本日は「ドン・キホーテ」について記載します。
ドン・キホーテは1978年に東京の西荻窪で「泥棒市場」という名前で小規模の店舗からスタートしました。その2年後、いったん「株式会社ジャスト」とし卸売業に鞍替えしますが、1989年に再び小売業へ。1995年には現在の「株式会社ドン・キホーテ」に商号を改称します。翌年には店頭市場(現ジャスダック)に株式上場し、さらに1998年東証2部上場、2000年に東証1部へ上場と急成長を遂げていきます。小さな個人商店がたったの20年余りで一部上場の企業にまで成長したのです。
このドン・キホーテ。店内はごちゃごちゃとして通路が狭く、スーパーでみられるような陳列方法とは真逆の方法をとっています。このドン・キホーテの独創的な陳列方法は「ジャングル陳列」もしくは「圧縮陳列」と呼ばれているそうです。この陳列方法をすることによって次のような効果を目論んでいるようなのです。まず、通路に棚が出ていたりしていて人が一列にならないと通れないような通路スペースを作ることにより、顧客の流れを止めて渋滞を作り、商品に目が行きやすくするようにしています(このような陳列方法を突き出し陳列と言います)。これにより商品と顧客の接触回数を増やすことができ、衝動買いを誘発できます。また、どこに何があるかがわかりづらいので、顧客は店内をぐるぐる回ることとなります。顧客が店内をぐるぐる回ることにより、回っている間に顧客自身に意識していなかった需要を思い出させるということを狙っています。更には、かごやワゴンに投げ込んだままの状態に見せる陳列を行うなど(これをジャングル陳列と言います。)、無造作感、何気なさを演出することにより、安さを顧客に印象付けることもしています。費用対効果的な観点から見て、売場面積当たりのアイテム数を増やすことで、一商品当たりの家賃が下がるということ、並びに従業員一人あたりのアイテム数を増やすことで、一商品当たりの人件費を下げられる、ということも目論んでいるようです。この陳列方法の実践が、きっとドン・キホーテの強みになっているのだと思われます。
また、接客がほとんどなくても商品を選べるような売場づくりをするため、大量のPOP作戦をとっています。実際店舗に行くと、数字はほとんど赤文字、いろいろなところにPOPが掲出されています。新宿の店では、鞄売場のところに「機内持ち込みサイズ表」なるものがあって、販売員に聞かなくても、自分で鞄のサイズを実際に図れるような工夫もしていました。POPには「一度買った人は9割がリピーターに(お菓子のPOP)」「これでどんな時でも大丈夫(コスプレ用ナース服のPOP)」「倉庫ごと買い取ったので、この値段です!(輸入菓子のPOP)」など、顧客の背中を押すような言葉のPOPや安い理由を説得力あるコメントで主張するPOPもあったそうです。
今までにない陳列方法やPOP作戦によって急成長を遂げてきたドン・キホーテ。新たな戦略の開発とその戦略をぶれることなく実践しているということが、成功の原因のように思われます。
(参考文献 「衝動買い」が止まらない!)