幅広い顧客の囲い込みに関して記載します。
「この商品はこの店で買う」という店舗のファンの新規獲得並びに固定客化するための競争相手は、同じエリアの小売店でした。少し前まで、価格や品ぞろえに大差がない場合は、一度来店してくれたお客様にポイントカードなどの特典を付ければ、それ相応に優位に立てました。ところが今では、ネットの影響により、消費者は人気商品の最安値はネットを探索すればすぐに出てくるし、これまでは集めることができなかった不特定多数の口コミも簡単に手に入れられるようになっています。一般の消費者がお得情報を簡単に大量に入手できるようになったことにより、少しくらいのポイントでは顧客の囲い込みを行えなくなってきました。
その影響から、新たな顧客の囲い込みの考え方がここ10年~15年の間に出てきました。「ポイント探検倶楽部(www.poitan.net/)」というサイトがあるのですが、ここを見ると小売店やサービス業で貯められるポイントはかなりの範囲で互換性を持っていることがわかります。例えばイオンリテールの「WAONポイント」や洋服の青山の「AOYAMAポイント」をJR東日本のSuicaポイントに交換できたり、「りそな銀行」や「東京電力」のポイントを高島屋のポイントに交換できたりします。中でも「Tポイントカード」はこのポイントの互換性に関しては代表的で、20以上の業種、100を超える店舗で同一のポイント(100円で1ポイントの「Tポイント」)を貯めることができます。その中には「ファミリーマート」や「ガスト」など、生活に密着した消費行動と深く関わりを持つ店舗が数多くあります。
また新たな顧客の囲い込みという視点から行くと「地域密着型のポイント」というものもあります。2009年より池袋の「ヤマダ電機LABI1」が池袋の飲食店が加盟する地域密着型ポイントサービス「エクポ」と連携を開始し、池袋の飲み屋でヤマダポイントが貯まるし、貯めたヤマダポイントを使って池袋の飲み屋で使うことができるようになりました。今ではヤマダ電機の新宿進出とともにエクポの使用範囲も広がり、池袋・渋谷・新宿・上野の加盟店で使えるようにもなっているようです。
最近、どこでもかしこでもポイントカードを発行していて財布の中がカードでパンパンになって、結局使わずに捨ててしまう、なんてこともありました。結局、興味が持たれないものは捨てられてしまうのです。情報が簡単に手に入るようになった時代だからこそ、自らの店舗や商品のファンになってもらうために、魅力のアップが必要不可欠でしょうし、上記のような新たな視点での考え方も必要になってきていると思われます。
(参考文献 「衝動買い」が止まらない!)