本日は顧客の深耕度に関して記載します。
アメリカの企業でアウトドア製品で知られるL.L.ビーン社という会社があります。この会社ですが、ネットのサイトを見ると次のようなコメントが出てきます。「すべてのL.L.Bean商品はお客様に100%ご満足いただけるよう、保障されています。もしお買い上げの商品にご満足いただけない場合には、いつでもご返品ください。」というコメントです。
さてこの会社、創業した1912年に革張りの上に防水のゴムでカバーしたハンティング・シューズを100足販売しました。このシューズに100%満足保障のタグをつけて販売していたのですが、3週間で返品が始まり、最終的には100足中90足が返品されました。返品理由はシューズをカバーしていたゴムがはがれたからなのですが、この会社は90足すべての靴を取り替え、100%満足保障を実行したことにより、消費者の信頼を勝ち取りました。そして、商品の品質も向上させ、ビジネスを軌道に乗せたのです。似たような例で、全米最大の高級デパート「ノード・ストローム」もだいぶ履いてしまった靴ですら、苦情を言えば交換してくれるそうです。以上のような顧客満足度向上を重要視する経営には『顧客が感じる価値を高める』という目的があります。企業が提供する商品・サービスを顧客が価値があると考えた際にお金を払うわけで、顧客から高い価格を支払ってもらおうとするならば、企業側はそれなりの価値を顧客に提供しなければなりません。
企業にとって消費者には段階があります。1番目が見込み客。2番目が顧客。3番目がロイヤル顧客。見込み客の段階では企業と消費者の関係は弱く、消費者はあくまで潜在的な顧客に過ぎません。続いて顧客の段階においては競争企業と価格を比べながら自社で買うかどうかを決めている段階で、進んで高い価格を払ってまで自社で商品・サービスを買ってくれようとはしない段階です。そして最後にロイヤル顧客ですが、この段階にまでなると消費者は自社にとって熱心なファンになっていて、商品・サービスの価値を非常に大きく感じて、価格が高くても喜んで支出してくれるようになります。ロイヤル顧客が増えれば企業は長期的に利益を確保しやすくなります。ロイヤル顧客をたくさん抱えている例としてカルティエやルイ・ヴィトンなどのラグジュアリーブランドが挙げられます。
自社が消費者に与えている価値を高めていくことにより、見込み客から顧客へ、顧客からロイヤル顧客へ、徐々に消費者が自社のファンになっていきます。「与えられる存在になる」ということが生き残っていくうえでの前提になるようです。
(参考文献:日本一わかりやすい価格決定戦略)