中小企業の事業承継

本日は中小企業の事業承継に関して記載します。

【高齢化する経営者】

中小企業の経営者の引退年齢は徐々に高齢化する傾向にあります。30年以上前には小規模事業者の平均引退年齢62.6歳、中規模企業は61.3歳だったのに対し、0~4年前には小規模事業者70.5歳、中規模企業67.7歳という状況になってきています。

また、経営者が高齢である企業ほど、経常利益の状況について減少傾向にあり、経営者の年齢が70歳以上になると、中規模企業が5割、小規模事業者の約7割が減益傾向という結果になっています。そのような状況の中で、経営者の年齢が高い企業ほど事業を縮小・廃業したいと考えているようです。

このことは少子高齢化が進む中で経営者自身の高齢化も進んでいる一方で、経営者が高齢になると事業を縮小・廃業したいと考えていることから、その事業の利益が縮小していっているということが言えると思われます。

【経営者の後継者】

中小企業の経営者の高齢化が進む中で、その経営者の後継者として、過去においては息子や娘といった親族へと引き継がれることが多かったのですが、最近では親族以外の役員や従業員・社外の第三者に引き継がれることが増えてきています。帝国データバンクのデータベースで2008年から2012年までの現経営者の承継形態を規模別にみると、小規模事業者は、親族の事業承継が6割強、中規模企業では4割強となっています。中規模企業では社外の第三者を含めた親族以外による承継が、親族による承継を上回っています。ちなみに、後継者を親族に継がせたいと考えている経営者はその理由を自社株式等や個人保証の問題があるようです。経営者の中には自らの資産を担保に借入を行っている場合があり、その場合、親族以外に承継しづらいということがでてくるようです。

【事業売却】

経営者の引退後にも事業を継続したいと考えているけれども、後継者がいない場合は事業を売却し、事業継承を行うということも考えられます。未上場企業間のM&A件数は2006年に752件から徐々に現業傾向にありましたが、2011年を底に回復の兆しを見せており、後継者がいない企業の約3割がM&Aに「大いに関心がある」「関心がある」という話をしているとのことです。また、総資産額3億円超の起業の3割強、5000万~3億円の起業の約3割が、事業買収への関心が「大いに関心がある」「関心がある」という話をしているとのことです。

この流れから中小企業間のM&Aが今後増えるのかもしれません。

中小企業の経営者の高齢化が進む一方で、その企業を継ぐ後継者の承継形態も過去と変わりつつあります。日本の企業の99.7%を占める中小企業も、時代の変化とともに変わっていくのでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です