の輸送距離を表す。その計算は重量×距離。食品の生産地と消費地が遠ければフードマイレージは高くなる。)フードマイレージが大きくなれば、輸送距離が増えるわけですから、当然、環境負荷が大きくなりますし、経営的な視点で見て、当然、物流コストも上がります。

 近年、植物工場の数が増えていて、2009年に約50か所だったものが、2012年3月末には127か所まで増加しているそうです。この原因は、政府が補助金を出しているということと、東日本大震災後の“放射能汚染”の問題を抱える被災地復興の手立てとして注目を浴びているということがあるようです。実際の話、植物工場で作られる野菜の生産コストは露地物より高く、植物工場産のレタスの価格が1キログラム当たり1,100円~1,500円に対して、露地物は300円~600円という状況でもあります。しかしながら、居酒屋「北海道」などを経営する「コワロイド」は2億円を投じて神奈川工場に植物工場を設置している企業もあります。理由としてはここ数年も猛暑で葉物野菜を中心に頻繁に価格が高騰しているためです。コワロイドでは今後増産を図り露地物と同じくらいの価格まで持っていこうと考えているようです。

 店産店消は出来立ての野菜をすぐに食べられますし、運搬に伴う二酸化炭素の発生やコスト増を防ぐことができますので、消費者側から見ても店舗側から見てもイメージが良いものだと考えます。また、今後世界的な食糧難が想定される中で、植物工場のような動きは加速していくようにも思います。最近では自宅で育てられる野菜キッドのようなものも良く売っているように思いますが、今後も「安全」「安心」「コストカット」は企業・個々人ともに重要なポイントになると思います。

 (参考文献 小売・流通業が知らなきゃいけない物流の知識)