スーパーマーケット業界の現状

本日はスーパーマーケット業界の現状に関して記載します。

【厳しい状況の続くスーパーマーケット業界】

アベノミクスによる売上の嵩上げ効果があった中においても、スーパーマーケット業界は他業態からの攻勢を受けて厳しい状況に置かれていました。震災後、買いだめの特需があり、2011年に売上が上昇に転じたものの、特需が一巡した後は再び減少基調になりました。既存店の売上高は16年連続で減少しています。

上記の要因として、ユニクロのようなファストファッションの台頭が挙げられます。スーパーの稼ぎ頭は粗利益率30%内外の衣料品ですが、この分野の売上がファストファッションという低価格の衣料専門店に浸食されたのです。このことに対応すべく各社は衣料品売場を縮小し、利益率の低い食品売場を拡張し、売上・利益の確保を図ろうとしました。ところが、医薬品の高い利益率を背景とした採算を度外視したドラッグストアの食品販売の拡大やコンビニの大量出店により、食品事業自体が圧迫されてしまいました。

そして、この状況に対応すべくスーパー各社は、出店強化、PBの拡大、合従連衡によるスケールメリットの追求で対抗してきているのです。

【スーパー再編の波】

上記のような厳しい状況の中、生き残りをかけてスーパー再編が行われています。2013年4月には原信ナルスHDとフレッセイHDが経営統合。この統合により、両社の資産とノウハウの共有や人材・組織能力の強化、事業基盤の拡大を図っています。また、同年同月イオンはJフロントリテイリングからピーコックストアを買収。ダイエーも子会社化しています。そしてイトーヨーカ堂も2013年8月に北海道の食品スーパー、ダイイチへ出資をしています。このようにスーパーマーケット業界は続々と合従連衡によるスケールメリットの拡大を図ってきています。

【新業態:都市型ミニスーパー】

コンビニやドラッグストアなどの攻勢に防戦一方だったスーパーマーケット業界ですが、都市型スーパーの新業態「都市型ミニスーパー」で反攻策に打って出ています。東京都心部で出店を続けるイオンの「まいばすけっと」は2013年2月に店舗数が500を超え、2013年度は運営会社が黒字転換しました。都市型ミニスーパーの先駆けであるマルエツが手掛ける「マルエツプチ」は現在56店舗を出店しており、同社の基幹業態の一つとなっています。特徴は豊富な品揃えで、品目数4000~1万。2000~3000のコンビニや他ミニスーパーをしのぎます。棚の高さを通常のスーパーが1.6メートル(5~6段)のところ、マルエツプチでは1.9メートルで最大9段にし、商品の絞り込みよりも品揃えを優先し、売上の嵩上げを狙っています。「都市型ミニスーパー」の都心部での展開が加速しており、まいばすけっとやマルエツプチ以外にも、ユニーのミニピアゴやイトーヨーカ堂の食品館などが都市型の小型スーパーを展開しています。

少子高齢化が進む中、首都圏においては人口の増加が見込まれています。そのために今まで他エリアで展開していたスーパーも首都圏進出を進めているようです。

【参考:現状のスーパー各社の状況】

売上高1位はイオンで、売上高5兆6,853億円、営業利益1,909億円。それにセブン&アイホールディングスが、売上高4兆9,916億円、営業利益2,956億円で続きます。

ユニーグループ・ホールディングス、イズミヤ、フジが3社で共同商品開発をしています。

共同仕入れ機構としては、CGC(Olympic、原信、ナルス、フレッセイ、マミーマートなど)、ニチリウ(オークワ、サンエーなど)、八社会(相鉄ローゼン、東武ストアなど)、オール日本スーパーマーケット協会(天満屋ストア、マルヨシセンター、ヤマナカなど)があります。外資系は、ウォルマート・ジャパン・ホールディングス(西友:売上高7,387億円)やコストコがあり、カルフール(仏)やテスコ(英)は日本から撤退しています。

(参考文献 会社四季報2014年版業界地図 週刊東洋経済2014 4/26)

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