法人税引き下げとタックスヘイブン

本日は法人税引き下げとタックスヘイブンに関して記載します。

【アベノミクスの重要政策 法人税引き下げ】

2014年1月のダボス会議にて安倍首相が強い意欲を見せた法人税引き下げの議論が始まっているようです。マクロを中心とした経済財政を議論する経済財政諮問会議と企業に根差したミクロを議論する産業競争力会議との合同会議も行われました。政府税制調査会内の専門部会において座長の大田弘子元経済財政政策担当相が「法人税の税率引き下げが必要である」と明記した論点案を提出しています。

今回の法人税引き下げの論点は、現在35%程度の法人実効税率をアジア近隣諸国並みの25%程度まで引き下げるかどうか、ということです(日本の法人税は諸外国と比べて高い)。法人税を10%引き下げれば5兆円の税収が消えることになりますが、一方で減税を行えばGDPの拡大が見込めるとも思います。(数式で言うと△Y=-c/(1-c)×△Tです。税金(T)を変化させると-c/(1-c)(租税乗数)分だけGDP(Y)は変化します。減税の効果が何倍ものGDPの増加につながっていきます。)海外投資家からも注目されていますので、この法人税引き下げができるか否かは株価にも影響してくると思われます。

法人税引き下げによる課題として減税による減収ということ以外の課題として、中小企業を中心に74%の法人が赤字で法人税を払っていないということもあります(2011年度)。日本において法人税を払っていない企業は多いようで、外国と比較すると、アメリカ54%(2009年度)、イギリス50%(2010年度)、ドイツ34%(2007年度)、韓国32%(2011年度)となっています。欠損金の繰り越し控除の仕組みや租税特別措置などの見直し、課税ベースを広げることが検討されています。

法人税引き下げを実施するにあたっては簡単な道のりではなくハードルがあるわけです。

【タックスヘイブン 資本流入を目的とした国家戦略】

法人税引き下げと関連する議論にタックスヘイブンがあります。タックスヘイブンとは、外国の企業や富裕層の資本流入を目的に、税金を無税または極端に低くしている国や地域のことを言います。タックスヘイブンが行われている国は、カリブ海周辺で“コスタリカ”“パナマ”“ドミニカ”“ケイマン諸島”など、アジアでは“マカオ”“香港”“シンガポール”、中東の“バーレーン”“レバノン”“ヨルダン”、ヨーロッパでは“スイス”“ルクセンブルク”“モナコ”“サンマリノ”“リヒテンシュタイン”などが挙げられます。タックスヘイブンによりF1グランプリで有名なモナコでは大富豪が移住したり別荘を持ったりして、世界有数の富豪国家に生まれ変わることに成功しています。モナコの事例ようにタックスヘイブンを行うことにはメリットがありますので、国際的に企業の投資を呼び込むために小国を中心に法人税率の引き下げ競争が起きているのです。このことは日本の法人税引き下げの話と無関係ではない話だと思います。

多くの海外投資家がアベノミクスの成果に注目しています。消費増税により景気は悪化しますが、その後回復していくかどうかは、アベノミクスの成長戦略がどういう成果を出せるかということが重要なポイントの一つです。法人税引き下げの議論は注視です。

(参考文献 週刊東洋経済3/29)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です