ランチェスター戦略

本日はランチェスター戦略についてアップします。

【ランチェスター戦略:占有率】

ランチェスター戦略においては競合他社と自社を比較し、どれだけのシェアをとればよいのかということを体系化しています。ランチェスター戦略では7つの数値をシンボル数値として設定しています。①74%。目指すべき最終目標(100%のシェアをとってしまうと競合プレイヤーがいなくなり市場が縮小)。②42%。40%のシェアを超えると2位を圧倒的に引き離し、値引きなどの消耗戦に巻き込まれず、収益力も大幅に増す。③26%。強者の最低条件の数値。この数値を下回るようだと、1位の地位は安定せず、2位との差が僅差となり、激しい消耗戦が繰り広げられ儲からなくなる。④19%。どんぐりの背比べ状態の中から上位グループに入れる数値。⑤11%。市場の中で存在感が増す数値。⑥7%。市場に存在が認められる数値。⑦3%。市場への参入段階。

さて、上記数値を持って専門店の売上高を例に見てみます(数値は日経MJトレンド情報源2013から)。まずカジュアル衣料売上高シェアを見てみるとユニクロが約50%の売上シェアを占めています。この数値はランチェスター戦略の理論からいくと2位を圧倒的に引き離している数値です。2位以下はポイント、ユナイテッドアローズ、ライトオンと続きますが売上高シェアは10%以下となっています。この結果はユニクロの強さを数値で裏付けているような気がします。また、家具売上高シェアを見てみるとこれまたニトリが売上高シェアを約60%。2位・3位の山新、大塚家具が10%ほどの売上シェアですから、ニトリの強さについてもユニクロ同様にその数値で裏付けられているように感じます。続いて最近、業績悪化に伴い業界再編が進んだ家電製品の売上高シェアですが、ヤマダ電機がシェア約30%。業界のトップを走っていますが、ヤマダ電機にはユニクロほどの圧倒的な強さを感じないような気がします。それは業界トップではあるものの市場占有率が2位以下を圧倒的に引き離すほど大きな数値になっていないということもあるのだと思われます。

 上記はあくまで例として売上高シェアで市場占有率をみてみましたが、ランチェスター戦略で作戦を立てていく際はもっと市場を細分化して(地域とかジャンルとか)、その占有率を見ていく形となります。つまり、勝てる分野でオンリーワンになるように市場占有率74%を目指せば他を寄せ付けないナンバーワンになれるということです。ほかの言葉でいえば集中と選択とか特化するとかいうことになるのでしょうか。ナンバーワンよりオンリーワンというよりも、オンリーワンになれればナンバーワンになるという話です。

なお、今回の内容で行くと全くの蛇足なのですが、ランチェスター戦略に「戦闘力=武器効率×兵力数の2乗」というものがあります。近代戦において敵味方が同じ武器を持っていて、味方が5人、敵が3人ならば、5の2乗-3の2乗=√16となり、味方が4人生き残って、敵は全滅という形になります。単純に引き算で味方が2人生き残って、敵は全滅とはならないのです。その件で昔読んだランチェスターの本に「だから寝ないでやればいいんだ」といったようなコメントが書いてありました。その時は「それってどうなの?」と思いました。今では寝ないでやるのは健康に良くないとは思うものの、時間を消費・浪費するのではなく、投資に使うことが必要だということを言いたかったんだろうな(個人の資質=能力×時間の2乗)と良い意味で解釈することにしています。

【ランチェスター戦略:足下の敵】

市場が成熟してくれば、各企業の市場のパイの奪い合いが始まります。その際、「自社の売上・利益をどこから奪えばよいのか」ということになりますが、ランチェスター戦略では、自社よりシェアが1ランク下の足下の敵から奪えということになっています。1ランク下よりもっと弱い会社を攻めるのではなく、足下の敵を叩く理由は、自社の伸び分と1ランク下の敵のシェアの減少分の合計分差でますので、下の敵に順位を脅かされる可能性がなくなるのです。ではどのように1ランク下の敵を叩くかというとミート戦略をとります。ミート戦略とは1ランク下の敵に合わせて同じ戦略をとり、敵の得意分野を消し去ってしまう戦略です。

ミート戦略というと個人的には百貨店の物産催をイメージしてしまいます。例えば池袋の西武百貨店と東武百貨店。西武池袋本店は2011年の店舗別売上高が2位。東武百貨店池袋本店は10位。JR池袋駅の線路を挟んで向かい合っている池袋を代表する2店舗です。さてこの両店舗の2013年の催事でみると、東武百貨店池袋本店では5月2日~14日まで「初夏の大北海道展」を開催していますが、それに合わせて西武池袋本店は4月20日~5月7日まで「全国味の逸品会」5月9日~13日には「素材のチカラ 味の国の菓子祭」を開催しています。あくまで僕のイメージなのですが西武池袋本店が東武百貨店池袋本店と同時期に物産展をぶつけることによって、物産展によってもたらされる東武百貨店池袋本店の集客力の増を無効化しようとしているように思います。他のエリア、新宿でみると、5月29日~6月4日に2011年店舗別売上高が14位の新宿の小田急百貨店が「北海道物産展」。5月29日~6月3日まで1位の伊勢丹新宿本店が「“チアアップ!”ニッポンの“食”展」。こちらも物産展を同時期にぶつけています。(ちなみに同時期で26位の新宿高島屋が「「大学は美味しい!」フェア」を開催しています。)経営戦略なので、本当のところはわかりません。ただ、地域1番店をより確実なものとし店舗力を強化するために、西武池袋本店が東武百貨店池袋本店を、伊勢丹新宿本店が小田急百貨店を攻撃しているように思われます。

 弱者がとる戦略は差別化ということになりますが、強者は弱者に同質化していきます。強者が弱者に合わせるのは価格競争に持ち込み、弱者の体力を奪うということもあるようです。ただ、本当の強者などごくごく一部なのでしょうから、ほとんどの場合は常に自分の特徴を出せるように努力することが重要な気も個人的にはしています。

 (ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則)

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