ファストファッションと激戦地東京

「ファストファッションとその最大の激戦地、東京」という視点で記載します。

 日本の人口は首都圏への集中が目立っていまして、国道16号(通称:東京環状 神奈川県横浜市→相模原市→東京八王子市→埼玉県川越市→さいたま市→千葉県柏市→千葉市を結ぶ。)の内側に2,800万人もの人が住んでいます。日本の人口の約22%が、国道16号が囲む半径30キロ以内に集中しているのです。その状況下で、日本へ参入してくる外資系小売業の狙いは首都圏に絞られてきました。理由としては、首都圏をはじめとした大都市とその周辺は消費が活発で小売業にとって魅力的であることと、バブル崩壊により地価が低落するとともに規制緩和が急展開で進んできているので市場に参入し易くなってきているということが挙げられます。イタリア・ビアンコ社の調査によると、イタリアの高級ブランドメーカー52社が世界に展開する直営店は98年度で約4,000、このうち世界主要都市への出店は1位東京188、2位ミラノ124、3位ソウル108、4位香港104、4位ローマ104、6位大阪92、6位パリ92、8位台北89、9位ニューヨーク76、10位ロンドンという状況で、東京への市場参入が圧倒的という状況です。

そのような感じですので、ファストファッションに関しても、原宿、銀座、新宿と東京はファストファッションの最大の激戦地となっています。世界を代表するSPAをビジネスモデルにした10強のうち、なんと8社が日本市場での覇権を競っている状況です。

 更にファストファッションにおいては先発組のギャップ、ザラ、H&Mに加え、新興勢力ユニクロ、フォーエバー21、プライマーク(プライマークは日本の出店はない)など業界内での競合も激化しています。

ユニクロはデザイン、流行トレンドの早さより、現代社会の中にある生活者の解決型ニーズ(ウォンツ)をいち早く、安価に商品化することで、他社と一線を画しています。ファッション業界がそれまで、どれだけ付加価値をつけるかという視点だったことに対し、ファッションを生活必需品・消耗品というように新たな視点でとらえたのです。例えば、アメリカのポーラテックが独占していたフリース市場に挑戦し、それまで1着3~4万円であったフリースを一気に1,980円にまで価格破壊しました。それ以外にも、手薄だったレディス用途にブラジャーのカップを内蔵した「ブラトップ」、保温性の高い下着「ヒートテック」など大ヒットを飛ばしています。

フォーエバー21は1984年にロサンゼルスで韓国系のアメリカ人ドン・チャンとジン・チャン夫妻が創業したのです企業ですが、徹底したODM(相手先ブランドによる設計製造)調達で経費カットを実行する企業です。また、5週間で売り切ることを基本とし、週1回の発注でバイヤーが即決していきます。このスピード感が同社を成長させている要因とも言われます。

 「早い」「安い」「おしゃれ」と牛丼のような評判で一躍、時代の寵児に駆け上がったファストファッション。東京における激戦は市場環境並びに新たな視点でビジネスモデルを構築した後発組の市場参入による合わせ技で起こっていることが想定されます。さらに今後ファストファッションがどのように変わっていくのか非常に興味深いです。

 (参照文献 現代アパレル産業の展開)

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