損失回避型の消費行動の高まり

「損失回避型の消費行動の高まり」に関して記載します。

インターネット上に大量の情報が流れ、消費者は商品を購入する前にインターネットで商品情報やユーザー評価を確認するようになってきました。昨今ではその延長線上に「商品を購入する前に、お金を払ってもよいから、その商品・サービスを実際に試してみたい」という考えから、試用サービスにお金をかけるという消費行動が見られるようになってきました。

ビューティー・トレンド・ジャパンという会社があるのですが、この会社、月額1,575円で毎月自宅に4~5種類の様々な高級コスメのサンプリングが入った小さな箱「グロッシーボックス」を届けています。会員登録時に自身のプロファイルを作成すると、それぞれの肌質や好みに合ったサンプルが届きます。また、気に入ったコスメがあればブランドサイトに飛んで、本体商品も購入できる仕組みとなっています。この「グロッシーボックス」、大変人気なようで、商業的な販促活動を行わず口コミの効果で、2013年6月段階で5万3000人の登録会員を獲得しています。また、これまでに国内外220以上の化粧品ブランドが試供品を提供しているそうで、その数も非常に豊富だと思います。このような試用サービスは化粧品以外にもありまして、「おかりなレンタル」ではキッチン家電やお掃除ロボットなど、家電製品のレンタルを行っています。種類は限られていましたが、ガイガーカウンターやカラオケのレンタルまでありました。比較的高額な家電製品。購入前に実際に自宅で機器を使えることには便利さがあるのでしょう。

 上記のようにサンプルを購入したり商品をレンタルしたりして、購入前に商品の内容を確認するという消費行動が出てきています。これは「事前に調べれば、後悔しないで済む」という意識が普及してきているということが言えます。言い換えると、消費について「失敗を恐れる」傾向が高まってきているということです。消費者の意識の中に、事前によく調べずに購入してから、もっとよい商品やよい買い方があったはずなのに、と後悔したくない意識が強くなってきているようです。消費者が買い物をする際に正解を求める傾向になってきているということでしょう。

 一方で、購入前によく調べて「確認・納得」した上で商品を購入するようになった背景には、生活者の品質やライフスタイルへのこだわりの高まりも要因としてあるようです。「多少高くても品質の良いものを買う」という割合が増える一方で、「とにかく安くて経済的なものを買う」という消費者は減っているそうです。インターネットだけでは、買おうと思っている商品・サービスが自分に合っているとは限りません。そのような中、リアル店舗で実物を買いたいという人が68%にも及ぶという結果が出ています。

 消費者は“失敗がなく”“自分に合った”商品・サービスを求めるようになってきました。現在は情報過多の中で消費者が商品・サービスを選択するということ自体、難しくなっている時代だと言えます。それを踏まえた上でのマーケティングも必要となってくると思われます。

 (参考文献 なぜ、日本人はモノを買わないのか?)

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