日本人の消費スタイルの変化

日本人の消費スタイルの変化に関して記載します。

 時系列で消費スタイルを見てみると、自分が気に入った付加価値には対価を払うという消費スタイルを取る人の割合が年々増えてきています。それに対して、製品のこだわりはなく、安ければよいという消費スタイルをとる人は年々減ってきています。

 日本が成熟した社会となることによって、自分が購入するモノに対して、こだわりを持つ傾向が強くなってきているということの表れだと思われます。安くても必要のないものは必要ないですし、3種の神器のようにご近所が持っているから自分も持たないといけないというモノも特にありません。自分の価値観にあうモノが求められているということでしょう。

ドミナント戦略

本日はドミナント戦略に関して記載します。

【ドミナント戦略とは】

ドミナント戦略とは主にチェーン展開している店舗の出店施策の一つで、単独で店舗を出店するのではなく複数の店舗を近隣に出店させる戦略です。よくコンビニの出店戦略でこのドミナント戦略が聞かれると思いますが、セブン-イレブンでは1号店が豊洲(東京都江東区)にできた後、ドミナント戦略を実施するために出店地域を江東区以外に許さなかったと言います。

【ドミナント戦略のメリット】

このドミナント戦略を取るメリットの一つに、単独で出店するのに比べてお客様のチェーンに対する認知度が向上するというものがあります。単独で出店すると周囲の競合店にイメージで負けてしまうことがありますが、複数店舗で出店を行えば「この地域には○○店が多い」と認識してもらえ認知度を上げることができます。二つ目のメリットとして、特定地区を面で制圧することになるので、競合店の出店を抑制できるという効果もあります。特定地域内を制圧するために必ず押さえなければならない場所(例えば交通量の多い道路の交差点の角地、主要ターミナル駅の駅前立地等)があります。ここを押さえられてしまうと、地区の大半の売上・客数がとられてしまうであろう重要な地域です。この地域を含めて重要な立地を同一チェーンで押さえることで、その地区を制圧することができます。なんとなくイメージとしてはオセロの角地を押さえる感じに近いでしょうか。3番目のメリットとして、機動的・効率的な物流網の実現ができるということがあります。ドミナント戦略で複数の店舗を出店すると、必然的に店舗間の距離が短くなり、配送トラックが効率的に商品を配送することができます。トラックで商品を運搬している最中は1銭も稼げませんが、店舗に商品を並べれば売上を嵩上げしていくことができる可能性が高まります。

【配送トラックの効率化:ミルクラン】

また、このような動きの中で、ちょっと話はずれますが、ミルクラン(巡回集荷)と呼ばれるように、配送トラックの動きの効率化を図っていることもポイントです(ミルクラン:牛乳業者が酪農家の間を回って牛乳を引き取っていく様になぞらえた用語)。例えば商品配送センターと3か所あるお店との間を1日1回、3往復していたものを、1回で運ぶ量を3分の1にして、その分3か所の荷物を一緒に運んで、1か所ずつ降ろして回るようにすれば、いっぺんに3か所回ることができます。

ドミナント戦略には様々なメリットがある一方で、デメリットとして売上を共食いしてしまうということがあるようです。デメリットもあるでしょうけれど、コンビニなどのドミナント戦略をみているとメリットの方が大きいように感じます。一つの地域に集中して出店していく、それにより地域でNo.1になっていくということが戦略として有効であるということだと感じます。

 (参考文献 コンビニのしくみ)

左回りの法則

「人間左回りの法則」に関して記載します。

マーケティングの世界では「人間左回りの法則」と呼ばれ、店舗などの導線は反時計回りの「左回りが良い」と言われています。アメリカにおいては1990年代からこの人間工学に基づく「人間左回りの法則」が導入され、主導線を左回りにするところが多いです。確かに、身近な例でいくと、コンビニやスーパーにおいて左回りで導線がひかれているところが多いです。コンビニでは店に入ってすぐに右側に来店目的度が高い雑誌が陳列され、そのまま壁沿いにソフトドリンク・お酒・ファストフード商品が陳列されていて、外周の通路を周遊するような商品配置になっているところが多いと思います。

90%強の人が、右目が効き目なので、右側の壁面に視線が向くようです。そのため、右側の商品に関心が向きやすく、商品を手に取りやすいです。また、右利きの人は買い物かごを左手で持ち、右手で商品を取るので、左回りに歩くと買い物かごが棚にぶつからず買い物しやすいということもあります。

ある店舗では、導線を右回りから左回りに変えただけで、売上が10%伸びた店もあるとのことです。一定の効果のある戦術ということでしょう。

 普通に生活する中でも、この左回り、よく見受けられるもので、野球のベース、学校の運動場のトラックなども左回りです。左回りは子どものころから無意識に落とし込まれているものなのかもしれません。

 一方であえて右回りの配置にしているものもあります。まずはお化け屋敷やミステリーツアー。これはあえて右回りにすることによって“違和感”“気持ち悪さ”を演出しているようです。また、ディズニーランドもあえて右回りの配置にしているようです。ディズニーランドは東側に過去をイメージさせるアドベンチャーランド(ジャングルの奥地の世界)・ウエスタンランド(19世紀開拓時代の西部)があり、反対の西側には未来をイメージさせるトゥモローランド(宇宙と未来の世界)を思わせるテーマランドがあります。そして北側にはファンタジーランド(白雪姫・プーさんなどに出会える童話の世界)やトゥーンランド(ディズニーのキャラクターが住む街)となっていて、ここは空想世界(現在)という配置になっているそうです。このようにディズニーランドは“過去→現在→未来”とあえて右回りの配置を取っているようです。この理由としては配置を右回りにすることによって混雑を緩和することが狙いのようなのです。

コンビニやスーパーはワンウェイコントロールを意識しつつ人間工学的な観点からの店内レイアウトを行っているので、どこも似たような店内レイアウトになっているように見えますが、その考え方は奥深いものがあると思います。普段意識して見ないと気付かないことですが、各店、店内レイアウトによって顧客滞留時間をいかに伸ばしていくかという工夫がされているということだと思います。

損失回避型の消費行動の高まり

「損失回避型の消費行動の高まり」に関して記載します。

インターネット上に大量の情報が流れ、消費者は商品を購入する前にインターネットで商品情報やユーザー評価を確認するようになってきました。昨今ではその延長線上に「商品を購入する前に、お金を払ってもよいから、その商品・サービスを実際に試してみたい」という考えから、試用サービスにお金をかけるという消費行動が見られるようになってきました。

ビューティー・トレンド・ジャパンという会社があるのですが、この会社、月額1,575円で毎月自宅に4~5種類の様々な高級コスメのサンプリングが入った小さな箱「グロッシーボックス」を届けています。会員登録時に自身のプロファイルを作成すると、それぞれの肌質や好みに合ったサンプルが届きます。また、気に入ったコスメがあればブランドサイトに飛んで、本体商品も購入できる仕組みとなっています。この「グロッシーボックス」、大変人気なようで、商業的な販促活動を行わず口コミの効果で、2013年6月段階で5万3000人の登録会員を獲得しています。また、これまでに国内外220以上の化粧品ブランドが試供品を提供しているそうで、その数も非常に豊富だと思います。このような試用サービスは化粧品以外にもありまして、「おかりなレンタル」ではキッチン家電やお掃除ロボットなど、家電製品のレンタルを行っています。種類は限られていましたが、ガイガーカウンターやカラオケのレンタルまでありました。比較的高額な家電製品。購入前に実際に自宅で機器を使えることには便利さがあるのでしょう。

 上記のようにサンプルを購入したり商品をレンタルしたりして、購入前に商品の内容を確認するという消費行動が出てきています。これは「事前に調べれば、後悔しないで済む」という意識が普及してきているということが言えます。言い換えると、消費について「失敗を恐れる」傾向が高まってきているということです。消費者の意識の中に、事前によく調べずに購入してから、もっとよい商品やよい買い方があったはずなのに、と後悔したくない意識が強くなってきているようです。消費者が買い物をする際に正解を求める傾向になってきているということでしょう。

 一方で、購入前によく調べて「確認・納得」した上で商品を購入するようになった背景には、生活者の品質やライフスタイルへのこだわりの高まりも要因としてあるようです。「多少高くても品質の良いものを買う」という割合が増える一方で、「とにかく安くて経済的なものを買う」という消費者は減っているそうです。インターネットだけでは、買おうと思っている商品・サービスが自分に合っているとは限りません。そのような中、リアル店舗で実物を買いたいという人が68%にも及ぶという結果が出ています。

 消費者は“失敗がなく”“自分に合った”商品・サービスを求めるようになってきました。現在は情報過多の中で消費者が商品・サービスを選択するということ自体、難しくなっている時代だと言えます。それを踏まえた上でのマーケティングも必要となってくると思われます。

 (参考文献 なぜ、日本人はモノを買わないのか?)

おひとりさま男性 おひとりさま女性

本日は、「おひとりさま男性」「おひとりさま女性」に関して記載します。

【おひとりさま男性】

 現在、男性の非婚化・晩婚化が進んでいるようです。2010年の国税調査によると30~34歳の男性の未婚率は47%とほぼ半数、35~39歳の未婚率は36%とほぼ3人に1人という状況で、未婚率がかなり高いようです。このような状況の中で、今後、独身男性の数が増えていくことはほぼ確実な状況です。このことは肌感覚的にも実感できます。昔とは違い、別に30歳過ぎていて結婚していなくても“普通”な環境になってきています。また、年収と未婚率には相関関係があるようで、年収300万円以下になると未婚率が急激に高くなるそうです。このことを年収300万円の壁とも言うそうです。

また、独身男性の多くが親と同居しているようです。年収300万円未満の独身男性の7割以上が親と同居、年収500万円以上の男性でも半数が親と同居しています。パラサイト・シングルという言葉もあるようですが、親と同居し、生活面の面倒を見てもらい、経済的にも依存する独身男性が相当数にのぼっているようです。

 独身貴族という言葉があるように、年収500万円以上の男性で親と同居していれば、さぞ、個性的でデザイン性にとんだ商品をたくさん持っているのだろうと想像してしまうかもしれませんが、実際はそうではないようです。30~50代で年収500万円以上の独身男性が積極的にお金を使いたい分野の第一位は「趣味・レクリエーション」(59%)、続いて「人とのつきあい・交際」(36%)、「旅行」(33%)というようになっていて、モノにお金を使うのではなく、自分の趣味や、仕事上の資産となる人脈づくりのためのコミュニケーションにお金を費やしています。また、モノを買う際にも、保守的な消費意識を持っています。「有名メーカーの商品を買う」「日本製品を買う」といった安心感を求める志向が強く、「いつも買うと決めているブランドがある」「定期的に購入する商品はいつも同じ店舗で購入することが多い」というように、ブランドや店を決めている傾向があります。そして、買う前にいろいろと情報収集を行い、買い物に失敗しないように心がけているようです。独身男性は有名メーカーや日本メーカーなどの無難なものを選び、あまり新しいものに挑戦しない傾向があるようです。目新しいものを買って買い物で失敗したくないということでしょう。

 年収が高く親と同居している独身男性は個人で自由に使えるお金が多いため価格感度が低いと言います。確かにお金に余裕があれば、スーパーの安売りで1円でも安いものを買おうとか、ネットで最安値の販売先を探して買うとかして、時間を使うことをせず、自分で気に入ったものを買います。今後増えていくこの独身男性の消費動向を押さえておくことは小売業を営む人にとって必要になってくると思われます。

【おひとりさま女性】

おひとりさま男性に続いておひとりさま女性に関して記載します。

男性同様に女性の非婚化・晩婚化も進行してきています。2010年の国勢調査によると、30~34歳女性の未婚率は35%、35~39歳女性の未婚率は23%に達していて、30~49歳の未婚女性の人数は370万人にものぼっています。また、30~49歳の女性の中で、離別や死別により現在配偶者がいない人は136万人にものぼります。未婚・離別・死別で配偶者がいない状態の女性は合わせて500万人以上いることになります。確かにおひとりさま男性同様、おひとりさま女性も多く見受けられるようになった気がします。街コンのような企画が人気を呼んだのは男性・女性ともにおひとりさまが増えたことも原因にあるような気がします。

さて話を戻しまして、未婚化・晩婚化は今後も進むことが想定されていますが、おひとりさま女性の購買力はかなり高いようです。野村総合研究所の実施したアンケート調査からは30代、40代おひとりさま女性のうち、8割以上が働いており、その中で半数以上が正社員として雇用されています。また、おひとりさま女性は1ヶ月に自由に使えるお金が7万円以上ある人が18%、40代おひとりさま女性は19%、50代以上では26%という結果になっているようです。子どもの養育費などに自分の稼ぎを割かれることがないため、おひとりさま女性は経済的な余裕があり、企業側から見ても配偶者のいない女性は無視できないセグメントとなっているようです。

30代、40代のおひとりさま女性は、ファッションや美容の他、趣味や交際費など充実したプライベートを過ごすための支出が多く、ファッションや化粧品を選ぶ際の情報源は「雑誌・フリーペーパー」「クチコミサイト」「企業のホームページ」が多くなっているようです。また、休日の過ごし方としては、音楽鑑賞、映画・演劇・美術鑑賞、DVD鑑賞、外食・グルメ・食べ歩き、ドライブと多彩。旅行についても積極的で、過去1年に1回以上海外旅行に行った割合はおひとりさま以外の女性が21%であるのに対し、30代おひとりさま女性は32%となっていて、さらに3回以上海外に行っている人は10%も存在しています。

 消費価値観に目を向けると、おひとりさま女性は同世代のおひとりさま以外と比べて、とにかく安くて経済的なものを選ぶ人が少なく、自分のライフスタイルにこだわり、周りの人と違う個性的なものを選ぶ人が多いようです。そのようなことから、おひとりさま女性がインフルエンサーとなっていることもあるようです(インフルエンサー:世間に大きな影響力を持つ人や事物を表す。特にインターネットの消費者発信型メディア(CGM)において、他の消費者の購買意思決定に影響を与えるキーパーソンを指す)。このことから企業としては、おひとりさま女性の満足度を高め、良い情報を拡散してもらうことが重要となります。

 少子高齢化が言われる中、それに伴って男性・女性ともに“おひとりさま化”が進んでいます。このことは日本の消費環境に影響を与えているでしょうし、企業側が顧客のターゲットを絞り込み商品を作る際にも影響を与えることが想定されます。

 (参考文献 なぜ、日本人はモノを買わないのか?)

戸越銀座とエシカル消費

「戸越銀座とエシカル消費(社会をよくするための消費)」に関して記載します。

【戸越銀座にて】

半年ほど前、関東有数の長さを誇る戸越銀座に行ってきました。戸越銀座は、五反田駅から東急池上線に乗って2駅(戸越銀座駅)、もしくは浅草線に乗って1駅(戸越駅)と比較的都心からも近い場所にあり、全長1.3kmもある関東有数の長さの商店街です。この戸越銀座は日本での「○○銀座」第一号らしく、1923年の関東大震災の後に、銀座の瓦礫を運び込み低地を埋め立てたことから戸越銀座と命名されたそうです。

 実際に行ってみて、駅の近くはチェーン店が多いかなと思って見ていましたが、少し歩くとミシン屋とかおもちゃ屋とかの昔ながらの小売店がちらほら。まだ夕方というには早いかなという時間から、食料品店が居酒屋をやっているようなお店で、街の人たちと思われる人たちがお酒を飲んでいるという、なんとなくのんびりした感じの商店街でした。

せっかく来たので何か買おうかと思って歩いているときに、米粉パンのお店を発見しました。米粉パンに特化して生き残りを図っているのかとお店をのぞいていると、販売員から三陸・大槌町で人気の米粉の北極メロンパンを進められました。「販売する商品を絞り込むと同時にエシカル消費を押さえるとは」と北極メロンパンを購入。店の外で立ち食いをしていると、食べている間に何人か北極メロンパンを購入して帰っていきました。

【エシカル消費】

さて、このエシカル消費、日本においてはリーマンショックと東日本大震災が大きな加速要因となったようなのです。2008年9月にアメリカのリーマン・ブラザーズが破たんし、それがきっかけで世界同時不況が起こりましたが、この際に経済至上主義の限界を感じた人が多かったようです。また、リーマンショック以上に人々の心に大きな影響を与えたのは東日本大震災です。東日本大震災の被災状況を各種メディアで見て、他人のために何かしたいという「利他」の意識が国民の中に芽生えていったようです。2012年度に野村総合研究所が行った生活者1万人アンケート調査でも「価格が高くても、被災地に寄付されるような商品を購入したいか」という問いに対して、「そう思う」と回答する割合は14%、「どちらかといえばそう思う」と回答する割合は55%となっています。また、すべての性・年代において「価格が高くても、被災地に寄付されるような商品を購入したい」という割合が6割を超えています。震災直後は「がんばろう、東北」と東北でつくられた食べ物や工芸品を買うといった、地域の復興を後押しする、応援消費が盛んでした。震災1年間に、売上の一部が寄付される商品や被災地で生産された商品を購入した人は4割に達していたそうです。東日本大震災は消費者の消費行動に大きな影響を与えた、ある意味、ターニングポイント的な出来事であったということが言えます。

 戸越銀座という同じ商店街の中で、見た目はやっていそうな店とちょっと厳しそうな店、様々ありました。当たり前と言えば当たり前の話なのかもしれませんが「経営努力を積み重ねている店が人気なのだろう」と感じさせる、そんな商店街でした。

 (参考文献 なぜ、日本人はモノを買わないのか?)

コンビニの種類

コンビニエンスストアの種類について記載します。

コンビニエンスストアというとイメージとしてフランチャイズチェーン(FC)のイメージが大きいですが、それ以外にもボランタリーチェーン(VC)やレギュラーチェーン、単独店があります。小売業の業態別チェーン組織加盟事業所数でFCとVCの店舗数を比較してみると、専門スーパーやドラッグストアについてはFCよりVCが多くなっていますが、コンビニエンスストアは圧倒的にFCの店舗数が多くなっています(・専門スーパー FC:2,923店 VC:4,632店 ・ドラッグストア FC:470店 VC:5,387店 コンビニエンスストア FC:38,175店 VC:1,290店)。

そもそもFC、VCやレギュラーチェーン、単独店の違いは以下のようなもののようです。

1.フランチャイズチェーン(FC)

 本部組織があり、本部が作り上げた店舗のノウハウなど(FCパッケージと呼ぶ)を総ての加盟店に提供して経営する形態。加盟店はFCパッケージの使用対価として、ロイヤリティを本部に支払う。

 2.ボランタリーチェーン(VC)

 本部組織は存在するが、本部は経営ノウハウや店舗パッケージを持っているわけではなく、単独店が集合して仕入れを共有化する機能を担っている。本部は集中仕入れによる有利な商品原価交渉や販売促進策への協力依頼などを行う。加盟店は低額のロイヤリティを支払い、全加盟店の協力により本部を支えていく仕組み。

 3.全店が本部直営店で運営され、店舗勤務従業員も全員が正社員。個店の売上・利益の積み上げがチェーン全体の売上・利益になる。

 4.単独店

 元酒屋さんなどの業態変更が大半。独自の商品仕入れルートを持ち、店舗展開も経営者自身が考えて実践。いわゆる『パパママストア』が大半を占める。

コンビニエンスストアのFCというとセブン-イレブンがすぐ出てきます(直営店も2%くらいあるようですが。)。それに対してVCは国分グローサーズチェーン株式会社が運営する『コミュニティ・ストア』があります。コミュニティ・ストアは関東・東海・関西地方で展開していて、もともと国分株式会社が取引先酒販店の経営支援を狙って結成したことからVCの形をとっているようです。

FCは本部の経営ノウハウをはじめ店舗経営に関わる全てを本部が提供し、それが適正に運営されているかチェックしていきますが、VCの場合は共同仕入れなどのスケールメリットを享受できる業務以外は、全て個店が独自に経営します。ですので、個店独自の経営スタイルを貫きたい経営者はFCに加盟するよりもVCに加盟したほうが良いということになります。一口にコンビニエンスストアといってもその形に種類や特徴があるというのは興味深く、表面のみを見ていると見えてこない部分もあるのだろうと感じさせます。

 (参考文献 コンビニのしくみ)

ネットスーパーの店舗型と倉庫型に関して

本日はネットスーパーの店舗型と倉庫型に関して記載します。

ネットスーパーには大きく分けて店舗型と倉庫型の2種類があります。店舗型は実店舗から商品をピックアップしてバックヤードで梱包して作業するスタイルで、イトーヨーカ堂などが行っています。それに対して倉庫型は店舗とは別にネットスーパー専用の倉庫を設け、注文処理、商品の在庫管理、梱包、配送などのすべての業務を行います。例としては広島にあるエブリデイフレスタがあります。(エブリデイフレスタURL http://fresta.everyd.com/)

 店舗型のネットスーパーは、スーパーの広い店内から注文通りの商品をピックアップし、狭いバックヤードで梱包や出荷の作業を行いますので、注文が多くなると多くの人出が必要となり人件費が上がってきます。また、注文が多すぎると作業がさばききれなくなってしまう可能性もあります。それに対して倉庫型のネットスーパーは、顧客別のトレイがベルトコンベアの上を流れて、そのトレイの中に商品を入れていく形となります。どの商品をどのトレイに入れるかはすべてコンピュータで管理されています。また、常温の商品がベルトコンベアの出発点近くにあり、冷蔵の生鮮食料品が終点近くにあるという、品質管理もしっかりと行うような仕組みとなっています。このように倉庫型ネットスーパーは設備的に充実しているため、大量の商品を処理することができ、幅広い品揃えからお客様の買物の代行を行うことができるというメリットがあります。一方で、専用の設備を備えた倉庫を設置する必要がありますので、固定費が高くなり、損益分岐点が高くなります。一般的に店舗型ネットスーパーが数百人の会員でも十分損益分岐点を上回る売上が確保できるのに対し、倉庫型では5,000人以上の会員が必要だと言われます。倉庫型だと損益分岐点が高いので利益が出づらく、多くのネットスーパーが固定費の低い店舗型を選択しているという現状です。

 今後の高齢化社会と男女が共に働く社会が進んでいくとネットスーパーが重要な役割を果たしていくのではないかと考えます。一方でネットスーパーに参入するに当たっては、経費の面や業務の効率化をどうクリアしていくかということが課題のように思われます。

 (参考文献 1からのリテール・マネジメント)