通販の現状

本日は通販の現状に関して記載します。

【増加する通販の市場規模】

通販は成長し続けている市場です。日本通販販売協会のデータを見ると、2002年の通販売上高が26,300億円に対し、2012年は54,100億円と2倍の規模へと成長しています。また、2012年度の通販売上高前年比は6.3%増と他の小売業態と比べても高い成長率を見せており、1998年以来14年連続で市場は増加傾向です。通販市場が成長した要因としては“アマゾンの大幅増収”“スマホ・タブレットの普及に伴うネット通販の成長”“BtoB通販企業の成長”といったことがあるようです。

【市場の拡大を牽引するネット通販の状況】

ネット通販の成長が通販市場の規模拡大の牽引役となっているのですが、その中でもアパレルの拡大余地が大きいようです。そのため「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイが先駆者ですが、アマゾンと楽天の2強もアパレル分野を強化して猛追。NTTドコモがファッション通販のマガシークを子会社化するなど、ネット通販のアパレルを舞台とした各社の戦いも起こっています。

2013年1月に最高裁が第1類・第2類の医薬品についてネット販売を一律に禁じた厚生省の省令を「違法」と認定したことをきっかけとした、市販薬のネット販売の動きも気になるところです(なお2013年11月に安倍首相が市販薬のネット販売を一部規制することに支持を表明しています)。

ネット通販が成長する中で、その上位寡占化も進んでいるようです。2012年の直近に利用した通販の企業・カタログに関するデータを見ると“男性:1位アマゾン19.6%、2位楽天8.3%、3位ジャパネットたかた3.6%”“女性:1位アマゾン8.5%、2位楽天6.6%、3位ニッセン4.2%”となっており、アマゾンと楽天を利用する割合が多いです。更に両社の利用者数は年々上昇しています。

【ネット通販に押されるカタログ通販】

ネット通販に勢いがある一方で、かつて主役であったカタログ通販に勢いがないようです。大手のニッセンホールディングスや頒布会形式(シリーズ制の雑貨などを毎月送る通信販売)を得意とする千趣会は、女性向けアパレルの品揃えが中心で、ネット通販との競い合いが厳しくなっています。その状況に対し、カタログ経費の効率化やネット販売の強化により生き残りを図っています。

2012年にヤフーとアスクルが業務提携を結んだり、楽天がケンコーコムを子会社化したり、といった動きがあり、今後、通販業界においても再編が進んでいくことも想定されます。

【参考:通販・テレビ通販各社の現状】

■カタログ系

・ニッセンホールディングス

カタログ通販大手。売上高1,766億円。営業利益6.0億円

・千趣会

「ベルメゾン」中心のカタログ通販大手。売上高1,457億円。営業利益21億円

・ベルーナ

50代以上向けのカタログ通販主体。売上高1,178億円。営業利益70億円

・ディノス・セシール

下着などに強いセシールとテレビ通販も行うディノスが合併。売上高1,171億円。営業利益18億円

・カタログハウス

「通販生活」を展開。売上高301億円。営業利益27億円

■テレビ系

・ジュピターショップチャンネル

24時間365日生放送が特徴。売上高1,271億円。営業利益203億円

・ジャパネットホールディングス

テレビ通販「ジャパネットたかた」運営。売上高1,170億円

・QVCジャパン

アメリカテレビ通販大手と三井物産の合弁会社。売上高997億円

・オークローンマーケティング

「ショップジャパン」「ヒルズコレクション」を運営。NTTドコモの子会社。売上高594億円。営業利益43億円

■ネット系

・アマゾン

EC世界最大手。売上高5兆8,038億円(うち日本は7,410億円)。営業利益642億円

・楽天

「楽天市場」を運営。売上高4,434億円。722億円

・ケンコーコム

医薬品や健康食品を中心に販売。楽天子会社。売上高179億円。営業利益▲1.3億円

・ヤフー

「Yahoo!ショッピング」運営。売上高3,429億円。営業利益1,863億円

・スタートトゥデイ

衣料品サイト「ZOZOTOWN」運営。売上高350億円。営業利益85億円

・マガシーク

衣料品ネット通販。NTTドコモ参加。売上高94億円。営業利益▲5.0億円

■オフィス系

・大塚商会

「たのめーる」を運営。売上高5,157億円。営業利益282億円

・アスクル

文房具通販大手。売上高2,266億円。営業利益68億円

・カウネット

オフィス通販準大手。コクヨの子会社。売上高787億円

■健康食品・化粧品系

・ディーエイチシー(DHC)

化粧品・サプリメント中心に展開。売上高1,141億円。営業利益144億円

・ファンケル

無添加化粧品メーカー。売上高828億円。営業利益38億円

・サントリーウエルネス

サントリー子会社。「セサミン」など健康食品展開。売上高584億円。営業利益77億円

・ドクターシーラボ

オールインワンタイプの化粧品で成長。売上高390億円。営業利益89億円

・山田養蜂場

ローヤルゼリー、はちみつなど健康食品に強み。売上高310億円

・わかさ生活

ブルーベリーの健康食品がヒット。売上高183億円

(参考文献 会社四季報業界地図2014年版)

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