行動経済学から見るポイントサービス

本日は行動経済学から見るポイントサービスに関して記載します。

【普及するポイントサービス】

現在、様々な企業でポイントサービスを実施しています。最近では異業種を含めた企業横断型のネットワークによる「共通ポイント」を採用する企業が出てきています。例えばカルチュア・コンビニエンス・クラブとヤフーが業務提携により、2013年7月1日より「Yahoo!ショッピング」「Yahoo!トラベル」「Yahoo!ゲーム」などYahoo! JAPANの16サービスを中心にYahoo!ポイントがTポイントに切り替わりました。これによりYahoo! JAPANというネットの世界のみならず、TUTAYAやファミリーマートなど日本全国57,000を超えるTポイント提携店舗でもポイントが「たまる」「使える」ようになりました。また、2013年6月時点で、カルチュア・コンビニエンス・クラブの会員数4500万人、Yahoo!ポイントの会員数2700万人という多くの会員数がおり、紐つけしていない単純な合計で7200万人もの会員数になります。まさしく、ネットとリアルを横断した巨大ポイントサービスです。

ポイントに関しては、最近では飛行機に搭乗せず、航空会社が提携したクレジットカード、レンタカー、通販などを利用してマイルを貯める「陸マイラー」やマイレージサービスの特典を得るために、短期間に何度も飛行機に乗り続ける「マイル修行」などの言葉もあると言います。それだけポイントサービスが世間一般に普及してきているということが言えます。

このように普及が進むポイントサービスですが、利用者から見て魅力的に見える仕掛けもあるようです。

【ポイントと値引き】

ポイントは貯まればお金として利用できます。しかしここに仕掛けがあるようです。

例えば、10万円でパソコンを買い、その時のポイント還元率が10%だとすると、1万円分のポイントが付きます。この時、多くの購入者の頭には「10%値引きされた」という計算が働きます。しかしながら、実際には10%の値引きではありません。パソコンを購入した後、ポイントを使用して買い物をするとなれば、“パソコン10万円”+“他の買物1万円”=“合計の買い物額11万円”となります。つまり、10万円の10%値引きではなく、11万円の10%値引きとなります。値引き率は9.1%です。人々はお金に関する判断を実質値ではなく名目値をもとに行ってしまう傾向があるのです。これを貨幣錯覚と言います。

【ポイントを使うタイミング】

ポイントは後から使います。上記の例でいえば、最初は10万円でパソコンを買います。その時は△10万円です。しかし、その後ポイントを使って買い物をした場合、1万円の商品はただで購入したような気分になります。初めに買い物をしてポイントを貯めた時と、それを使うときは別々の買物と認識される傾向にあるのです。

顧客の購買履歴を知るなどもできることからポイントサービスは企業にとって有効ですが、直接的な値引きよりも有利な点もあるようです。

(参考文献 9割の人間は行動経済学のカモである)

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