本日はリベートに関して記載します。
リベートに関してビールの話を例に挙げます。ビールの店頭価格は従来、ビール各社が販売数量に応じたリベートを卸売業者経由で小売店に支払うことで安く抑えられていました。しかしながら2006年にリベートが廃止。それにイオンが反発したため、卸売業者は原価割れの状態でビールを卸していたということがあったようです。他にリベートに関しては、小売業側がイベントなどを行ったりする際にメーカー側からお金をもらって什器代や広告代等に充てたりすることがあったりするのですが、不思議なことだなぁと思ったこともあります。しかしながら、このメーカー側が小売側にお金を出すということには古い歴史があるようです。
第二次世界大戦後、大量生産・大量消費の時代が到来し、「規模の大きさ」「情報力」「ブランド力」といった力を得ていったメーカーに力が蓄積されていきました。それに伴い、メーカー→卸→小売業という流通チャネル体制が構築されていきました。この際に価格に関してもメーカーが主導権を握るようになり、メーカー希望小売価格が小売店頭での価格となったのです。(メーカー希望小売価格:商品を製造するメーカーや輸入する代理店など、小売業者以外の者が自社の供給する商品について設定した販売参考小売価格)これにより、メーカーが主導でメーカー、卸、小売それぞれの利益配分を決める「建値制度」というものが確立していったのです。この建値制度はメーカーが卸や小売にいくらのマージンを払うか流通段階での利潤を見込んで最終小売価格をあらかじめ決めておくものになりますから、このシステムに乗っていればそれぞれの流通段階で利益を確保できていました。
しかしながら、この建値制度は取引量が利益にそれほど反映されない(小売業側が大量に仕入れて、大量に売ってメーカーに貢献したとしても、配分利益以上にはもらえない)という問題点がありました。メーカー間での競争もありますので、この取引量を反映しない建値制度を補う「リベート制度」が登場しました。
時代の流れとともに、小売店のチェーンオペレーションがアメリカを手本として少しずつ導入され、ダイエー、イトーヨーカ堂、ジャスコ(現イオン)など巨大な量販店が登場するようになりました。この結果、量販店は中央(本部)仕入れなどで大量仕入れを行うようになっていくと同時にPOSシステムの導入により商品の売れ行きが即時に掴めるようになることで、情報力をつけるようになってきました。このような流れで量販店が力をつけ、メーカーとの取引条件を有利な方向へと持っていくこととなりました。この中で、値引き、協賛金、リベート、インセンティブ、無料運送サービスなど多様な小売側への利益還元の仕組みが、個々の量販店ごとにできていったようです。
現状の問題点としてはメーカー側が個々の小売店の取引コストを把握していない状態で、個々の小売店の感度に応じたリベートで、個々のメーカーが販売促進を行っているため、複雑なリベート制度になってしまっているということがあるようです。
一見、不思議な制度に思えたリベート制度に関しても過去からの流れがあるということがわかります。
(参考文献:日本一わかりやすい価格決定戦略)