暑い日が続くと、店舗やSCにある空調設備は顧客視点から見るととてもありがたく感じる物ですが、その空調設備に関して記載します。
この空調設備は1980年代後半からは、店舗やSCには導入が当たり前と考えられているようです。しかしながらこの空調設備が店舗に導入されたのは、それほど昔のことではないようです。アメリカにおいてもその設備が導入されたのが1950年代に入ってからで、日本はそれよりも後になります。今でも普通の商店街においては、路上にも店内にも空調がないところもあります。たまに熱帯魚屋に行くのですが、この季節、水温が上がりすぎて魚がへたらないように、窓を全開にして外の風を入れたりしている光景を見たりします。
この空調設備、意外と曲者のようです。今日、年商1000億円あるいは店数100を超えた企業は1970年代の高収益企業の代表で、総資本対経常利益率はいずれも20%を超えていたと言います。しかしながら、今日では10%を超えるところはごくわずかだそうです。この低収益性の原因は、店舗建物または売場面積坪当たりの総資産額が大きく膨れすぎたためと言うことなのです。その原因の一つが、空調施設を含め、エスカレーター、エレベーター、オープン冷蔵ケースなど、必要以上の過剰設備にあるというのです。
空調に関しては、お客様が入口に入ったときに「涼しい」もしくは「暖かい」と感じ、かつメイン通路にもその冷気・暖気が流れ込むようにしておけば十分なのですが、そうなっていない店舗が多々あるようです。確かに、建物によっては場所によって妙に暑かったり、妙に涼しかったり、というものがあります。
初期段階に形を作ってしまうと、その後、無駄とわかっていても改修するのに多額の費用がかかってしまい、そのままになるというケースがあります。店舗を0から立ち上げるときには、無駄な経費が発生するような作りになっていないか十分に検討する必要がありそうです。また、営業中の店舗においても、空調の吹き出し口の位置と方向が適切で効率的な費用の使い方ができているかをしっかり見る必要がありそうです。
(参考文献 店舗レイアウト)