店舗フロア間の関係

店舗のフロア間の関係に絡めて記載します。

【高くいけばいくほど人がいなくなる】

 百貨店やスーパーなどの何階建てにもなっている店舗に行くと1階のほうはお客様がたくさんいらっしゃるのに、上のフロアへ行けばいくほど、だんだん客数が減ってくるように感じることが多々あります。この上のフロアへ行くにしたがって、入階客数が少なくなるというのはどの店舗でも同様のようで、階数が一つ増えるごとに地平線から離れている方が、0.7倍の入階客数となってしまうというデータがあるということです。このことは欧米では半世紀も前から確かめられており、日本においても例外は少ないと言います。このことを数値で確認して見ますと、1階の客数を100とした場合、2階になると70、3階になると49(3階に来た段階で1階の半数以下になる)、4階になると34、5階になると24、6階になるとなんと16の比率になってしまいます。逆に地下の場合、地下1階は上記の2階と同様の推移となりますが、地下2階は4階ほどの比率に近くなってしまうと言います。

【シャワー効果・噴水効果】

このフロア階数の増減に伴う客数減少状況を食い止めようと、過去から日本の小売店では、催会場のような常設特売売場を設けたり、イベントを繰り返し行ったりしてきました。これに関してはシャワー効果と言われるものが該当すると思います。シャワー効果とは、上の階の施設を充実させ、店舗全体の売上の増加につなげる販売方法で、“屋上に人気の高い商品を配置する”“最上階のレストランを充実させる”“催会場を上階に配置する”と言ったことを行い、上から下への顧客の流れを作り、ついで買いを狙うことを言います。そもそも、何層にもわたる店舗の場合、地平線から最も離れたフロア(上層階)へお客様をまず誘導し、そのあと徐々に低いフロアに誘導することが原則としてあります。まず一旦、お客様を一番上のフロアまで誘導し、そのあと徐々に下のフロアの商品を見ていただくように誘導するのです。何層にわたる店舗の場合はそのことを意識して商品展開を行っていくことが重要になってきます。なお、シャワー効果とは別に噴水効果という言葉もあります。これは食料品売場を中心とする地下の施設を充実させ、店全体の売上の増加につなげる販売方法のことで、集客力の高いテナントの配置や地下催事などでお客様を呼び来い、下から上への顧客の流れを作り、ついで買いを狙うというものです。これなども地平線から離れれば離れるほど入階客数が減ることを前提とした対策と言えると思います。

 複数のフロアがある店舗の場合、エレベーターやエスカレーターが顧客を上層階に誘導しやすい場所にある等のハード面の違いや、何階に何の商品を配置するのかによって買い回りの良し悪しが決定してくるようです。特に都心においては何層にもわたる百貨店やスーパーが普通ですので、そういったところを見比べるのも面白いかもしれません。

 (参考文献 店舗レイアウト)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です