今日はまちづくり3法に関してアップします。
まちづくり3法とは「生活環境への影響など社会的規制の側面から大型店の出店の新たな調整の仕組みを定めた『大規模小売店舗立地法(大店立地法)』」、「中心市街地の空洞化を食い止め活性化活動を支援する『中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律(中心市街地活性化法)』」、「土地の利用規制を促進する『(改正)都市計画法』」の3つの法律を総称して言う法律で1998年に成立されました(大店立地法のみ2000年施行)。
まちづくり3法は都市計画の観点から大型店の立地を規制していこうと創設された法律でしたが、近年の店舗面積の拡大、中小小売業の事業所数の減少が表している通り、大型店の出店増加や郊外立地、店舗の大規模化は止まらず、中心市街地の空洞化も進んでいきました。そのような状況を受け、2006年に都市計画法と中心市街地活性化法が改正。都市機能の郊外への拡散の抑制、中心市街地の再生、都市のコンパクト化とにぎわいの回復を目指した法改正が行われたのです。
まちづくり3法に限定していうと、そもそも大型店の立地の流れは出店場所が「都市計画法」上、立地しても良い場所かどうかで判断された上で、可能な場所であれば「大店立地法」の届け出による審査で立地が決まります。
その都市計画法ですが、大型店の立地に影響する制度として大きく「区域区分」と「用途区分」の2つあります。「区域区分」はすでに市街地を形成している区域と概ね10年以内に優先的、計画的に市街化を図るべき区域の「市街化区域」と市街化を抑制すべき「市街化調整区域」とに区分する制度です。そういえば町を歩いているとたまに空き地のような場所に「ここは市街化調整区域です」という看板が立っているのを見たような気がします。次に「用途区分」に関してですが、「市街化区域」を更に細分化するイメージで、住宅、商業、工業など市街地の大枠としての土地利用を定めているもので、現在12種類あります。身近な例だと、よく不動産の図面で載っているもので商業とか工業とかでしょうか。以上のようにこの法律により、まず市街地と市街地でない区分にわけ、無秩序な市街地拡大の防止と良好な市街地の形成を図り、そして市街地では住宅用地や商業用地、工業用地などに区分し、住み良いまちを形成しようとしています。
さて、まちづくり3法が1998年にできたにもかかわらず、大型店の出店攻勢が衰えず、店舗立地の郊外化と店舗の大型化に歯止めがかからなかったかということについてですが、2006年の都市計画法改正以前では大型店の立地は市街化調整区域では原則不可だったのですが、非線引き白地地域や都市計画区域外・第2種住居地区や準工業地区では大型店の立地に床面積の制限がなかったということがあります。こういったことを受けて2006年に都市計画法と中心市街地活性化法が改正されたのです(大規模集客施設の立地は近隣商業地域、商業地域、準工業地域に限定された)。この法改正後、チェーンストアはショッピングセンターの新規出店を減退させるとともに、大型店とコンビニの中間的な食料品スーパーなどの出店を増やしているようです。
様々な法律や社会の仕組みの変化に伴って商環境は変わってきます。ただ、どう変わるか100%わかるわけではありません。ヤマダ電機が郊外で力をつけて、都心部に進出し、今では世界の小売業売上高ランキング34位に入っているように、日々着実に実力をつけるように努力していくしかないのかもしれません。
(参考文献:小商圏時代の流通システム)