国際収支

本日は国際収支に関して記載します。

【最近の経常収支に関して】

2013年10月から2014年1月まで4か月連続で経常収支が赤字になりました。そして1月においては単月としては過去最大の1兆5890億円の経常赤字を記録しました。ここ数か月の経常収支の動きを見ると輸入が伸びているという状況があり、これには日本の産業の空洞化が要因として考えられているようです。

経常収支とは国際収支の構成要素の一つとなり、国際収支は一定期間(通常1年)における、ある国の外国との金銭の受取り・支払記録のことを言い、前述の「経常収支」「資本収支」「外貨準備増減」「誤差脱漏」に分けられます。以下、国際収支の内訳を見て行きたいと思います。

【経常収支に関して】

経常収支とは主に財・サービスの取引から構成されます。

■貿易収支:財の輸入額と輸出額の収支(輸出額―輸入額)のことで、「貿易収支」「サービス収支」「所得収支」「経常移転収支」からなります。

・貿易収支は東日本大震災以来、赤字が続いています。原油や天然ガスの価格が上昇しているということもありますが、2つの大きな構造変化が起きているということも要因としてあります。まず、一つ目はエレクトロニクス業界に代表される動きが挙げられます。この分野の企業はグローバル市場で競争力を次第に失い、輸出が伸び悩んでいます。その一方で海外メーカーが造る家電製品の輸入が増えています。産業基盤が弱まってきているのです。二つ目には自動車産業に代表される動きが挙げられます。これはグローバル展開の加速であり、海外に生産がシフトしているという状況です。海外生産が進んでいるので、以前のように日本国内からの輸出が伸びなくなっています。2007年から人口減少が始まっていますが、このことにより経営者の中で国内市場は成長しないという認識が広がっているということもあるようです。貿易収支の赤字は輸入額が増えていることだけが原因ではないので、原発が再稼働したとしても、長期的にみて貿易黒字につながるというわけでもないようです。

■サービス収支:運輸、旅行、通信、保険、金融、特許使用料などの収支を言います。

技術特許収入(ロイヤルティ)は伸びているそうですが、そのスピードが加速しているというわけでもないようです。

■所得収支:非居住者への労働賃金や投資収支(外国へ資金を貸し付けた時の利子収支や配当金など)の収支のことです。

東日本大震災以降、貿易収支の赤字を所得収支の黒字で補っています。大きな額ではあるものの、貿易赤字を相殺して余りあるほど、ぐいぐい伸びているというわけではありません。

■経常移転収支:国際機関への拠出金や援助金や賠償金など一方的な給付の収支のことを言います。

【資本収支に関して】

続いて、資本収支に関しても見てみます。資本収支とは主に国際間の金融資産取引から構成され、「投資収支」と「その他資本収支」があります。

■投資収支:外国企業の買収や、外国に作った子会社の経営権の取得などを目的とする直接投資の収支、およびキャピタル・ゲインを得ることを目的に行われる証券投資の収支のことを言います。

【外貨準備増減に関して】

外貨準備増減とは、通貨当局が国際収支不均衡是正や為替相場介入のため保有する外貨のことを言います。通常、海外との取引において自国通貨が使われることは少なく、ドルなどの外貨が用いられます。このため、海外からの外貨受取りが外資支払いを超過すると、その分だけ外貨準備は増加します。反対に海外への外貨支払いが外貨受取りを超過すると、その分だけ外貨準備は減少します。

日本国内の経済部門を家計と企業、政府の3つに分けると、家計と企業の貯蓄が政府の借金を支える構図になっています。しかしながら現状、家計の貯蓄率はゼロに近づいていて、政府の借金が増えているので、状況は厳しくなってきていると言います。経常赤字になった場合、国内の資金だけでは政府の借金を賄えなくなり、外国からお金を借りなければならなくなります。外国人投資家は経常赤字の国に対して信用を置きませんので、利子が上乗せされてしまうということも考えられます。いずれにせよ財政赤字を減らしていくことは重要となってきます。

(参考文献 東洋経済3/29)

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