カスタマイズ志向に関して記載します。
近年、「自分のライフスタイルにこだわった商品を買いたい」という意識が全体的に高まってきていると言います。野村総合研究所の取ったアンケートの結果から見ると、自分のライフスタイルにこだわって商品を選ぶという消費者が、例えば20代男性だと2000年に34%だったのが、2012年に47%、60代女性だと2000年に18%だったのが2012年に33%と増えていて、それ以外の世代・性別においても全体的に増加傾向にあります。つまり、自分の持っているもので自分らしさを演出したいという意識を持つ消費者が増えてきているということのようです。例えばガラケーには多くの人が自分好みのストラップをつけていたと思いますし、スマホについては自分の好きなケースをつけていると思います。自分の好みに合わせて自分仕様に商品をカスタマイズするということが普通の時代になってきていると言えます。
ユニクロの商品をユザワヤなどで売っているレースやビーズ刺繍などでカスタマイズする「ユニデコ」も話題となりました。これも自分のライフスタイルに合わせた商品を購入する消費行動だと言えます。更にユニクロではこうした消費者のニーズに応えて「ユニクロカスタマイズ」というサービスの提供も始めています。商品を購入する際にオリジナルのデコレーションオーダーができるというウェブ通販のサービスで、パーカーやTシャツなどの定番アイテムに写真や文字をプリント・刺繍するなど、オリジナルな商品を作ることができます。HPではユニフォーム的な使い方が紹介されていました。
ビッグカメラ新宿東口新店では2012年からオーダーカラー家電サービスを提供しています。これは洗濯機や冷蔵庫などの家電製品の表面にフィルムを貼って、好きな色や柄を選べるようにしたものです。洗濯機や冷蔵庫といった身に着ける物以外でも、自分らしさを表現したいというニーズが出てきているということです。最近では家も中古を買って自分なりにカスタマイズする人もいるようです。これは中古物件を買ってカスタマイズして家賃を上げるという大家さんの戦略とは異なる、消費者が自分らしさを表す行動と言えます。
消費者がカスタマイズアイテムに対して、自分だけのオリジナルの商品として愛着を高めてくれることで、ブランドへの好感度・ロイヤリティが高まります。また、カスタマイズした商品を、購入した消費者がブログやSNSなどにネタとしてアップしてくれればバイラル効果も期待できます。消費者が自分らしさを自分の持っている商品で表現したいという思いが強くなっているということは、明らかに過去の大量生産・大量消費の時代と異なってきているということが言えます。消費者の購買行動からも時代の変化が感じられる興味深い事例だと思いました。
(参考文献 なぜ、日本人はモノを買わないのか?)