本日は提携による強者連合に関して記載します。
【強者連合とは】
強者連合とは、業界順位が上位にある他の企業と提携し“製品の共通化や販売”“技術提供”“コストダウン”などで共同歩調を採ることです。それにより、業界下位の企業との差を広げたり、連合に加わらない上位企業に打撃を与えてそのシェアを奪ったりすることを狙うビジネスモデルです。強者連合は同じ業界内の上位企業間で行われる場合も、周辺産業の上位企業で行われる場合もあります。同じ業界内の強者連合の例として、日本生命保険、アメリカのプルデンシャル生命、イギリスのシュローダーなどの提携で、この提携は世界各地の金融トップ企業との間で強者連合を形成することを基本とする戦略だと言います。周辺産業の強者連合の例として、コンビニ2位のローソンとドラッグストア1位のマツモトキヨシとの提携があります。ユニクロとビックカメラのビックロもその例と言えると思います。また周辺産業の強者連合でコストダウンを目指した提携の例に、カゴメ、ミツカン、日清オイリオが全国で共同配送を行っているというものがあります。
提携よりも強者同士で合併した方が競合に対して優位に立てるのでしょうけれど、合併には意思決定・実行をする際の障害が多くなります。そこで提携という合併よりも緩いスキームの下に、合併同様の効果を部分的、あるいは限定的に達成することを狙うのです。
【強者連合により生み出される価値】
強者連合はもともと業界順位の上位にいる企業が、その優位性を更に補強するために行う戦略となります。そのために規模の経済を発揮していくことによるメリットが出てきます。例えば“共通のポイントプログラム”“製品互換性の確保”“同等製品の地域バーター”“相互技術供与”“物流などの機能共通化”といったコストダウンにつなげていきます。これら施策によって、顧客に強者連合からの購入を促したり、経営資源を蓄積して将来の投資を容易にしたりします。
強者連合によるメリットは規模の経済が働くということ以外に、強者間で連合してしまえば、競合から提携する相手候補を奪い、自社の参加する連合を上回るような提携関係を組むことを防ぐことができる、ということも挙げられます。強者同士が連携してしまうと、弱者としては強者に太刀打ちできなくなってしまうのです。
【強者連合の落とし穴】
強者連合はその意図に関わらず、実際にその効果が限定的であることが多いそうです。強者連合といっても、結局は競合や他業界の企業です。そのため相手が自社の意図通りに行動せず、次第に相互に不信が生まれてしまうことが要因だと言います。
先ほど例として挙げたローソンとマツキヨの業務提携は2009年に行われ、当時は大きな話題になったようです。そして、提携によりコンビニとドラッグストアのノウハウを結集した新業態を開発し、5年で1000店舗体制を目指し、2010年10月に共同店舗(マツキヨの一角にローソン100が入居したもの)を浦安に出店しました。しかしながら、現在ではローソン100は撤退しているようです。
業界の上位にある企業同士の提携は、基本的には競合関係という背景もある微妙な位置関係もあるようです。しかしながら、コストの削減による将来への投資は企業が成長する上で重要なポイントとなります。業界の上位にいる企業はこの強者連合を上手に活用することも、他社に対して優位に立つためのポイントなのだと思われます。
(参考文献 経営戦略を見る目と考える力を養うビジネスモデルの教科書)