本日は成熟市場で需要を創っているブランドに関して記載します。
ちょっと前に評判になった日清食品HDの「カップヌードルごはん」を食べてみました。水を入れてレンジで温めてさっとできました。意外とボリュームもあっておなか一杯になります。確かおにぎり2個分と書いてありました。この「カップヌードルごはん」、2010年8月に関西で先行販売し、2011年7月に全国販売しヒットした商品です。カップ麺全国首位の日清食品HDは「カップヌードル」という既存のブランド資産を活かし「カップヌードルごはん」を生み出しました。新規ブランドの低い「勝率」に加工食品各社が苦しむ中、存在感を増す小売業のプライベートブランドとの棲み分けを狙い、手持ちの有力ブランドを巧みに“多重活用”しているのです。
そもそも日清食品HDには既存ブランドを多重活用する制度があり、「カップヌードルごはん」以外には「麺の達人」を活用して、温度帯の異なる商品を扱うグループ会社である日清食品チルドが「つけ麺の達人」を販売するなどしています。このようなブランド商品を多重活用する戦略は、消費者の間で強まりつつある定番志向に合致したこともあり、成果を上げたようです。このようなブランドの多重活用は小売業のプライベートブランドとの棲み分けということ以外に、コンビニの棚を確保しやすいというメリットもあるようです。コンビニへの販路は、メーカー各社が次々と新商品を投入することから、新商品にとっては狭き門で継続的な販売は難しくなっています。しかしながら知名度の高いブランドを冠する商品ならば一定の売上確保も見込めるため、コンビニ側としても店頭に商品を並べやすいのです。
話は変わりまして、カルピス。カルピスはその経験率が99.7%と認知度も非常に高いのですが、少子化が進む中で苦戦を強いられてきました。ところが最近になり業績が改善していると言います。発端は2007年に着手した外部企業とのコラボレーションによる商品の多面展開と販促です。例えば2011年6月から期間限定販売した「カルピス蒸しパン」はコンビニで支持され、通常のヒット商品の3倍の売上を記録しました。他にはカルピスを使ったカルピス入りのホットケーキの販売にもチャレンジしたようです。外食店への開拓も行っていてカルピスを使ったカクテルや料理の提案も行い、今ではカレーの隠し味に使うチェーン店もあるようです。「カルピス社員のとっておきレシピ」なる本の販売もされているようです。
カップヌードルごはんにしてもカルピスにしても、既存のブランド商品を今までとは見方を変えて販売したことにより売上が回復したようです。商品が衰退期に入る前に新たな息吹を与えて新たな成長へ繋げたということでしょうか。商品自身の持っている力を再度見直し活用することによって成長戦略へとつなげていくということの例だと思いました。また、これは余談にはなりますが、居酒屋で気づいたら「カルピスサワー」とかが出ていて、飲んでるだけでしたけど、何気なく、いろいろなところにマーケティングが仕込まれているものだなと感じました。
(参考文献:日経MJトレンド情報源2013)