コンビニエンスストアの商品別売上構成比

本日はコンビニエンスストアの商品別の売上構成比を見てみます。

コンビニの店舗数は年々増加傾向にあり2002年から2012年の10年間で1万店ほど店舗数を増やしています。それに合わせ年々コンビニの商品販売額は増えているのですが、その売上の商品別の構成比をみると、売れてきている商品が変わってきていることがわかります。2002年と2007年の年間商品販売額の割合を比較してみると、たばこ・喫煙具の売上の割合が10.7%から14.9%と増加しています。これは2006年からのたばこの値上げに伴う駆け込み需要の影響が考えられますが、このような外的要因がコンビニの売上に大きく影響していることが多々あります。

その他にコンビニの売上構成比に影響を与えているものに「タスポ効果」がありました。自動販売機でたばこを買うときはタスポによる成人識別が必要になったことから、2008年からコンビニの非食料品(たばこが含まれる項目)の売上が増。2007年から2008年で約3,500億円売上を伸ばしています。

 他には2011年には震災による一部商品の特需があり、乾電池や懐中電灯を含む非食品の売上が増しています(非食品2011年から2012年で4,500億円売上増)。

 震災のような例外的な特需も確かにあるのでしょうけれど、コンビニの商品別の売上推移をみる中で注目すべきはタスポだなと感じます。規制緩和によって景気を良くするというような話がありますが、法改正のような外的要因の変化で小売業を取り巻く環境が変化するということを押さえておく必要性があります。タスポの登場によりたばこ自動販売機の売上は落ちたともいいます。外的要因の変化に合わせてその都度自らを変えていくようでは、機関投資家に踊らされる株主のように損をする一方ですから、外的要因の変化にも対応できる強い体質を作ることが必要なのかもしれません。

百貨店の売上構成比

本日は百貨店の売上構成比の推移を見てみます。

データは日本百貨店協会のデータより。

2012年、家計最終消費支出は名目GDPの約60%を占めていて300兆円弱という数字になっている中、百貨店の全体的な売上は6兆ですから、全体的にみると消費支出の割合から言ってそれほど大きなウエイトを占めているわけではありません。しかしながら、景気の動向を見る上で注目される数字です。

その、百貨店の全体的な売上は2008年7兆3813億円から2012年には6超1453億円まで減少しています。

また、その流れの中で衣料品の売上構成比が36.8%から34.7%と減少したのに対し食料品の売上構成比は26.1%から28.3%と増加。1995年くらいからエンゲル係数が22%で一定の推移であることからも、百貨店の食料品の人気が裏付けられるような気がします。

小売業の地域別海外現地法人企業数

 小売業は従来内需型産業と考えられてきていましたが、日本の少子高齢化に伴う人口減少を見据えて、どんどん海外事業展開を積極的に行っているようです。ただ、その進出先の傾向としてはアジア志向が強く、特に人口増加エリアである中国本土に対しては2007年の64社に対して2011年は136社と近年多くの企業が海外進出を行っています(その他のアジア諸国 香港:2007年22社→2011年28社。 台湾:2007年27社→2011年40社 シンガポール:2007年24社→2011年33社)一方、グラフには載せていませんが同じく人口増加エリアで世界最大のGDP国となる予定のインドへは2007年2社→2011年5社と倍増しているものの、そもそもの進出企業数が圧倒的に少ないという状況。アメリカ・中南米・中東・オセアニア・アフリカについては海外進出している企業数はほとんど変化なしです。最近、中国に対するカントリーリスクが言われていましたが2011年までは圧倒的に中国市場が小売業にとっても魅力に感じられていたようです。

 僕たち自身の生活の部分においても、円をタンス預金するのか、銀行に預けるのか、金を買うのか、債権を買うのか、株を買うのか、不動産を買うのか、お金をどう使うのかは様々ですが、それぞれに“リスク”と“リターン”があるのは事実です。新たに企業が進出する際には僕たちの生活と同様、一時的な流行に流されるのではなく“リスク”と“リターン”をしっかりと見極めていくことがきっと必要なのでしょう。

ちょっと別の話をしますと、経営の世界でいう「ブルーオーシャン」、先行者有利という話もあります。競争が激しい分野に入り込むのではなく、市場が荒らされていないところに進出するほうが成長が望めるというものです。そして何もしなければ機会損失というデメリットをこうむるという話もあります。

 日本は人口減少エリアです。アベノミクスの成長戦略も特区とコンセッション以外期待できないという話も聞きました(まだまだ分かりませんが)。この国においては、様々な観点からその時持てる知識を最大限導引し判断しリスクを負うのは怖いけど一歩ずつ前進していくしかないのかもしれません。

楽天の英語公用化

本日は楽天の英語公用語化に関して記載します。

2012年7月に楽天が社内公用語を英語にしたことは大きく話題となりました。楽天は投資家に対する決算説明会も現在、英語で行っています(日本語の同時通訳と日本語の資料の配布はあり)。このような方向性に舵を切った理由や効果は次のようになっています。

 (1)英語公用化の理由

ゴールドマン・サックス・グループが作成したレポートによると、2006年時点では世界の12%のGDPを誇っていた日本ですが(世界2位)、2020年に8%、2035年に5%、2050年に3%に落ち込んでいくことが想定されているそうです。2050年のGDPのランキングとしては、中国が29%で世界1位、インドが16%で2位、日本はアメリカ、ブラジル、ロシアに次いで6位になると見通されています。少子高齢化に伴って日本の国内需要は減少していくことが予想されています。その様な状況下、楽天の三木谷氏は楽天が生き残るにはグローバル企業になることが必要と考え、2010年に社内公用語英語化プロジェクト「Englishnization Project」を発足させました。

 (2)英語公用語化プロジェクトの内容

 社員食堂のメニューや社員証の表記などを英語化することから始まり、日報や会議資料などの書類、会議やメールなどの社内コミュニケーションにも英語を使うようにしていきました。2010年12月の定期昇格人事から、社員の評価にTOEICのスコアも組み込んでいます。

 (3)英語公用語化の効果

 世界中から優秀な技術者の獲得、現場レベルでの多国間のコミュニケーションの活性化、世界中で成功体験の横展開、といった効果が生まれていると言います。

 昨今、小売業の海外進出が話題になっていますが、楽天に関しては海外市場への進出を買収及び提携という形で進めています。これは、現地で一からビジネスを立ち上げると軌道に乗るまで時間がかかるというデメリットを回避するという効果があります。楽天の英語公用語化は、このような海外との買収交渉を行う際に効果を発揮しているようです。

カルフールなどの小売業が日本に過去進出してきましたが、結果、撤退をしていきました。国ごとの慣習や言語などの違いは、海外進出を行う際の壁になることは容易に想定できます。楽天の英語公用語化は、日本国内市場のみに頼らず、長期に亘る企業の生き残りをかけたチャレンジの一つと言えそうです。

 (参考文献 ビジネスモデル分析術)

でんかのヤマグチ

今日は近隣に大型家電量販店があるにもかかわらず好調だと噂の電器屋『でんかのヤマグチ』に行ってみました。場所は町田にあるのですが、駅からバスで15分ほどの場所にあり、店舗の前の道も決して広くなく交通量にすごく恵まれているわけでもなさそうな場所にありました。店の中もそれほど広くなく、普通に営業していたら、大型家電量販店には決して勝てないであろうという感じでした。しかしながらこの会社、粗利益率が1996年度の25.6%から2005年度には36.4%という経営改善した結果を残しており、2006年1月31日時点で同社のハイビジョンテレビの総販売台数が単店では日本一にもなったようです。

この『でんかのヤマグチ』のすごいところは、大型家電量販店に対抗すべくお客様へのきめ細かいサービスを実施するため、3万世帯あった顧客リストを切り捨て、13,000世帯に絞り込みを行ったことです。それによりきめ細かいサービスを実現し大型家電量販店にも負けない力をつけたのです。ある方から聞いたのですが、お客様がでんかのヤマグチの社員に留守番を頼むこともあるそうで、それほどの信頼関係が築けているらしいのです。  前にダイシン百貨店に行ったこともあるのですが、ここは半径500mシェア100%を目指す地域密着型百貨店で一時話題になりました。『ダイシン百貨店』と『でんかのヤマグチ』と共通している戦略は“焦点を絞り込み差別化すること”。自分しかできないことを生み出し提案していくことが成長につながっていくのでしょう。

百貨店の現状

本日は百貨店の現状に関して記載します。

【2014年4月消費増税前の百貨店の状況】

百貨店の市場規模は年々縮小していましたが、アベノミクスの効果により2012年には既存店ベースでの全国百貨店売上高が16年ぶりに増収に転じました(なお、2012年度の百貨店の業界規模6兆1,453億円)。この背景には株価の回復による資産効果の高騰があります。この2年間で日経平均は最安値8,000円台から最高値16,000円台まで株高となりましたので、この数字からも資産効果の大きさが伺えます。さて、資産効果高騰により百貨店ではバッグなどのブランド商品、宝飾品、時計などの高額品が好調に推移しました。また、「グッチ」や「シャネル」といったラグジュアリーブランドは円安を理由に値上げをしましたが、売上の勢いが止まることはありませんでした。

店舗面では2012年11月に阪急梅田本店の増改装開業、2013年3月に伊勢丹新宿本店の改装開業、6月にあべのハルカス近鉄本店のタワー館先行開業とありましたが、それらの集客も好調に推移していました。

このように消費増税前の百貨店の業況は好調に推移していたわけですが、その一方で、主力の婦人衣料全体が改善していませんでした。百貨店にとって衣料品は収益の源泉的な役割を果たしています。例えば三越伊勢丹の商品別粗利益率を見てみると、衣料品31.7%、身の回り品・雑貨・家庭用品26~29%、食料品21.5%となっており、衣料品の売上の維持拡大が百貨店の利益率を高めるのに重要な役割を果たすことが分かります。ファストファッション等との競合がある中、衣料品分野で多業態に対する競争力をつけていくことも百貨店業界には必要そうです。

また、アベノミクスの効果が東名阪などの大都市圏に限定されているとも言われています。アベノミクスが成功するかどうかは成長戦略がカギを握っています。成長戦略の成果がどのようになるか、そしてそれによりアベノミクスが株価をどれだけ押し上げることができるのか。そのことが、どれだけ百貨店売上を押し上げるのかにもつながってきますので、気になるところです。

【消費増税後の百貨店の状況】

消費増税に対して事前に各社は自主企画品や高級化路線の強化(三越伊勢丹HD)やテナント積極誘致(Jフロントリテイリング)などで独自性を強め、拡販を図る動きを付けていました。

そして、百貨店大手3社が5月1日に発表した4月の売上速報は、三越伊勢丹が前年同期比7.9%減、Jフロントリテイリングが15.3%減、高島屋が13.6%減という結果で、減少幅は予想を下回るものでした。前回平成9年3月の消費増税の際の駆け込み需要は全国百貨店売上高を23%増加させました。それに対して今回の消費増税前の3月の各社の売上高は駆け込み需要の影響で3割ほど伸びましたので、4月は反動減で「20%程度の影響」を懸念する声も上がっていました。ですので、その想定を下回る結果だったというわけです。

【参考 百貨店各社の現状】

■全国展開大手

・三越伊勢丹HD

百貨店最大手。売上高1兆2,369億円。営業利益266億円

・Jフロントリテイリング

大丸主導でローコスト経営を推進。12年8月にパルコを買収。売上高1兆927億円。営業利益308億円

・高島屋

全国に大型店を擁す。売上高8,703億円。営業利益254億円

・そごう・西武(セブン&アイHD子会社)

セブン&アイのグループ力を活用。売上高7,984億円。営業利益100億円

・エイチ・ツー・オー・リテイリング

2011年、博多阪急開業。2012年11月に旗艦の阪急梅田本店グランドオープン。売上高5,251億円。営業利益106億円

■JR・電鉄系

・近鉄百貨店

あべのハルカスが2014年オープン。売上高2,707億円

・東急百貨店

2012年渋谷ヒカリエ内に専門店街「ShinQs」開業。売上高2,061億円

・東武百貨店

東京スカイツリー隣接地に商業施設「ソラマチ」開業。売上高1,505億円

・小田急百貨店

新宿店が旗艦店。売上高1,467億円

・ジェイアール東海高島屋

JRグループが59%、高島屋が33%出資。売上高1,112億円

・ジェイアール西日本伊勢丹

JRグループが60%、三越伊勢丹HDが40%出資。JR京都伊勢丹、JR大阪三越伊勢丹運営。売上高942億円

・京王百貨店

シニア向けに強み。売上高901億円

■地方特化型

・井筒屋

北九州地盤。売上高872億円。営業利益29億円

・松屋

銀座本店に経営資源集中。売上高715億円。営業利益10億円

・大和

北陸地盤。大丸流ノウハウの導入で再建中。売上高508億円。営業利益5.7億円

・さいか屋

神奈川地盤。事業再生ADR完了。売上高395億円。営業利益8.1億円

※事業再生ADR:過剰債務で苦しむ企業に対して、金融支援を与えて再建を目指す制度のこと。

上記以外の老舗百貨店として、藤崎(宮城)、丸広百貨店(埼玉)、天満屋(岡山)、福屋(広島)、トキハ(大分)、鶴屋百貨店(熊本)、山形屋(鹿児島)などがあります。

【2012年度店舗別売上高】

1位伊勢丹新宿本店 売上高2,368億円。前年比0.8%

2位西武池袋本店  売上高1,791億円。前年比1.5%

3位三越日本橋本店 売上高1,631億円。前年比▲1.2%

4位阪急梅田本店  売上高1,446億円。前年比16.1%

5位高島屋横浜店  売上高1,317億円。前年比0.0%

6位高島屋日本橋店 売上高1,261億円。前年比1.5%

7位高島屋大阪店  売上高1,199億円。前年比1.8%

8位松坂屋名古屋店 売上高1,132億円。前年比1.9%

9位そごう横浜店  売上高1,052億円。前年比4.2%

10位阪神梅田本店  売上高892億円  前年比▲3.4%

(参考文献 会社四季報業界地図)

通販の現状

本日は通販の現状に関して記載します。

【増加する通販の市場規模】

通販は成長し続けている市場です。日本通販販売協会のデータを見ると、2002年の通販売上高が26,300億円に対し、2012年は54,100億円と2倍の規模へと成長しています。また、2012年度の通販売上高前年比は6.3%増と他の小売業態と比べても高い成長率を見せており、1998年以来14年連続で市場は増加傾向です。通販市場が成長した要因としては“アマゾンの大幅増収”“スマホ・タブレットの普及に伴うネット通販の成長”“BtoB通販企業の成長”といったことがあるようです。

【市場の拡大を牽引するネット通販の状況】

ネット通販の成長が通販市場の規模拡大の牽引役となっているのですが、その中でもアパレルの拡大余地が大きいようです。そのため「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイが先駆者ですが、アマゾンと楽天の2強もアパレル分野を強化して猛追。NTTドコモがファッション通販のマガシークを子会社化するなど、ネット通販のアパレルを舞台とした各社の戦いも起こっています。

2013年1月に最高裁が第1類・第2類の医薬品についてネット販売を一律に禁じた厚生省の省令を「違法」と認定したことをきっかけとした、市販薬のネット販売の動きも気になるところです(なお2013年11月に安倍首相が市販薬のネット販売を一部規制することに支持を表明しています)。

ネット通販が成長する中で、その上位寡占化も進んでいるようです。2012年の直近に利用した通販の企業・カタログに関するデータを見ると“男性:1位アマゾン19.6%、2位楽天8.3%、3位ジャパネットたかた3.6%”“女性:1位アマゾン8.5%、2位楽天6.6%、3位ニッセン4.2%”となっており、アマゾンと楽天を利用する割合が多いです。更に両社の利用者数は年々上昇しています。

【ネット通販に押されるカタログ通販】

ネット通販に勢いがある一方で、かつて主役であったカタログ通販に勢いがないようです。大手のニッセンホールディングスや頒布会形式(シリーズ制の雑貨などを毎月送る通信販売)を得意とする千趣会は、女性向けアパレルの品揃えが中心で、ネット通販との競い合いが厳しくなっています。その状況に対し、カタログ経費の効率化やネット販売の強化により生き残りを図っています。

2012年にヤフーとアスクルが業務提携を結んだり、楽天がケンコーコムを子会社化したり、といった動きがあり、今後、通販業界においても再編が進んでいくことも想定されます。

【参考:通販・テレビ通販各社の現状】

■カタログ系

・ニッセンホールディングス

カタログ通販大手。売上高1,766億円。営業利益6.0億円

・千趣会

「ベルメゾン」中心のカタログ通販大手。売上高1,457億円。営業利益21億円

・ベルーナ

50代以上向けのカタログ通販主体。売上高1,178億円。営業利益70億円

・ディノス・セシール

下着などに強いセシールとテレビ通販も行うディノスが合併。売上高1,171億円。営業利益18億円

・カタログハウス

「通販生活」を展開。売上高301億円。営業利益27億円

■テレビ系

・ジュピターショップチャンネル

24時間365日生放送が特徴。売上高1,271億円。営業利益203億円

・ジャパネットホールディングス

テレビ通販「ジャパネットたかた」運営。売上高1,170億円

・QVCジャパン

アメリカテレビ通販大手と三井物産の合弁会社。売上高997億円

・オークローンマーケティング

「ショップジャパン」「ヒルズコレクション」を運営。NTTドコモの子会社。売上高594億円。営業利益43億円

■ネット系

・アマゾン

EC世界最大手。売上高5兆8,038億円(うち日本は7,410億円)。営業利益642億円

・楽天

「楽天市場」を運営。売上高4,434億円。722億円

・ケンコーコム

医薬品や健康食品を中心に販売。楽天子会社。売上高179億円。営業利益▲1.3億円

・ヤフー

「Yahoo!ショッピング」運営。売上高3,429億円。営業利益1,863億円

・スタートトゥデイ

衣料品サイト「ZOZOTOWN」運営。売上高350億円。営業利益85億円

・マガシーク

衣料品ネット通販。NTTドコモ参加。売上高94億円。営業利益▲5.0億円

■オフィス系

・大塚商会

「たのめーる」を運営。売上高5,157億円。営業利益282億円

・アスクル

文房具通販大手。売上高2,266億円。営業利益68億円

・カウネット

オフィス通販準大手。コクヨの子会社。売上高787億円

■健康食品・化粧品系

・ディーエイチシー(DHC)

化粧品・サプリメント中心に展開。売上高1,141億円。営業利益144億円

・ファンケル

無添加化粧品メーカー。売上高828億円。営業利益38億円

・サントリーウエルネス

サントリー子会社。「セサミン」など健康食品展開。売上高584億円。営業利益77億円

・ドクターシーラボ

オールインワンタイプの化粧品で成長。売上高390億円。営業利益89億円

・山田養蜂場

ローヤルゼリー、はちみつなど健康食品に強み。売上高310億円

・わかさ生活

ブルーベリーの健康食品がヒット。売上高183億円

(参考文献 会社四季報業界地図2014年版)

ドラッグストアの現状

本日はドラッグストアの現状について記載します。

【競合が激化するものの利益をしっかり上げているドラッグストア業態】

ドラッグストア業態は以前よりオーバーストア状態だと言われており、なおかつ、コンビニチェーンの中にも医薬品の取り扱いを始めるところが増えるなど競合環境が激しくなっていると言えます。そのような状況下において、九州地盤のコスモス薬局が京都や兵庫まで出店範囲を拡大したり、北海道のツルハHDが関東・関西圏での出店やM&Aを加速したりしており、大手の大量出店やM&Aによる拡大路線は依然続いています。

このような中で、多くのドラッグストアチェーンが取り組んでいることが、食品の品揃えの充実です。これは客数を食品で増やし、利益を医薬品で稼ぐ戦略です。“商品別売上高構成比と粗利益率”を見てみると、「医薬品の売上高1兆8,810億円(31%)、粗利益率35%」「化粧品の売上高1兆3,466億円(23%)、粗利益率30%」「日用雑貨の売上高1兆2,937億円(22%)、粗利益率20~25%」「その他(食品等)の売上高1兆4,195億円(24%)、粗利益率10~15%」となっています。医薬品や化粧品の粗利益率が高いのに比べ、食品の粗利益は低いことがわかります。低価格のお菓子などを販売するドラッグストアをよく見るようになりましたが、食品を徹底的に値下げすることにより、その低価格をアピールし食品スーパーやGMSから顧客を奪っているのです。値下げした食品で集客し売上高を増やすとともに、医薬品や化粧品で利益を取っているのです。

【ドラッグストアの新たな動き】

ドラッグストアは大型化が進んでいましたが、その動きは近年一段落し、超高齢化社会を見据えて狭い商圏でも利益が出せる小型店開発をするチェーンが目立つと言います。サンドラッグはコンビニチェーンと組まず独自に「サンドラッグCVS」を開店しています。また、ウエルシアHDもJR浦和駅前に店舗面積100平方メートルのコンビニ程度の大きさの小型店を出店。首都圏の駅前への立地を拡大する動きを見せています。

小型店の出店以外の動きとして、サンドラッグやスギHDが自社内に持つディスカウントストア業態を郊外中心に拡大しているとも言います。

食品スーパーにみられる小商圏化の動きはドラッグストアにも現れているようです。

【ドラッグストアの今後の動き】

ドラッグストアの競合環境は厳しいですが、大手の利益は依然として高水準にあります。先ほど食料品で集客し医薬品や化粧品で利益を取ると記載しましたが、高い利益率を取れる理由には調剤事業もあるようです。高齢化に伴い、調剤の総売上高が拡大する中で、厚生労働省の面分業化政策を後ろ盾にドラッグストアでの処方箋受付枚数も増加しているようです(面分業:医院を限定せず広い地域からの処方箋を受けること。)。この傾向はしばらく続きそうで、各社とも調剤の取扱店と薬剤師の採用数を増やしているようです。

今後、ネット販売も進んでいきますので、調剤事業の動きを含めて、ドラッグストアの形は変化していくことが想定されます。

【参考 ドラッグストア各社の現在の状況】

・マツモトキヨシHD(ドラッグストア1位)

関東圏に強みを持つ。売上高4,563億円 営業利益196億円

・サンドラッグ(ドラッグストア2位)

東京西部地盤。戦略的買収で拡大。売上高4,074億円 営業利益247億円

・スギHD(ドラッグストア3位)

東海3県地盤。調剤併設型のドラッグを展開。売上高3,436億円 営業利益184億円

・ツルハHD(ドラッグストア4位)

北海道を起点に南下。売上高3,430億円。営業利益220億円

・ココカラファイン(ドラッグストア5位)

関東地盤のセイジョー、関西地盤のセガミが核。売上高3,358億円 営業利益86億円

・アインファーマシーズ(調剤薬局1位)

北海道地盤。ドラッグストアも展開。売上高1,545億円 営業利益97億円

・日本調剤(調剤薬局2位)

ジェネリック医薬品の販売や薬剤師派遣も行う。売上高1,394億円 営業利益32億円

(参考文献 会社四季報業界地図)

家電量販店の現状

本日は家電量販店の現状に関して記載します。

【家電量販店市場の状況】

日本国内の家電販売店市場は、2010年度にアナログ停波によるテレビの買い替え特需により10兆2,887億円とピークとなった後、11年度8兆9,533億円、12年度7兆9,788億円と急速に縮小しました。しかしながら、2013年度には市場規模の縮小は下げ止まりを見せており、更に14年度は4Kテレビの登場によるテレビの買い替え需要があるのではないかと期待されています。

2012年度、家電販売店市場が縮小する中、大型再編が相次ぎました。採算悪化に苦しむコジマは生き残りを懸けてビッグカメラの傘下へ。それにより売上高8000億円規模の2位連合が誕生しました。首位のヤマダ電機も12年12月にベスト電器を子会社化。13年2月にベスト電器の店舗システムをヤマダ電機に合わせるなど、スピード感を持った経営統合を行っているようです。このような状況から見て、家電量販店のライフサイクルは成熟期に入ったと言えるのかもしれません。

【ネット通販の台頭】

アマゾンなどのネット通販専業が拡大してきていますが、そのことは家電量販店にとっては脅威となります。ショールーミングと言われる購入スタイルをよく耳にもしますが、ネットで最安値をチェックして購入を決める消費者が増えています。大手各社とも対抗のためにネット通販を強化しているようですが、販売から数か月経過したような商品ではネット専業者の方が安い場合が多いようです。価格勝負になれば利益率は低下し企業体力が落ちていくことにもつながります。大型店ならではの品揃えやサービスを行い、消費者にその魅力を伝えていくことが生き残る上で重要になるように思われます。

【家電量販店、生き残りの一つのスタイル:ピーシーデポコーポレーション】

ピーシーデポコーポレーションという、神奈川県を地盤とし、関東甲信越地方へのドミナント戦略を徹底している家電量販店・パソコンショップがあります。同社は会員を対象にしたサービス収入やデジタル雑誌の定期購読で粗利益の過半を稼いでいるようで、家電量販店の生き残り策の一つを体現していると言います。

同社は2006年にPCの月額会員制保守サービス「プレミアムサービス」を販売。ハード・ソフトメーカー、OSやインターネットプロバイダーなど21社の企業と協力し、ウィルス・スパイウェアのブロックと有害サイト閲覧制限などを行う「パソコンの継続的な安全性の確保」、不意な故障やトラブルに対応する「パソコン延長保証」などのセットメニューを用意し販売しました。このサービスは問題解決型の商品という切り口となりPCのトラブルが煩わしく感じられる人にとって非常に便利に感じられるだろうと思われます。

また、同社は2013年6月に扶桑社と協業し、全国300セット限定で扶桑社の発行する月刊誌「ESSEデジタル版」とiPad miniなどのタブレット端末をセット販売しました。iPad miniの場合は、当時毎月税込1,050円で3年購読を前提に販売しました。同社は扶桑社以外にも、東洋経済、プレジデント、学研、日経BP社等とも協業しています。

家電はショールーミングがされやすい商品だとも言われます。家電量販店各社が今後生き残りを懸けて、その在り方を変えていくようにも思われます。

【参考 家電量販店各社の現状】

・業界1位 ヤマダ電機

郊外と駅前大型店の全方位戦略で出店攻勢。売上高1兆7,014億円 経常利益479億円

・2位 エディオン

広島のデオデオと名古屋のエイデンなどが母体。売上高6,851億円 経常利益14億円

・3位 ケーズHD

北関東地盤。買収を重ねて全国区へ。売上高6,374億円 経常利益233億円

・4位 ヨドバシカメラ

カメラ卸売が前身。駅前の一等地のみに大型店出店。売上高6,371億円 経常利益469億円

・5位 ビックカメラ

駅前出店に特化。コジマ買収により合算では業界2位。売上高5,180億円 経常利益61億円(12年8月期)

・6位 コジマ

北関東地盤。ビックカメラ傘下となるが店舗ブランドは継続。売上高3,703億円 経常利益42億円(12年3月期)

・7位 上新電機

大阪地盤。売上高3,659億円 経常利益53億円

・8位 ノジマ

神奈川地盤。ノジマモバイルの店舗名で携帯電話販売強化。売上高1,999億円、経常利益34億円

(参考文献 会社四季報業界地図2014年版)

ホームセンター・ディスカウントストアの現状

本日はホームセンター・ディスカウントストアの現状に関して記載します。

【ホームセンターの動きに関して】

ホームセンターの市場規模は2005年から減少が続いていましたが、震災復興需要を支えとして2011、12年度と2年連続でプラス成長を遂げました。

ホームセンターの強みは園芸やDIYなどの地域密着型商品にあります。2012年のホームセンターの商品構成を見てみると、DIY用品・素材25%、家庭日用品20%、園芸・エクステリア13%、電気8%、ペット8%と続いていきます。家庭用品を中心にドラッグストアやスーパーなどの多業態との競争が激化しており、利益率の高いDIYや園芸・エクステリアの構成比が上昇する一方で、家庭用品の構成比は価格競争の影響により下降傾向にあります。

そのような中、各社は自社で開発し海外企業などに生産委託するPB商品に注力しています。PB商品の販売をすることで、他社との差別化を図ることができますし、利益率の改善につなげていくことができるためです。

一方でPB商品にはPBの罠と言われるデメリットが生じることもあります。PBの罠とは、低価格化・粗利益改善を進めても、売上高自体を伸ばせなければ利益が減る危険性があることを指します。利益を減らさないためには、商品の戦略的な値下げをしなければなりませんし、商品開発力向上に向けた組織力強化や、在庫リスクに対応できる財務力も問われることとなります。

ホームセンター業態においても多業態との競争が激化しています。多業態にも言えることではありますが、顧客の求めるPB商品の開発・販売並びに販売にあたっての価格戦略が、利益を創出するためのキーポイントとなります。

【100円ショップの動きに関して】

100円ショップ業態は「ダイソー」を展開する大創産業が1991年に始めたのですが、節約志向を追い風に急成長を遂げました。ところが、2000年代後半に入ると効率的に買い物をする顧客が増えたことに合わせ、スーパーなども対抗値下げに動きました。このように100円ショップ業態を取り巻く環境が厳しくなってきた中で「セリア」が大きな成長を遂げています。2013年3月期の売上高で、2009年との売上高伸び率を見てみると、大創産業が4.1%に対して、セリアが43.8%と、セリアがその数字を大きく伸ばしています。これはセリアがPOSを活用し、個々の商品の顧客支持率から立地・規模などを考慮した上で、店ごとに理想的な商品構成を予測し、データ分析により「おしゃれ雑貨店」として他社との差別化を進めたことに要因があります。また、セリアの商品アイテム数は大創産業の半分以下の1万9000点ですが、毎月500点以上を入れ替えており、新商品比率は約3倍となっています。

100円ショップ業態も自社を成長させていくためには、低価格の商品を提供するだけではなく、その質が顧客から問われるようになってきていることが伺えます。

海外では消費税改定時に従来の小売業が衰える一方で、ディスカウント業態が成長するということが起こりました。日本においては消費増税後、小売業がどのような動きとなるのか今後注目されます。

【参考 ホームセンター・ディスカウントストア各社の現状】

■ホームセンター

・DCMホールディングス

カーマ、ダイキ、ホーマックが統合し最大手に。売上高4,342億円 営業利益190億円

・カインズ

ベイシアグループ。関東を中心に全国へ展開。売上高3,413億円

・コメリ

新潟地盤。農家や建築向け小型店に強み。売上高3,192億円 営業利益191億円

・コーナン商事

近畿圏のドミナント展開から関東や東北進出。売上高2,849億円。営業利益163億円

・ナフコ

家具店とホームセンターの併合店に特色。売上高2,241億円。営業利益112億円

・ジョイフル本田

北関東で巨艦店を運営。売上高1,817億円

・ケーヨー

かつての業界首位。関東地盤。売上高1,808億円。営業利益34億円

・LIXILビバ

埼玉地盤。「ビバホーム」「建デポ」等を全国展開。売上高1,546億円。営業利益50億円

・島忠

埼玉県地盤に家具・ホームセンターを大都市で展開。売上高1,594億円。営業利益136億円

■100円ショップ

・大創産業(ザ・ダイソー)

海外展開強化中。売上高3,519億円

・セリア

ファッション性の高い店舗、商品開発で先行。売上高982億円。営業利益83億円

・キャンドゥ

食品軸に主婦向け強い。売上高626億円

・ワッツ

小型店柱で小商圏向け日用消耗品に強み。売上高407億円。営業利益20億円

■ディスカウントストア

・ドン・キホーテ

HCドイトや長崎屋買収で多角化。PBに強み。売上高5,683億円 営業利益323億円

・トライアルカンパニー

九州から全国展開。売上高2,784億円。営業利益42億円

・オーケー

首都圏でPB食品に強みを持つディスカウントスーパー。売上高2,503億円。営業利益136億円

・MrMax

九州地盤。ショッピングセンターに入居の家電、日用品ディスカウントストア。売上高1,061億円

・大黒天物産

岡山地盤の食品ディスカウントストア。「ラムー」「ディオ」など。売上高976億円

(参考文献 会社四季報業界地図2014年版 週刊東洋経済2014 4/26)