ファストファッションと激戦地東京

「ファストファッションとその最大の激戦地、東京」という視点で記載します。

 日本の人口は首都圏への集中が目立っていまして、国道16号(通称:東京環状 神奈川県横浜市→相模原市→東京八王子市→埼玉県川越市→さいたま市→千葉県柏市→千葉市を結ぶ。)の内側に2,800万人もの人が住んでいます。日本の人口の約22%が、国道16号が囲む半径30キロ以内に集中しているのです。その状況下で、日本へ参入してくる外資系小売業の狙いは首都圏に絞られてきました。理由としては、首都圏をはじめとした大都市とその周辺は消費が活発で小売業にとって魅力的であることと、バブル崩壊により地価が低落するとともに規制緩和が急展開で進んできているので市場に参入し易くなってきているということが挙げられます。イタリア・ビアンコ社の調査によると、イタリアの高級ブランドメーカー52社が世界に展開する直営店は98年度で約4,000、このうち世界主要都市への出店は1位東京188、2位ミラノ124、3位ソウル108、4位香港104、4位ローマ104、6位大阪92、6位パリ92、8位台北89、9位ニューヨーク76、10位ロンドンという状況で、東京への市場参入が圧倒的という状況です。

そのような感じですので、ファストファッションに関しても、原宿、銀座、新宿と東京はファストファッションの最大の激戦地となっています。世界を代表するSPAをビジネスモデルにした10強のうち、なんと8社が日本市場での覇権を競っている状況です。

 更にファストファッションにおいては先発組のギャップ、ザラ、H&Mに加え、新興勢力ユニクロ、フォーエバー21、プライマーク(プライマークは日本の出店はない)など業界内での競合も激化しています。

ユニクロはデザイン、流行トレンドの早さより、現代社会の中にある生活者の解決型ニーズ(ウォンツ)をいち早く、安価に商品化することで、他社と一線を画しています。ファッション業界がそれまで、どれだけ付加価値をつけるかという視点だったことに対し、ファッションを生活必需品・消耗品というように新たな視点でとらえたのです。例えば、アメリカのポーラテックが独占していたフリース市場に挑戦し、それまで1着3~4万円であったフリースを一気に1,980円にまで価格破壊しました。それ以外にも、手薄だったレディス用途にブラジャーのカップを内蔵した「ブラトップ」、保温性の高い下着「ヒートテック」など大ヒットを飛ばしています。

フォーエバー21は1984年にロサンゼルスで韓国系のアメリカ人ドン・チャンとジン・チャン夫妻が創業したのです企業ですが、徹底したODM(相手先ブランドによる設計製造)調達で経費カットを実行する企業です。また、5週間で売り切ることを基本とし、週1回の発注でバイヤーが即決していきます。このスピード感が同社を成長させている要因とも言われます。

 「早い」「安い」「おしゃれ」と牛丼のような評判で一躍、時代の寵児に駆け上がったファストファッション。東京における激戦は市場環境並びに新たな視点でビジネスモデルを構築した後発組の市場参入による合わせ技で起こっていることが想定されます。さらに今後ファストファッションがどのように変わっていくのか非常に興味深いです。

 (参照文献 現代アパレル産業の展開)

店舗の照明

店舗の照明に関して記載します。

 最近の居酒屋の多くは照明の色はオレンジ系の暖色系の色が多いと思いますが、昔、色彩を一緒に勉強していた友人とある居酒屋に行ったとき店内が蛍光灯で明るく照らされていて、驚いたことがあります。ふつう、食べ物は青みを帯びた色になると美味しくなさそうに見えるので、暖かいイメージを持つ暖色系の色を当てる方がいいのです。蛍光灯の種類にもよるとは思いますが、青白い光を出すタイプが一般的だと思うので、居酒屋で蛍光灯を選択するということに驚いたのです。電球の色には昼光色・昼白色・温白色・電球色があり、それぞれ光の色が異なります。昼光色が一番青みを帯びた色になり、電球色に向かうにしたがって赤みのある色になります。青みの色を使うか赤みの色を使うかによってイメージが全くことなりますので、使い方を理解した上で使用することが必要です。例えば高級ブランド店は高級感を演出することができる電球色を使うほうが適しています。また、商品説明など文字を読む機会の多いドラッグストアや家電量販店は昼白色(5300K以上)の明るい色を使った方が良くなります。

 照明には先ほどの居酒屋の蛍光灯のようにお店全体に光を当てるような全体照明以外に、「ある商品を強調したいときに当てる“スポット照明”」「直接光を当てるのではなく、一度、天井や壁などに光を当てて、その反射光を利用した“間接照明”」があります。光の色と合わせて、どのように照明を使うかという部分も店舗運営を行う際には重要です。全体照明では光が強い場合、間接照明にすれば、やわらかな光になり「落ち着いた」「優しい」雰囲気を演出することができます。

スポット照明に関しては、商品の正面から光を当てるという方法と、商品の左右から2つの照明を当て、どちらか一方を弱い光で、もう一方を強い光を当てるという方法があります。2つの照明を当てることによって商品に立体感を出すことができます。

スポット照明を設置するときには、光がお客様の目に入ってしまう(グレア)ことに気を付けなければなりません。スポットライトの光はかなり眩しいので。照明はお客様の立つ方角から棚のほうに向けて光が当たるように設置するのが基本です。また、ちょっと気になるのは白熱電球を背の低い什器につけて、商品に光を当てているケースが見受けられることです。小学生の時にプラスチックの枠で囲まれた温度計を白熱電球に近づけたらプラスチックが溶けました。白熱電球を使用してお客様を火傷させてしまっては大変です。

 例えば最近、都内の駅のホームで青いライトが照らされていることがあります。これは青い色に心を落ち着ける効果があるからです。何気なく使われているように思われる照明にもそれぞれの工夫がされていることがあります。意識して見てみるといろいろと興味深いことが見つかるものです。

 (参考文献 繁盛店が必ずやっている商品陳列最強のルール)

109

「109」について記載します。

109は、東京急行電鉄の完全子会社である東急モールズデベロップメントが展開しているのですが、名前の由来は「東急」の読みを数字で「10-9(いち・まる・きゅう)」と語呂合わせしたものから来ているようです。また、「営業時間が午前10時から午後9時まで」という意味も盛り込まれているようです。

さて、この109。バブル崩壊後、商業施設のじり貧が大勢となる中で、109も業績低迷に陥っていました。そこで109は生き残りをかけ94年に若手社員を中心としたテナント開発室を発足させ、若者が集まる渋谷という立地に注目し、自己主張の強い渋谷の女の子に特化したファッションビルで再生を図っていく方向性を結論付けました。このヒントとなったのは地下1階で高い販売効率を図っていた「me Jane(ミージェーン)」などセクシーカジュアル系新興アパレルの存在でした。この結論に沿って、95年から4年の歳月をかけて地下1階から6階までを新興勢力で埋め尽くしていったのです。つまり、売上の回復のために109は地域密着のマーケティングを行い、ターゲット顧客を特化したのです。

また当時カリスマ店員ブームがありましたが、109にある「me Jane」「EGOIST(エゴイスト)」「CECIL McBEE(セシルマクビー)」「moussy(マウジー)」など、いわゆるマルキューファッションはファッションブランドの店員が情報発信源となる“等身大の消費”の先駆けとなりました。70年代からバブル崩壊の90年代初頭まで、日本のファッションビジネスはDCブランドブームに見られるように、ブランドやその背景にあるデザイナーへの憧れをモチベーションに成長してきました。しかしながらマルキューファッションはショップの店員や消費者と同年代の販売員が主役となり、同世代の生活者たちに等身大の憧れを植え付けたのです。このことは情報発信源を変化させ新規性を出したということが言えると思います。

 当時、109は一部から時代のあだ花と見られていたようですが、そのようなことはなく、例えば2013年1月2日の初商は約3億7000万円の売上を出しているなど、一過性には終わっていないと思われます。「CECIL McBEE」は東京ガールズコレクションの看板ブランドですし、109に入っているブランド「moussy」「SLY(スライ)」の会社のバロックジャパン(旧フェイクデリック)は年々店舗数を増加していて、09年1月期に160店舗を超えています。

 「地域密着のマーケティングを基にターゲット顧客を特化させたこと」「ファッションの情報発信基地の役割を果たしたこと」は109がバブル崩壊後の厳しい経済・社会環境の中で成功を収めた要因だったように思います。時代の流れを見て常に変化させ続けることが重要だという表れだと感じます。

 (参考文献 現代アパレル産業の展開)

老舗企業に関して

老舗企業に関して記載します。

 日本には多くの老舗企業が存在していて、創業ないし設立から100年以上経っている企業を老舗企業とすると、帝国データバンクのデータベースによると、その数は何と約2万社もあり、日本の企業全体の1.6%にも及びます(2008年)。ちなみに、老舗企業の条件として先祖代々続いていて、今なお繁盛しているという連続性が絶対条件となります。

 例えば赤羽駅から徒歩10分~15分の場所に小山酒造という東京都23区内に唯一残る造り酒屋があります。創業は1878年(明治11年)。小山本家酒造の次男、小山新七が東京と埼玉を結ぶ交通の要所となる岩淵に豊富な水が出ることに着目し創業しました。小山酒造は経営的な危機に陥った時でも、酒屋を潰すことなく、不動産などの多角経営によって、危機を乗り越えてきました。また、小山家に伝わる家訓に「とにかく数字を見ろ」という教えがあり、お酒を造るにあたって部屋の温度管理など、数字で状況を見ることを徹底して意識してきたようです(日本酒は作るときの温度によって味が変わる)。100年以上、一貫したアイデンティティを持ち、時代の状況を踏まえながら環境に適応して生き残りを図ってきたようです。

 今ではどこのデパートでも見る羊羹で有名な虎屋。虎屋は室町時代に京都で創業し、のれん分けをせず、希少性を維持しながら、皇族や公家、武家、豪商などを相手に和菓子を販売していました。また、代々の経営者は伝統を重んじるだけでなく、時代の節目で成長のため経営改革を行ってきました。例として昭和37年のデパートへの出店があります。虎屋は銀座や赤坂などの店舗で高級なブランド・イメージを確立していましたが、昭和37年に東武百貨店池袋店へ出店。庶民的なデパートへの出店により、これまで築き上げてきたブランド・イメージが崩れるのではないかとの心配もされましたが、高級なイメージを崩すことなく、デパートへの出店を成功させました。老舗企業は昔から変わらないと消費者から思われるところに価値があります。よって長期的・漸増的に革新を行っていくこととなります。

 老舗の誇るものに“のれん”がありますが、この“のれん”は「信用」「価値」「人との和」というものを象徴しています。継続的に価値ある商品を消費者に提供し続け、顧客からの信頼を得ることで、のれん自体に土地や建物のような資産価値が出てくるのです。継続と革新が商売を行っていくうえで重要だと言えるということだと思います。

 (参考文献:ブランド・マーケティング)

ブランド価値を守る

ブランド価値を守るということに関して記載します。

 現ソニーが社名を東京通信工業からソニーに変更して間もなく、1964年「ソニーチョコレート事件」が起きました。事件の発端はハナフジという菓子メーカーが、社名をソニー・フーズという社名に変更し、「ソニーチョコレート」の名前でチョコレートの販売を始めたということでした。さらにソニー・フーズは、社名の変更どころか、当時ソニーがキャラクターとして使っていた「ソニー坊や」にそっくりの「ゴルフ坊や」なるものも作ってソニーとの同質化を図ってきたのです。事情を知らない一般消費者は「ソニーが菓子業界に参入した」「ソニーが販売したお菓子だから、品質・味ともに良いものに違いない」と思い、多くの人がソニーチョコレートを買い求めました。これに対しソニーは商標違反でソニー・フーズを訴え、5年の歳月を経て、両社は和解しました。経済学ではソニー・フーズのような行為を『ただ乗り』と言います。ソニーは『ただ乗り』を許さないと、この事件に取り組んでブランド価値を守ったのです。ソニーはこの事件の後、日本及び世界約170か国のあらゆる商標分類に登録を申請し権利を取得。また、ソニー・フーズは廃業しました。

 (ソニー坊や:週刊朝日で連載されていた漫画「あっちゃん」をソニーの前身である東京通信工業が販売促進キャラクターとして使用)

2003年、モンテローザが「和民」を経営するワタミフードサービスに対して、同社から「『和民』に似た名称の店名、似たデザインの看板を『魚民』がわざわざ使っている」との虚偽の事実を公表されたとして、3000万円の賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こしました。結果として両社は和解。「魚民」「和民」が共存することとなりました。

 同じく2003年、「月の雫」を運営する三光マーケティングフーズが「月の宴」を運営するモンテローザに対して6000万円の損害賠償を求める訴訟を横浜地方裁判所に起こしました。訴訟内容は店名やロゴが似ているだけでなく、メニューの豆腐を「豆冨」と表示しているのも同じだという内容です。これに関しては2006年に和解。「月の宴」「月の雫」は共存することとなりました。

 名前を合わせることによりブランド価値を打ち消すという方法はランチェスター戦略でいえばミート戦略ということになります。一般の消費者からすれば同じような名前であれば、同じ会社なのかとも思ってしまいます。また、商品名や店舗名などをブランドとして成立させている企業としては、他企業から商品名や店舗名を似たようにされてしまえば、そのブランド価値は下がってしまいます。マネする企業としては他社のブランド価値を利用して売上を作ることができます。ブランドを持つ企業としては自社が作り上げてきたブランドをしっかりと守り抜くことが自社の利益を守るために必要不可欠といったところでしょう。

 (参考文献:ブランド・マーケティング ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則)

ネット通販に関して

ネット通販に関して楽天を中心に記載します。

ネット通販の市場は拡大傾向にあり、BtoC-EC市場は2012年には9兆円規模に成長していると言われています。その中でインターネットショッピングモールとして日本最大の楽天も成長していて、1997年5月に13店で開業しましたが、現在では4万店を超す規模に成長しています。商品数に関しても1億2000万個にまで達しています。

 高いポイント還元が魅力の楽天ですが、様々な取り組みを行っています。例えば3年前から中古品の取り扱いを強化していて、ブックオフなども含めて2300店が出店しています。また、今年の5月8日から6日間、横浜髙島屋で催「楽天市場うまいもの大会」を開催。人気のマダムシンコなど79店舗が参加。前大会の売上が1億8500万円ということですから、大きな規模の売上を上げています。楽天としては百貨店の顧客を取り込み楽天の認知を上げるという目的もあるようです。

 楽天は電子書籍市場にも参入しています。電子書籍というと「次は電子書籍の時代だ」とつい最近言われていましたが、日本でのアマゾンの「Kindle」の販売前後には話題になりました。電子書籍市場は2016年には2000億円の市場になると予測され、今後の成長が期待される市場です。家が本だらけにならなくて済むし、捨てたり売ったりしなくてもずっと持ち続けることができるので、僕もちょこちょこと電子書籍を読むようになりました。ところが電子書籍で本を買おうと思っても新刊がないことが多々あります。アメリカでは95%まで紙と電子書籍の同時販売が進んでいますが、まだまだ日本は普及途上な状態なのです。さて、楽天においては電子書籍サービス「kobo」事業を本格化させています。3年後にはkobo事業で500億円の売上目標を達成しようとしているようです。

 楽天は物流拠点の強化も行っています。6月現在、千葉に2か所物流拠点がありますが、来年までに関西、東北、中京、九州など全国5都市に8拠点を整備する予定です。予定通りに拠点ができれば、当日・翌日配送のエリアが広がり、競合に対して有利になることが想定されます。

また、楽天市場の出店者に対して、Eコマースのノウハウを提供する楽天大学というものを開催しているということです。Eコマースの初心者から上級者クラスまで約100の講座が用意され、すでに5万人以上が受講しているそうです。この講座の中では、商品のストーリーを語るようにすること、人が集まってコメントを残すようなページを作ること、そしてロングテールに関しての教育をしているそうです。

ネット通販売上高順位は日本においては現在、「アマゾンジャパン売上高7800億円」「楽天売上高4434億円」「ヤフージャパン売上高3429億円」「スタートトゥデイ(ZOZOTOWN)売上高350億円」「ネットプラスドットコム売上高108億円」というような状況になっていて、やはり知名度のあるところは売上高も高いです。いまネット通販は成長期にあり、これからも全体的な売上高は上がっていくことが想定されます。ただ、楽天が教育をしっかり行っていることからも分かるように、ただHPを作れば人が来て買ってくれるようなものではなく、ネットでの商売を始めた時は原っぱの真ん中にお店を作るようなもので、お客様を呼び込む魅力がなければ、売上を上げるのは非常に厳しくなります。何につけてもそうなのでしょうが、魅力的な力(ブランド力)をつけるよう努力しなければ商売は難しいということなのでしょう。

 (参考文献 東洋経済 ネット通販大解明)

フランチャイズチェーンに関して

フランチャイズチェーンに関して記載します。

 日本のフランチャイズチェーンのチェーン数は全体的な傾向でみると増加傾向にあり、1986年に619だったところ、2010年には1233となっています。そのうち、小売業は1986年201→2010年333、外食業は1986年291→2010年518、サービス業は1986年127→382という状況です。また、店舗数で見ても全体的な傾向でみると増加傾向にあり、1985年89,267店→2010年234,146店となっています。内訳をみると、小売業は1985年27,595店→2010年90,632店、外食業は1985年35,484店→54,757店、サービス業は1985年26,188店→2010年88,757店となっています。セブン-イレブンやローソンのコンビニの出店数が増加することが見込まれている2013年、小売業のフランチャイズチェーンの店舗数はさらに増えていくかもしれません。

そもそもフランチャイズチェーンとは、小売業やサービス業の店舗形態の一形態で、本部と加盟店がフランチャイズ契約を結び、本部(フランチャイザー)が加盟店(フランチャイジー)に経営ノウハウの一式を与え、加盟店は本部に対して対価として加盟金やロイヤリティなどを支払う形態を言います。

 世界初のフランチャイズはアメリカ生まれのケンタッキーフライドチキン。話は逸れますが、60歳を過ぎてからフライドチキンをワゴン車に積んで各地を回り成功をしたケンタッキーフライドチキンのカーネル・サンダースは本当にすごいと思います。日本で初のフランチャイズは1960年の不二家。ちなみにまた話は逸れますが、不二家のマスコットのペコちゃんとポコちゃんは、日本ケンタッキーフライドチキンのカーネル・サンダース像に続いて、立体商標として登録されているそうです。

フランチャイズシステムは、ブランド化されているサービスを、地政学的・文化的事情が異なる様々な地域に展開するためにも有効です。マクドナルドやセブン-イレブンなどの世界的に認知され、販売しているブランド(グローバルブランド)においては、本部企業がエリアフランチャイズ契約をある一企業と結び、その国での独占的な権利を与えています。

フランチャイズを行うにあたって、本部のメリットとしては「低コストで事業展開できる」「新規事業を急速に拡大し、ブランド力を確立できる」ということがあり、加盟店のメリットは「ビジネスノウハウを短期間で容易に身につけられる」「本部のブランド力、マーケティング力によって、初期段階から安定した経営が期待できる」ということがあります。

フランチャイズチェーンは本部にとって急速に事業を拡大でき、規模の経済性を発揮できる点は魅力ですし、新たに加盟店になるにあたっては、自分で0から作り上げる必要がないので、その分リスクを負わなくてよいという部分は大きいです。何よりもフランチャイズチェーン。この「仕組み」を作り上げたことそのものが重要だと感じました。

 (参考文献 ブランド・マーケティング)

O2Oに関して

O2Oに関して記載します。

O2O(Online to Offline)とは、オンラインとオフラインの購買行動が連携し相乗効果を出す、または、オンラインでの活動がリアル店舗での購買を促すといったマーケティング手法のことです。このO2O市場は現在スマートフォンの普及もあるからか急速な伸びを見せていて、2017年度には50兆円の市場規模になると予測されています。

 (2010年度には、いわゆるガラケーの従来型携帯電話が2,790万台、スマートフォンが800万台という販売台数であったが、2011年度にスマートフォンが急激に販売台数を伸ばし、2,250万台へ。2017年度には従来型携帯電話が1,406万台に対し、スマートフォンが2,972万台になると想定されている。)

O2Oの例として、2011年9月にサービスを始めたスマホアプリ「スマポ」があります。「スマポ」はユーザーが契約店舗へ行き、スマポアプリを起動し、チェックボタンを押すだけで、ポイント(1ポイント=1円)を得られる、来店促進サービスです。貯まったポイントは全国提携店舗のハウスポイントや商品券などに交換できる使い勝手の良さが特徴となっています。今まで同じようなアプリもあったようですが、GPSやWi-Fiを使っていたことから店の近くにいれば反応してしまうということがあったようです。その点、このスマポについては独自の「超音波発信機」を使用。店頭に置いた発信機が超微弱な超音波を出し、ユーザーのスマートフォンのマイクで受信する仕組みとなっていて、確実に当該場所に来店しないとポイント加算がされないようになっているようです。さらにスマポと店舗の契約は来店数に応じた従量課金制(1送客に対し30~150円程度)となっていて、店舗側にとってもコストパフォーマンスの高い販促となっています。参加企業はビックカメラやユナイテッドアローズなど。ある大型店舗では1ヶ月で1万人のスマポユーザーが来店し、うち3割が商品購入に至るという結果を残しているそうです。

Eコマースサイトの弱点を補完するという観点並びにユーザーへのサービス向上という観点からO2O戦略を取っている企業もあります。それはメガネ専門店のEコマースサイト「オーマイグラス」です。現在メガネ業界はZoffやJINSといった低価格SPAの登場や消費低迷により競争が激化しています。そのような中、オーマイグラスは大手のネット通販会社が扱いたがらないメガネをネットで販売。市価より安く豊富な種類を取り扱っています。ある意味ブルーオーシャン的な戦略ともいえると思います。大手ネット通販会社がメガネのEコマースを嫌がる理由として、顔の印象を左右するメガネは試着が必要ということと、視力測定や掛け心地を見るためフレームの微調整が必要だということがありますが、オーマイグラスは、メガネドラッグやメガネのアイガンといった老舗チェーンを含めた既存のメガネ店と提携を結び、レンズ加工やフィッティング、さらにアフターフォローまで受けられるサービスを実施しました。老舗チェーンにしても新たな顧客が得られることからオーマイグラスと組むことにはメリットがあるようです。合わせて、オーマイグラスでは無料でフレーム5本までを自宅で試せるサービスも実施しています。

ファーストリテイリンググループのブランド「ジーユー」では2013年春に、スマートフォンのジーユーのアプリを立ち上げ、画面のUFOのアイコンを押しながら「キュッキュー(990)」と叫ぶと、人気タレントのきゃりーぱみゅぱみゅのおしゃれインベーダーのカレンダーの壁紙がもらえるというキャンペーンを実施しました。ジーユーは今春から新価格戦略「990円」を掲げていて、この新戦略の認知度のアップを狙ったものとなります。ジーユーではこのきゃりーぱみゅぱみゅの企画以外にも、2013年1月には消費者がアプリを立ち上げてスマートフォンを5回シェイクすると抽選で各日1000名に「990円ジーンズ」が当たるお正月おみくじキャンペーンを4日間実施したり、3月に、新しいブランドロゴの認知度アップを目的に、ポスター、ウェブサイト、看板などにある「GU」の新しいブランドロゴにカメラをかざすとさいころが出現し、さいころをクリックすると100円クーポンが当たるというキャンペーンを実施したりしています。一連のキャンペーンは「叫んだ言葉を認識する『音声認識技術』」「シェイクの回数を判別する『加速度センサー』」「ロゴを認識する『AR技術』」などスマートフォンの最新機能を駆使したものです。しかしながらジーユーは消費者に対して楽しさや感動をアピールすることを意識して、これらIT技術は一切伝えず、意識すらもさせないようにしていたということです。また、ジーユーは費用対効果の面でも、チラシよりスマートフォンを利用したO2Oのほうが優れていると言います。紙のチラシは配布枚数が増えればコストも増えますが、アプリは配信人数が増えてもコストは変わらないからです。

 以前はEコマースとリアル店舗では市場の奪い合いという関係から対立関係にありましたが、現在ではネットとリアルの区別がなくなってきています。どちらかではなくどちらも戦略的に組み込んでいく時代になってきています。時代が変わってきているということなのでしょう。

 (参考文献 週刊東洋経済 臨時増刊 ネット通販大解明)

セブンイレブン

セブンイレブンに関して記載します。

コンビニエンスストアの売上高は年々増加傾向にあり2007年7兆4,895億円だったものが2011年8兆7,747億円。店舗数についても2007年40,405店に対して2011年は43,373店と増加傾向にあります。その中でセブンイレブンジャパンのチェーン全店売上高(2012年度)は小売業の中でも群を抜き3兆5,084億円、店舗数においては国内で約15,000店という圧倒的な店舗網を誇っています。商品群での年間販売額を見てみると、おにぎり(17億個)、弁当(4億6000万個)、ビール系飲料(4億6000万本)、雑誌・書籍・コミックス(2億4000万冊)などについては日本一多くの売上を上げています。このセブンイレブンが今攻めの姿勢を見せています。セブンイレブンは2012年度から出店ペースを加速させていて2012年度に1,067店の店舗純増し、2013年度は1,150店の店舗増をもくろんでいます。このセブンイレブンの動きに追随するように業界3位のファミリーマートも今年度1150店の店舗純増をもくろんでおり、セブンイレブンが他チェーンを出店競争に巻き込んでいる状態のようです。

セブンイレブンの商品に関する攻めの姿勢として、ファストフードとしてセルフ式のドリップコーヒー「セブンカフェ」の販売を2013年1月から全国展開を始めています。本格展開から半年足らずで累計5000万杯販売していて、初年度の販売数4.5億杯を見込んでいます。もともと日本のコーヒー市場は大きく、全日本コーヒー協会によれば、日本では1週間に1人当たり10.7杯のコーヒーが飲まれているようで、セブンイレブンはその市場のシェアを取ることを狙っているようです。セブンカフェ購入者のうち2割が一緒にサンドイッチや菓子パン、スイーツを買うという買い回り効果も出ているようです。

また、PBにおいては高付加価値型PB「セブンゴールド」を手掛けています。大手メーカーとセブンイレブンの共同開発商品で、いわゆる“ダブルチョップ”と言われるNBとPBの中間のいいとこ取りPBです。ちなみに「セブンゴールド」商品の、今年6月末からセブンイレブンとサントリーが組んで販売されたビール「ザ・ゴールドクラス」を買ってみたのですが、350ml、218円で他のビールとそれほど値段は変わらず、味はまろやかな飲みやすい感じでした。

また、セブンイレブンでは店内の品揃えを抜本的に見直しました。女性や高齢者を狙って、惣菜のほか、牛乳や豆腐などの日配品、コメや調味料、日用雑貨を強化しています。そして、商品の日持ちの改善を図り、従来に比べて廃棄ロスの出にくい商品を増やしました。例えばパスタは過去40時間程度で店頭から外していましたが、64時間に伸びました。これらの取り組みにより1店舗当たりの廃棄ロスはピークに比べ3割程度減少したそうです。商品の廃棄が増えれば、負担を避けたい加盟店が発注量を絞り、販売の減につながってしまいます。廃棄ロスは加盟店の負担にもなるため、廃棄ロスの出にくい商品を増やせば、加盟店も積極的に品揃えをするようになり、それが売上増につながるという好循環につながっていき始めているようです。

 商品力の強化による売上増、廃棄ロスの減による出費の削減という視点を持って利益拡大を図っているというところでしょうか。今後、セブンイレブンの店舗数拡大がコンビニエンス業界にどう影響を与えていくのか、注目だと思います。

 (参考文献:週刊東洋経済7/13 ブランドマーケティング)

PB(プライベートブランド)に関して

PB(プライベートブランド)に関して記載します。

 「マツモトキヨシ」に高付加価値のPBがあるという話を聞いて地元のマツモトキヨシに行ってみました。PBというと例えばセブン&アイ・ホールディングスの「セブンプレミアム」やイオングループの「トップバリュ」のような単価が低いイメージがあるのですが、マツモトキヨシはNB(ナショナルブランド)にも劣らぬ高付加価値なPBを販売しています。今日見たのはシャンプー・リンスの「ARGELAN(アルジェラン)」。今はやりのノンシリコンで、さらにオーガニックの要素も入っている商品。2本セットで3000円オーバーの価格で販売していて、ほかのシャンプーと比べて少し高めの価格設定かなと思いました。PB商品である「ARGELAN(アルジェラン)」を打ち出すためと思われますが、商品陳列場所は店を入ってすぐ、陳列棚のエンドに置かれていて、大きくPOP表示もされていて目立つようになっていました。マツモトキヨシが取り扱うPBは約2100品目、売上規模は約400億円にも及ぶそうです。日用品の低価格化が進む中で利益を創出するため、PBの高付加価値品を販売しているということのようです。

そもそもPBとは、流通業者(小売業、卸売業)が開発し、保有・管理するブランドのことで、流通業者が仕様書を作成し、メーカーに発注、大量購入で低価格を実現させているものです。流通業者がPBを開発する目的としては「企業の独自性・競合他社との競争を有利に進めるため、品揃えの独自性の発揮」「PBは流通業者が全品買取をすることが原則である一方、流通業がメーカー機能(広告宣伝、展示陳列、販売促進など)を代行するため、NBより高い利益を確保できる」「PBを大量に発注すればNBの仕入れ交渉において、流通業が有利に交渉を展開できる」ということが挙げられます。

PBに対してNBとはメーカーや生産者が製造し、保有・管理するメーカーブランドの総称のことです。NBのコストは製造コスト(製造原価)と流通コスト(テレビCM、新聞・雑誌広告、卸売業へのマージン、運送コスト)が発生します。

PBに関しては2008年のサブプライムローンに端を発する経済危機の発生により、NBに対してPBの利益率が高いことから、大手流通グループが一斉にPB比率の引き上げに走りました。富士経済によるとPB食品市場の2012年見込みが2兆6385億円で、2017年予測が3兆2093億円となっていて、継続的に市場拡大が予想されています。

PBを導入するメリットとしては小売業として「店の独自性の表現をしやすい」「中間マージンのカットにより、仕入れ価格の引き下げが可能となり、粗利益率が向上する」「NBと同価格なら、性能・品質の高い商品を販売できる」「独自で売価設定できる」「商品の質、機能、ロットを自由にコントロールできる」「バイヤー・マーチャンダイザーの商品企画力・開発力が上がる」ということが挙げられます。一方でデメリットとしては「売れ残ったときの在庫リスク」「値引き販売が小売業のブランド・ロイヤルティの低下につながる」といったことが挙げられます。

 店舗におけるNB・PBとの販売額の割合などを見ながら商品展開をしていけば、PBは店舗の利益向上や独自性の発揮を行うための武器になると思います。PBは低価格で販売されているものというイメージが強いのですが、マツモトキヨシの高付加価値のPBという視点は店舗の体質強化にもつながるでしょうから、非常に面白い視点だなと感じました。

 (参考文献:ブランド・マーケティング)