本日は価格「高くても買う」ということに関して記載いたします。
最近、だいぶ暑くなってきました。そろそろプールが賑わう季節ですが、このプールにも価格設定がいろいろとあります。例として地元の温水プールはウォータースライダーや流れるプールまでついていて2時間400円。屋外で開放的にレジャーを楽しむとして、豊島園のプールだと大人3,800円。最後にホテルニューオータニのプールだとビジター料金でなんと平日12,000円。プールという括りだけでもこれだけ価格設定に差があるのですが、ホテルニューオータニのようなシティホテルのプールは高価格にもかかわらずOLを中心に若い女性に人気なのだそうです。理由としては、「高い料金設定で学生を中心とする若年層が来ないためプールが混雑しない」「高い料金設定にすることにより利用顧客が比較的ハイソサエティ層に限定される」ということがあるようです。確かに昔、豊島園のプールに行ったときは流れるプールがイモ洗いで、泳がずぷかぷかと水に浮かんでた記憶があります。
このような『価格』が持ち合わせている意味として3つあります。一つが“高いのは嫌だ”という「支出の痛み」。二つ目が価格で品質を推し量るという「価格の品質バロメーター」の意味。例えばなのですが、薬局に行って薬を買おうと思った時、成分を見ても意味が分からないし、ブランドもCMとかで聞いたことはあるけど違いがよく分からないし、でもあんまり副作用があるような商品は避けたいし、という時、ちょっと高めの商品を選んだりします。価格で商品の良し悪しを判断しているのです。これが「価格の品質バロメーター」です。三番目に“自分は高いものを買えてすごいぞ”という自己表現価値「価格のプレステージ性」です。単なる移動だけなら軽自動車でも良いのですがベンツのほうが良いというあの感じです。
ホテルニューオータニのようなシティホテルのプールは、高価格にすることによって高いプレステージを維持し、高くないと買わない人々をターゲットとしているのです。価格設定で一旦ターゲットを絞ったら、その変更は慎重に行った方が良いようです。バブル崩壊後、景気悪化に伴い大手旅行代理店の値下げ圧力に押される形で有名旅館やホテルの低価格化がかなり進みました。この際、既存顧客であるハイソサエティな顧客が離れていきジーンズ姿の若者がやってくるという顧客の入れ替わり現象が起きたということです。今現在は高級化路線を走るモスバーガーも、過去、1999年春に低価格セット、同年夏に190円の「グリルソーセージバーガー」で新規顧客開拓を狙いましたが、客単価と平均来店客数の減という結果で終わったということがあったようです。
このシティホテルのようなケースは会員制のゴルフクラブ、リゾートクラブ、高級フィットネスクラブのような高級サービス業にはほとんどあてはまるようです。しかしながら価格が高いということに関して、重要なことはその中身で、ただ高いだけではなく、価値をしっかりと築き上げておかなければならないということです。何を販売するにあたっても付加価値を少しでも多く付け加えられるように努力が必要ということなのだと感じました。
(参考文献:「日本一わかりやすい価格決定戦略」)