本日は『ドンドンダウン オン ウェンズデイ』の価格システムによる成功に関して記載します。
【『ドンドンダウン オン ウェンズデイ』の価格システム】
『ドンドンダウン オン ウェンズデイ』はリサイクル古着屋で、「オシャレと笑いで地球を救う、フルギデパートメントストア」をコンセプトとしている企業です。 “笑い”がコンセプトに入っているだけあってか、同社の価格システムはとてもユニークなものとなっています。この価格システムが当社の人気の秘訣となり、当初は青森の小さな古着屋でしたが、8年間で全国60店舗以上を持つ古着・雑貨チェーン店へと成長しています。
この価格システムの具体的な内容は“毎週水曜日になると、商品の値段が、服の価値に関わらず機械的に下がる”というものです。商品には値札の代わりに野菜や果物のイラストが描かれたタグがついていて、商品の値段はそのタグをもとに店内に掲示された「今週の値段表」で確認をしていきます。「今週の値段表」は7,350円~105円の10段階に分かれていて、今週スイカのイラストが5,150円であれば来週は4,200円といったように、毎週水曜日に機械的に1段階ずつ値下がりしていきます。
毎週水曜日に商品の価格が機械的に下がっていくので、うまくいけば、顧客は相場よりもはるかに安い価格で商品を手に入れるチャンスが出てくることになります。その一方で価格が下がるのを待ちすぎると、他の顧客に商品を購入されてしまい、買うことが出来なくなってしまいます。毎週価格が自動的に下がるという分かりやすいシステムにより、顧客はゲーム感覚で駆け引きを楽しむことができるようになっているのです。
また、この価格システムの導入で同社は「目利きを排除」することができました。古道具はその商品を見極めて価格設定を行うことが一般的ですが、目利きを排除すれば従業員にそのスキルが必要なくなります。このことにより、同社はフランチャイズ展開を可能とし、店舗の拡大につながったのです。
【『ドンドンダウン オン ウェンズデイ』の価格システム=ノンフリルな価格システムによる成功】
『ドンドンダウン オン ウェンズデイ』の価格システムは、価格設定を行うに当たり必要最小限の手間で事足りるようなものとなっています。このようなビジネスモデルを「ノンフリル」と言います。ノンフリルは“なくても支障のない余剰サービスを極力省き、コアのサービスだけを、質を下げることなく、低価格で提供する”ビジネスモデルですが、代表例としては航空会社のLCCが挙げられます。『ドンドンダウン オン ウェンズデイ』の価格システムを見てみると、従業員に古着の商品価値を見極める目利きの力が必要なく、古着の販売というコアのサービスに注力することができるシステムとなっています。また、この価格システムは商品の値段を変える際に値札を付け替えるという作業負担もカットできるものとなっています。
同社の開発した価格システムは、顧客が古着を買うことの楽しさを創出し、店舗運営を従来のものより単純化することに成功したのです。コアのサービスに絞り込むことによって新たなサービスを提供したこの価格システムは興味深いものがあります。
(参考文献 図解&事例で学ぶ ビジネスモデルの教科書)