ショッピングセンターの現状

本日はショッピングセンター(SC)の現状に関して記載します。

【SC業界の店舗数・売上高に関して】

SCの既存店売上は2009年を底に回復傾向にあり、2012年は既存店売上が0.5%増と6年ぶりにプラスに転じました。SCのキーテナントとなる総合スーパー等の売上高については1.6%減と停滞が続く一方で、専門店などの一般テナントが1.5%増と伸びています。

新規に開業するSCについては2007年の97をピークに減り続け、2012年は35まで減少しましたが、2013年は1~6月だけで31と増加へ転じました(2007年に改正まちづくり三法が施行されて、郊外型SCの開発が滞りました)。

また、SCの店舗面積は年々増加傾向にあり、それに伴いSCの売上高も2009年に一旦減少したものの総じて増加傾向にあります。

【人気のマストラ拠点】

マストラ拠点とは空港、高速道路、ターミナル駅など大量輸送機関(マストラフィック)拠点のことです。つまり、空ナカ、道ナカ、駅ナカと言われる立地ですが、近年はそれらの立地へ開業することが好まれる傾向にあります。少し前まで行われていた、郊外へ低コストで大型SCを開業するスタイルとは異なってきているということが言えます。なお、近年開業のSCは都心部や駅前好立地が多くなっています。2012年には「渋谷ヒカリエ」や「東京ソラマチ」、2013年には東京・丸の内の日本郵便が始めて手がける商業施設「キッテ」や大阪市の「グランフロント大阪」、2013年の12月には店舗面積13.5万平方メートルという巨大なSC「イオン幕張新都心」が開業しています。

【SCが成長を続けるために】

SCが利益を生み出す仕組みはテナントの新陳代謝にあります。開業当初は人気のテナントを集めて百貨店やスーパー単独店よりも多くの集客を実現し売上を伸ばします。その後数年を経て、個々の専門店ブランドの売上に陰りが出てきたら、一定割合を入れ替えて集客を維持し、売上を確保するのです。

SCの大量出店や他業態の小売業との競争激化もある中で、今後もSCが成長を続けていくためには、各SCがテナントの入れ替えを継続的に行うとともに、改装などを進めて常に新鮮なSCを作っていくことが求められるのでしょう。

【参考 ショッピングセンター各社の現状】

■不動産・商社系

・三井不動産

三井アウトレットパークを出店。

三井不動産商業マネジメン:売上高322億円

・三菱地所

プレミアム・アウトレット(御殿場プレミアム・アウトレット等)やアクアシティお台場等を出店

サンシャインシティ:売上高267億円 営業利益66億円

三菱地所・サイモン:売上高339億円 営業利益109億円

・森ビル

ラフォーレ原宿など出店

森ビル流通システム:売上高43億円 営業利益2.8億円

・東急不動産

東急ハンズ、二子玉川ライズなど出店。

小売事業の売上高828億円 営業利益8.6億円

■鉄道系

・東日本旅客鉄道(JR東日本)

ルミネやアトレを出店。駅の外へも本格的に出店してきている。

ルミネ:売上高3,082億円 営業利益107億円

アトレ:売上高337億円 営業利益55億円

仙台ターミナルビル:売上高158億円 営業利益18億円

・西日本旅客鉄道(JR西日本)

天王寺ミオ、京都駅ビルなど。大阪駅のルクアが好調。

JR西日本SC開発:売上高66億円 営業利益11億円

天王寺SC:売上高83億円 営業利益14億円

・九州旅客鉄道(JR九州)

JR博多シティ:売上高126億円 営業利益11億円

小倉ターミナルビル:売上高46億円 営業利益0.7億円

・京王電鉄

渋谷マークシティなど出店

売上高1,614億円 営業利益53億円

・東武鉄道

東京ソラマチなど出店

売上高2,094億円 営業利益19億円

・小田急電鉄

ハルク、ミロードなど

売上高2,236億円 営業利益38億円

■流通系

・高島屋

玉川高島屋SCなど

東神開発:売上高321億円 営業利益65億円

・セブン&アイホールディングス

アリオ14施設。売上高は焼く3,000億円弱

・イオン

イオンモール、イオンタウンを展開。

イオンモール:売上高1,614億円 営業利益417億円

イオンタウン:食品スーパーが核。施設数115

※ショッピングセンターの2012年の売上高は28兆1,876億円。百貨店の同年の売上高は6兆1,453億円。総合スーパーの同年の売上高は12兆5,340億円。売上高で見たショッピングセンターの市場規模は大きいことがわかります。

(参考文献 会社四季報業界地図2014年版)

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