ネット販売とPB

本日はネット販売とPB(プライベートブランド)に関して記載します。

アメリカにおいて1916年にグローサリーストアのピグリーウイグリーが、顧客が自分で商品を手に取って選び、買物かごやショッピングカートに入れ、レジで一括会計して代金を決済するというセルフサービス方式を導入して以来、豊富な品揃えとローコストオペレーションが実現し、小売店では対面販売の小売店からセルフサービス方式が発展するという変化が起きました。そして現在、その時と同じような小売業の変化がアメリカで起きているといいます。それがネット販売の急成長です。2012年のアメリカのネット販売市場は小売業トータルの約5%のシェアを占め、前年比で15%強の成長を示しているようです。

その中で、アメリカにおいて、リアル店舗で商品の実物を見て、実際の購入はアマゾンのようなネットショップで行う「ショールーミング」という消費行動が常態化してきています。

ウォルマートのようなスーパーセンターの大型店は圧倒的な品揃え数によるワンストップショッピング機能で人々に支持されてきました。それと同時に「エブリデーロープライス」などの価格訴求を行ってきました。しかしながら、品揃え数についてはネットの方が豊富になってきていますし、最低価格は、スマホで簡単にどこが一番安いか確認が取れるようになり、小売業の低価格戦略が以前ほどの強みではなくなってきました。スーパーセンターの強みが弱体化してきているのです。その状況に対抗するため、アメリカの大手ディスカウントストア「ターゲット」は、商品はリアル店舗で見て買い物はネットという「ショールーミング」を避けるため、大手トップブランド企業に「差別化のできるPB商品の開発」を迫っています。PBで独自の商品を提案することでネットとの価格比較を避ける作戦です。今後もPB商品の開発が進むことが想定されます。PBが増えるということは、メーカーにとっては商品の陳列スペースが減るということになります。メーカーとしては対策を取らなければならないわけで、生き残りをかけてネットを使って消費者へ直接販売を始めているようです。そのことが小売業とメーカーの間で軋轢を生んでいることもあるとのことです。

さて、日本のPBの購入率を見てみると、その数値は意外と高いものとなっています。例えば2012年で最近1年間に最もよく利用したスーパー・コンビニにおける「菓子/デザート/おつまみ」の購入率を見てみますと43.8%という数値になっています。さらに20代の購入率においては50.3%と約半数もの人がPB商品の購入を行っているという結果となっています。また、清涼飲料やお茶もPBの購入率は高く、ともに30%を超える数値となっています。最近、スーパーやコンビニへ行くとだいぶPBが多いなあというような実感もあります。2012年に「ファミリーマートコレクション」にブランド統一されてはいますが、「ボクのおやつ」は税込105円で安かったですし、PBのお茶系も安いから商品棚で選んでいる時にはすぐに見てしまう自分がいます。日本においても小売業者ごとに差別化を図るためPBを強化する=メーカー独自商品の陳列スペースが減るということが確実に起こっているということが言えると思います。

ネット販売とPB、相関関係がないように思っていましたが、そうではないということを感じました。

 (参考文献:実店舗で商品を売るにはどうしたらよいのか!?)

広告媒体費に関して

本日は広告媒体費に関して記載します。

 最近、SNSを使った売上対策の本をよく見ます(FaceBookやTwitterで売れる方法みたいな)。これらSNSは無料で使用でき、バイラル効果(口コミによる情報拡散)も期待できることから、こういった本がよく売れるようになってきていると思われます。新しい情報発信方法であるため、いろいろな人がいろいろと効率的な方法を探っているということの表れでもあるようにも思われます。

 情報発信という視点から企業の広告費の推移をみると近年低下傾向にあります。総広告費の推移を見てみると2006年に69,399億円であったのに対し2011年は57,096億円と減少。2010年の総広告費が58,427億円ですので震災影響があったとしても総広告費の減少傾向が読み取れます。総広告費の50%以上の割合を占めていたマスコミ4媒体(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)も激減。その中でも大きな割合を占めるテレビに関しては2006年から2011年にかけて△14.5%広告費が減少しています。一方で全体的な広告費が減少する中で特筆すべきはインターネット広告費で2006年から2011年にかけて67.1%増しています。この状況は企業が従来からあるマスコミや折込、つり革広告といった媒体方法からネットを使用した媒体方法への方向転換を模索している時期とも言えるかと思います。

 次にマスコミ4媒体における業種別広告費の推移を見てみます。これは先ほど述べたように2006年から2011年に広告費が激減している中で、どの業種についても広告費を減らしています。(ただし、官公庁・団体の広告費のみ2011年急増。2010年と2011年の対比で166.4%増。ACの「あいさつの魔法。(ポポポポ~ン)」等の広告が一気に増えたことが原因と考えられます。)流通・小売業に関しても2006年23,486千万円に対し2011年18,694千万円という結果になっています。

 最近では「続きはネットで」のようなテレビCMとネットを融合させた手法も一般化してきていますが、ネットの登場により広告のあり方も費用対効果の観点から変化が求められてきている時代になってきたということが言えると思います。一方で非常に多くの企業が情報発信方法としてネットを活用するようになってきていることから、十分に学んでから参入しなければその効果性も薄くなってしまうようにも思います。

 (データは「流通統計資料集」より)

出店する際の立地

本日は出店する際の立地に関して記載します。

 商売を行うに当たって商品力やサービス等が重要であることはもちろんですが、どこに立地するかということも重要になってきます。そのことはネットで商売しようとHPを作成したとしても誰も見てくれなければ売上が上がらないのと同様です。どこに立地するか判断する上で難しいのは、この場所は交通量が多いからとか駅が近いからとかで立地場所を選んだとしても100%うまくいくとは限らないということだと思います。いい場所に立地するには、人口総数や年齢別人口、就業者数、世帯人数別世帯数など各種データをもとに分析するとともに現地で調査を行い五感で人々の動きを感じ取るということも必要なようです。

 立地を行う際に通行人を対象とした場合、交通発生源(Traffic Generator)を把握することが基本となるようです。交通発生源とは駅や大型小売店のことを指し、多くの人が向かうところになります。この交通発生源と交通発生源を結ぶ、人々が歩くラインを、動線と呼び、この動線にそって出店を行うといいということです。駅周辺に立地する場合は “駅の改札口はいくつあるのか”“駅の改札口はどのように使われているのか”“駅のホームから見えるのか”といったことも判断材料とします。駅によっては、北口は発展しているけれど南口はそれほど、などということが多々あるような気がしますから、そういった部分を出店の検討を行う際には事前に現地で見ておくことが必要だと言えます。自分の出店しようとしている場所が多くの人から見える、視界性の高い場所であることが重要です。また、駅の乗降客数が多い駅は商売をするにあたって有利になると考えがちですが、バスやタクシーが運行する駅であれば、乗降している人々は乗り換えでその駅を使用しているだけで必ずしも顧客になるとは限りません。しかも乗り換えをする人は歩くのが早いですから、自分の店をそれほど見てくれないということもあります。

ロードサイドの出店の際にも注意することがあります。100m以上手前から店舗あるいはその看板が見えていないと車を使用しているので、顧客が店を使用してくれる確率が減ります(車は急に止まれないから)。通行人を対象とした場合と同じで視界性が高い場所で立地をすることが重要となります。例えば街路樹がある通りの場合、冬はドライバーから店舗やその看板が見えるかもしれませんが、夏になってしまえば葉っぱで店舗やその看板は隠されてしまい、ドライバーからその存在を気づいてもらえなくなります。また、道がカーブしている場合は左カーブにしても右カーブにしても共通してアウトカーブ側の方が視界性は高くなります。合わせて、通行人の際に記載した動線と同様の考え方で、ロードサイトの場合にも例えば空港と都市圏を結んでいる道路であるといった場合、立地に有利な場所となります。店舗前道路がどのくらい延びているかということも立地の判断材料となります。その道路の利便性、つまり広域に商圏が伸びる可能性があるかどうかがわかるためです。

 立地は店舗を持つにあたって最初の重要なポイントとなります。立地をするにあたってはそれなりの投資額も出費するわけですから、しっかりと調査を行った上で判断をしてROIを少しでも高めていくことが必要だと思います。

 (参考文献:売上予測と立地判定)

ブルー・オーシャン戦略

本日もブルー・オーシャン戦略に関して記載します。

ブルー・オーシャン戦略の考え方で過去大きく売上を伸ばしたものの中に任天堂のWiiがあります。Wiiは2006年末に販売されましたが、その成功により任天堂の株式時価総額は1年で倍以上に成長したほどです。もともとゲーム市場は1997年をピークに縮小を続け、2003年にはピーク時の約半分の3000億円程度まで縮小していました。そのような中、Wiiは主婦やおじいちゃん・おばあちゃんといった新しいユーザー層を作り上げ「新しい市場を創造」しました。Wiiとほぼ同時期にPS3も販売されましたが、Wiiが約1年間で1317万台の売上に対しPS3は約1年で559万台の売上という結果。PS3は「リアルなグラフィック」「コンテンツの難しさ」「音楽の完成度の高さ」といった機能の高さと多機能化を、最先端技術を使って徹底的に追求した商品。従来の業界内の競争内容を踏襲した次世代マシンで、かなりの高い機能性や中身を持っていたにもかかわらず、買手はそこまで求めてはいなかったのです。一方でWiiは「ゲーム市場の縮小」を直視し、「ゲームをあまりやらない人やまったくやらない人」をどのように開拓していくかに注目しました。また、ゲーム機が生活から離れていくのと対照的に、携帯電話が生活に溶け込んでいく様子を見て、「家族の生活に溶け込む」ゲーム機の開発を心がけました。このような取り組みにより「シンプル」で「短時間でできて」「マニュアルがなくてもできて」「体を動かしみんなでコミュニケーションできる」という新たなタイプのゲームを作り上げたのです。また、ゲーム機の購入に大きく影響を与える母親がゲームを嫌がることがないよう「夜うるさくないようにコンセントをつないだままでも、寝ているときはゲーム機内部の放熱ファンを止める機能」までつけていました。PS3の取った戦略をレッド・オーシャン戦略、Wiiの取った戦略をブルー・オーシャン戦略と言います。

さて、小売業においてブルー・オーシャン戦略を活用し成功した店にユニクロがあります。基本的にアパレル業界はファッション性や流行を訴えかける、非常に感性の高い業界で、シーズンごとにパリ・ミラノ・ニューヨーク・東京などで行われるコレクションを、一般向けに置き換えて提供するというのが標準的なビジネスモデルとなります。ところがユニクロはそのような感性志向の商品戦略を取るのではなく、洋服を機能的に捉え、さほど流行を追わないスタンダードな着まわしのきく洋服を提供しました。店頭の見せ方もVMD的に合理的だと思わせるディスプレイをしています。同じ製品・様々なサイズをお客様が手に取りやすいように陳列が工夫されています。話は逸れますが、VMDの教材が本屋などで売られているのを見ますし、その重要性は認知されていると思いますが、ファッション関係の店舗でしっかりとカラー戦略が行われているお店はそれほど多くないような気もします。それだけユニクロが商品の製造から陳列までお客様からのわかりやすさを追求しているのだとも感じます。話を戻しまして、ユニクロもWii同様、感性中心のアパレル業界において、機能性という新市場を開拓し成功したということです。

ブルー・オーシャン戦略、レッド・オーシャン戦略、どちらが正しいというわけではなく、その都度、使い分けをしていくことが重要なようです。小売業においてもゲーム業界同様、市場が縮小していますが、どのような戦略を取って生き残りを図っていくのか、十分に検討していくことが必要なのかもしれません。

 (参考文献:日本のブルー・オーシャン戦略)

ペットフードに関して

本日はペットフードに関連して記載します。

ペットフードの購買者は、ほとんどが家庭の主婦で、食べるのはもちろん犬や猫といったペットになります。その中でキャットフードに関してですが、1990年代、日本のキャットフード業界は実際にキャットフードを食べる猫のために、栄養のバランスや美味しさ(食いつきの良さ)を競っていました。まさしく食べる側の顧客視点に立って企業間で競争を繰り広げていたようです。そういった状況の中で世界最大の食品・飲料ブランドのネスレがキャットフードの缶のサイズを半分にすることによってキャットフードのシェアを劇的に伸ばしました。当時、キャットフードは185グラム缶が主流でしたが、185グラムの大きさでは食べ残す猫が多かったようです。そのことに対して主婦は不満を持っていました。そこで、この点に着目したネスレが、食べきりサイズのシングルサーブ缶(90グラム)の販売をスタートしました。今でこそ、スーパーに行くと90グラムくらいの大きさのキャットフードがたくさん売っていますが、当時はきっと画期的だったのでしょう。日本のキャットフード業界が基本的に「利用者である猫が好む食事は何か」という軸でしか競ってこなかったことに対し、ネスレは実際の購買者である主婦層のニーズを詳細に調べ、食べ残しの無駄をなくしたい(コスト削減したい)というニーズを発見し、新たな市場を開拓したのです。さらにネスレは、そのシングルサーブ缶を、グラム単位としては185グラム缶より高い価格設定にして、高級ブランドとして展開。独自のポジションを確立したということです。

 買手は単一ではなく、実際に物を買う『購買者』以外にも様々な存在が関わっていることがあります。実際に物を購入する購買者以外の存在として、購買者と利用する者が違ければ『利用者』がいます。これは先のネスレの例でいくと購買者が主婦で利用者が猫です。子供に携帯電話を持たせている親も購買者と利用者が異なる例でしょう。また、場合によっては購買者に影響を与える者(『影響者』)も存在します。この例としてはテレビで「これ良い」と芸能人とかが言うとたくさん売れたりする時の芸能人が影響者に当たると思います。ネスレのように、買手を一塊で見るのではなく、ニーズや立場の違う買手の連鎖として捉え、それぞれの違いに着目することによって、新たな成長につなげることができるということです。

 昔アメリカでは今の日本と同じように鉄道が主な交通手段だったと言いますが、今ではバスや飛行機にそのシェアを奪われているそうです。その原因として鉄道会社が自分たちの事業を輸送事業ではなく鉄道事業と考えていたため、自分たちの顧客がバス等ほかの交通手段を使ったとしても、うちは鉄道会社だから関係ない、と考えてしまったからだと言います。このことからも一定の枠組みの中に縛られた考え方をするのではなく、業界の常識よりも全体を広く見渡す力を養っておくことも必要だと言えます。

 (参考文献:『日本のブルー・オーシャン戦略』『100円のコーラを1000円で売る方法』)

プロスペクト理論

本日はプロスペクト理論について記載します。

2002年にノーベル経済学賞を受賞したカーネマン教授とその友人トバスキー教授が唱えた理論で「プロスペクト理論」というものがあります。通常1000円くらいだろうなと思っていた商品が800円で200円得したなという時と、通常800円の物を1000円で買って損したなという時だと、同じ200円でも、消費者にとって損をした時の方がインパクトは強いという理論です。この理論をグラフ化すると掲載しているもののようになります。このグラフの傾きを見てもわかるのですが、得をするときと損をする時では、損をする方が急になっています。つまり、損失のほうがインパクトは強くなります。また、効用逓減といって利得、損失ともに次第に曲線は水平に近づいていくこととなります。

 感じ方は人それぞれだとは思いますが、「損した」「得した」という場合、それぞれの額が同じでも感じ方が異なるということは面白い話だと感じました。

 (参考文献:「日本一わかりやすい価格決定戦略」)

リベートに関して

本日はリベートに関して記載します。

リベートに関してビールの話を例に挙げます。ビールの店頭価格は従来、ビール各社が販売数量に応じたリベートを卸売業者経由で小売店に支払うことで安く抑えられていました。しかしながら2006年にリベートが廃止。それにイオンが反発したため、卸売業者は原価割れの状態でビールを卸していたということがあったようです。他にリベートに関しては、小売業側がイベントなどを行ったりする際にメーカー側からお金をもらって什器代や広告代等に充てたりすることがあったりするのですが、不思議なことだなぁと思ったこともあります。しかしながら、このメーカー側が小売側にお金を出すということには古い歴史があるようです。

 第二次世界大戦後、大量生産・大量消費の時代が到来し、「規模の大きさ」「情報力」「ブランド力」といった力を得ていったメーカーに力が蓄積されていきました。それに伴い、メーカー→卸→小売業という流通チャネル体制が構築されていきました。この際に価格に関してもメーカーが主導権を握るようになり、メーカー希望小売価格が小売店頭での価格となったのです。(メーカー希望小売価格:商品を製造するメーカーや輸入する代理店など、小売業者以外の者が自社の供給する商品について設定した販売参考小売価格)これにより、メーカーが主導でメーカー、卸、小売それぞれの利益配分を決める「建値制度」というものが確立していったのです。この建値制度はメーカーが卸や小売にいくらのマージンを払うか流通段階での利潤を見込んで最終小売価格をあらかじめ決めておくものになりますから、このシステムに乗っていればそれぞれの流通段階で利益を確保できていました。

しかしながら、この建値制度は取引量が利益にそれほど反映されない(小売業側が大量に仕入れて、大量に売ってメーカーに貢献したとしても、配分利益以上にはもらえない)という問題点がありました。メーカー間での競争もありますので、この取引量を反映しない建値制度を補う「リベート制度」が登場しました。

 時代の流れとともに、小売店のチェーンオペレーションがアメリカを手本として少しずつ導入され、ダイエー、イトーヨーカ堂、ジャスコ(現イオン)など巨大な量販店が登場するようになりました。この結果、量販店は中央(本部)仕入れなどで大量仕入れを行うようになっていくと同時にPOSシステムの導入により商品の売れ行きが即時に掴めるようになることで、情報力をつけるようになってきました。このような流れで量販店が力をつけ、メーカーとの取引条件を有利な方向へと持っていくこととなりました。この中で、値引き、協賛金、リベート、インセンティブ、無料運送サービスなど多様な小売側への利益還元の仕組みが、個々の量販店ごとにできていったようです。

 現状の問題点としてはメーカー側が個々の小売店の取引コストを把握していない状態で、個々の小売店の感度に応じたリベートで、個々のメーカーが販売促進を行っているため、複雑なリベート制度になってしまっているということがあるようです。

 一見、不思議な制度に思えたリベート制度に関しても過去からの流れがあるということがわかります。

 (参考文献:日本一わかりやすい価格決定戦略)

ブルー・オーシャン戦略・レッド・オーシャン戦略

本日はブルー・オーシャン戦略・レッド・オーシャン戦略に関して記載します。

カナダのポップス/R&Bシンガーでジャスティン・ビーバーという人気歌手がいます。彼が歌手として成功するにあたって、きっかけとなったのがYouTube。今でこそいろいろな人がYouTubeにアップして自己表現をしていますが、YouTubeから出てきた草分け的存在がジャスティン・ビーバーらしいのです。よく言う先行者利益を得た一人ということだと思います。

 先行者利益とはちょっと意味合いが違うかもしれませんが、ブルー・オーシャン戦略というものがあります。ブルー・オーシャンとは、今はまだ存在していない市場=新たな需要を創造するという意味合いです。新たに創造された市場にはまだルールがありませんので、利益の伸びは大きくなり、自社の成長スピードも速くなります。

ブルー・オーシャンと比較する考え方としてレッド・オーシャンという言葉もあります。レッド・オーシャンの状況では市場の参加者は限られたパイを奪い合うべく、しのぎを削っています。多くの企業が「競争に打ち勝つ」ことを戦略の目標として多くの時間を費やしている状態となっているのです。そのような状況なので競争のルールも広く知れ渡っています。また、競争相手が増えるにしたがって製品がコモディティ化していくという問題も出てきます。

さて、ブルー・オーシャンの例としてアスクルの戦略があります。過去、文房具業界においては従業員30人未満の小規模企業やソーホーは、一般消費者が行くような文房具店で購入するのが当然という時代でした。また、小規模企業やソーホー側も自分たちが文房具メーカーから直接サービスを受けられる顧客とは考えていませんでした。小規模企業やソーホーの方がいろいろ文房具を見たい場合、品揃えが豊富な都心の大型文房具店にまで行かなければなりませんでした。また、オフィス用品を一か所で揃えることも難しく幾つかの店舗を回ることも普通でした。こうした状況でしたので、小口顧客はいつでも他の製品や店舗に乗り換えることができる消費者だったのです。

アスクルは、上記のような小規模企業やソーホーにオフィス用品や日用品を販売する販売事業部として1993年にサービスを開始。小規模企業層から直接注文を受け、そして直接配送する大企業へのサービス並みの利便性と1万品目を超える幅広い品揃えで、「ワンストップで、幅広い商品を簡単に購入したい」という市場を開拓しニーズを満たすことに成功しました。その結果、1998年から2000年までに売上高を106億円から471億円と急成長させ、今でも売上高を伸ばしています。

 閉塞感漂う状況に置かれている場合、このブルー・オーシャンの考え方を活用していくことも重要だと感じます。

 (参考文献:日本のブルー・オーシャン戦略)

カテゴライゼーション

本日はカテゴライゼーションに関して記載します。

ちょっと前にネットとかでもよく売れていた明治乳業のヨーグルトLG21を飲んでみました。味はあっさりした飲むヨーグルト的な感じで飲みやすかったです。また、この商品に使われているLG21乳酸菌が胃癌の発生原因の一つとされるヘリコバクター・ピロリなるものの活動を抑える効果があるようで、健康にも良さそうな気がします。1本112mlで税別126円ですからちょっとだけ高めの価格設定になっています。健康関連商品がたくさんある中で同じような健康関連商品を販売したとしても売れるものでもありません。このヨーグルトLG21がピロリ菌を抑えるという消費者から通常の商品とは違ったものと位置付けられたからこそ高価格にもかかわらず売れたということなのです。ヨーグルトLG21は、新たに消費者ニーズが存在しているものの、消費者にとって今までになかった判断軸を創りだし、ほかの類似の商品群からはっきりと区別できる差別化軸を成立させたということになります。ほかの例として虫歯予防のための健康ガム「キシリトールガム」があります。虫歯を治療するという発想から健康な歯を維持するという考え方の転換を行い成功しました。虫歯になる人は日本人全体の1割に過ぎないところ、虫歯になる前の9割の人も顧客に取り込み、新市場を開拓。ガムというカテゴリーの中での異質化を図ったのです。

 新たなカテゴリーを作り、どの既存の製品カテゴリーにも属さなければ、判断基準となる値ごろの価格がないので、企業側で比較的自由に価格設定ができることになります。また、新たなカテゴリーを作らないまでも、カテゴリーの中の小さな特異ポジション、サブカテゴリーとして消費者から通常とは違ったものと判断してもらえれば企業側に価格決定の主導権が握れるようになるということです。

さて、小売業の中でもカテゴリーキラー(※1)という業態があります。価格設定の話とは異なるかもしれませんが、特異ポジションを作り上げていた業態と言っていいような気がします。いくつかの企業の有価証券報告書を見てみると売上・経常利益ともに順調に推移しているようです。ファーストリテイリングは2008年から2012年にかけて売上高を58.4%増、経常利益を46.1%伸ばしています。また、マツモトキヨシは同期間で売上高11.2%増、経常利益15.6%増、ニトリは売上高52.4%増、経常利益122.6%増という結果になっています。集中と選択、特化するという効果の表れなのでしょうか。

いずれにしても自身・商品のカテゴリーをいかに他と差別化するかということが重要だということだと思います。

 (参考文献:「日本一わかりやすい価格決定戦略」「100円のコーラを1000円で売る方法」)

高くても買う

本日は価格「高くても買う」ということに関して記載いたします。

 最近、だいぶ暑くなってきました。そろそろプールが賑わう季節ですが、このプールにも価格設定がいろいろとあります。例として地元の温水プールはウォータースライダーや流れるプールまでついていて2時間400円。屋外で開放的にレジャーを楽しむとして、豊島園のプールだと大人3,800円。最後にホテルニューオータニのプールだとビジター料金でなんと平日12,000円。プールという括りだけでもこれだけ価格設定に差があるのですが、ホテルニューオータニのようなシティホテルのプールは高価格にもかかわらずOLを中心に若い女性に人気なのだそうです。理由としては、「高い料金設定で学生を中心とする若年層が来ないためプールが混雑しない」「高い料金設定にすることにより利用顧客が比較的ハイソサエティ層に限定される」ということがあるようです。確かに昔、豊島園のプールに行ったときは流れるプールがイモ洗いで、泳がずぷかぷかと水に浮かんでた記憶があります。

このような『価格』が持ち合わせている意味として3つあります。一つが“高いのは嫌だ”という「支出の痛み」。二つ目が価格で品質を推し量るという「価格の品質バロメーター」の意味。例えばなのですが、薬局に行って薬を買おうと思った時、成分を見ても意味が分からないし、ブランドもCMとかで聞いたことはあるけど違いがよく分からないし、でもあんまり副作用があるような商品は避けたいし、という時、ちょっと高めの商品を選んだりします。価格で商品の良し悪しを判断しているのです。これが「価格の品質バロメーター」です。三番目に“自分は高いものを買えてすごいぞ”という自己表現価値「価格のプレステージ性」です。単なる移動だけなら軽自動車でも良いのですがベンツのほうが良いというあの感じです。

ホテルニューオータニのようなシティホテルのプールは、高価格にすることによって高いプレステージを維持し、高くないと買わない人々をターゲットとしているのです。価格設定で一旦ターゲットを絞ったら、その変更は慎重に行った方が良いようです。バブル崩壊後、景気悪化に伴い大手旅行代理店の値下げ圧力に押される形で有名旅館やホテルの低価格化がかなり進みました。この際、既存顧客であるハイソサエティな顧客が離れていきジーンズ姿の若者がやってくるという顧客の入れ替わり現象が起きたということです。今現在は高級化路線を走るモスバーガーも、過去、1999年春に低価格セット、同年夏に190円の「グリルソーセージバーガー」で新規顧客開拓を狙いましたが、客単価と平均来店客数の減という結果で終わったということがあったようです。

このシティホテルのようなケースは会員制のゴルフクラブ、リゾートクラブ、高級フィットネスクラブのような高級サービス業にはほとんどあてはまるようです。しかしながら価格が高いということに関して、重要なことはその中身で、ただ高いだけではなく、価値をしっかりと築き上げておかなければならないということです。何を販売するにあたっても付加価値を少しでも多く付け加えられるように努力が必要ということなのだと感じました。

 (参考文献:「日本一わかりやすい価格決定戦略」)