家電量販店の現状

本日は家電量販店の現状に関して記載します。

【家電量販店市場の状況】

日本国内の家電販売店市場は、2010年度にアナログ停波によるテレビの買い替え特需により10兆2,887億円とピークとなった後、11年度8兆9,533億円、12年度7兆9,788億円と急速に縮小しました。しかしながら、2013年度には市場規模の縮小は下げ止まりを見せており、更に14年度は4Kテレビの登場によるテレビの買い替え需要があるのではないかと期待されています。

2012年度、家電販売店市場が縮小する中、大型再編が相次ぎました。採算悪化に苦しむコジマは生き残りを懸けてビッグカメラの傘下へ。それにより売上高8000億円規模の2位連合が誕生しました。首位のヤマダ電機も12年12月にベスト電器を子会社化。13年2月にベスト電器の店舗システムをヤマダ電機に合わせるなど、スピード感を持った経営統合を行っているようです。このような状況から見て、家電量販店のライフサイクルは成熟期に入ったと言えるのかもしれません。

【ネット通販の台頭】

アマゾンなどのネット通販専業が拡大してきていますが、そのことは家電量販店にとっては脅威となります。ショールーミングと言われる購入スタイルをよく耳にもしますが、ネットで最安値をチェックして購入を決める消費者が増えています。大手各社とも対抗のためにネット通販を強化しているようですが、販売から数か月経過したような商品ではネット専業者の方が安い場合が多いようです。価格勝負になれば利益率は低下し企業体力が落ちていくことにもつながります。大型店ならではの品揃えやサービスを行い、消費者にその魅力を伝えていくことが生き残る上で重要になるように思われます。

【家電量販店、生き残りの一つのスタイル:ピーシーデポコーポレーション】

ピーシーデポコーポレーションという、神奈川県を地盤とし、関東甲信越地方へのドミナント戦略を徹底している家電量販店・パソコンショップがあります。同社は会員を対象にしたサービス収入やデジタル雑誌の定期購読で粗利益の過半を稼いでいるようで、家電量販店の生き残り策の一つを体現していると言います。

同社は2006年にPCの月額会員制保守サービス「プレミアムサービス」を販売。ハード・ソフトメーカー、OSやインターネットプロバイダーなど21社の企業と協力し、ウィルス・スパイウェアのブロックと有害サイト閲覧制限などを行う「パソコンの継続的な安全性の確保」、不意な故障やトラブルに対応する「パソコン延長保証」などのセットメニューを用意し販売しました。このサービスは問題解決型の商品という切り口となりPCのトラブルが煩わしく感じられる人にとって非常に便利に感じられるだろうと思われます。

また、同社は2013年6月に扶桑社と協業し、全国300セット限定で扶桑社の発行する月刊誌「ESSEデジタル版」とiPad miniなどのタブレット端末をセット販売しました。iPad miniの場合は、当時毎月税込1,050円で3年購読を前提に販売しました。同社は扶桑社以外にも、東洋経済、プレジデント、学研、日経BP社等とも協業しています。

家電はショールーミングがされやすい商品だとも言われます。家電量販店各社が今後生き残りを懸けて、その在り方を変えていくようにも思われます。

【参考 家電量販店各社の現状】

・業界1位 ヤマダ電機

郊外と駅前大型店の全方位戦略で出店攻勢。売上高1兆7,014億円 経常利益479億円

・2位 エディオン

広島のデオデオと名古屋のエイデンなどが母体。売上高6,851億円 経常利益14億円

・3位 ケーズHD

北関東地盤。買収を重ねて全国区へ。売上高6,374億円 経常利益233億円

・4位 ヨドバシカメラ

カメラ卸売が前身。駅前の一等地のみに大型店出店。売上高6,371億円 経常利益469億円

・5位 ビックカメラ

駅前出店に特化。コジマ買収により合算では業界2位。売上高5,180億円 経常利益61億円(12年8月期)

・6位 コジマ

北関東地盤。ビックカメラ傘下となるが店舗ブランドは継続。売上高3,703億円 経常利益42億円(12年3月期)

・7位 上新電機

大阪地盤。売上高3,659億円 経常利益53億円

・8位 ノジマ

神奈川地盤。ノジマモバイルの店舗名で携帯電話販売強化。売上高1,999億円、経常利益34億円

(参考文献 会社四季報業界地図2014年版)

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