本日は利益モデルのイノベーションに関して記載します。
【「カミソリと替え刃」の利益モデル】
最近のカミソリは昔と比べて、製品として随分改良が加えられているようです。前に使っていたカミソリが古くなったので、新しい物を買いに行きました。前は2枚刃くらいが普通かと思っていたのですが、売場には5枚刃且つ電池でカミソリの刃の部分が振動する商品なども置いてあり、カミソリが製品として進化を遂げているように感じました。
上記のように今日のカミソリは企業間で競い合う中で製品自体進化しているのですが、過去にはこの業界は「カミソリと替え刃」という長年にわたって称賛され続けている有名な利益モデルを生み出しています。この利益モデルはジレットが始めた仕組みで、システムの耐久性のある部分(カミソリの本体)を低価格で販売することで固定された顧客基盤をつくり、それから使い捨ての部分(替え刃)をプレミアム価格で販売して反復的な収益を得る、というものです。「カミソリと替え刃」の利益モデルはプリンターとカートリッジからコーヒーメーカーとカプセルコーヒーまで、他の産業にまで応用されています。
【利益モデルのイノベーションの事例】
「カミソリと替え刃」のように、それまでに気づかれていなかった新たな価値を斬新な方法でお金に換えることによって、利益を生み出している企業があります。
■ネクスト・レストラン
シカゴにあるレストラン「ネクスト」。このレストランでは顧客に前売り券を買ってもらっています。これによりネクストは予約客が来店しないリスクを押さえています。また、顧客がいつ来店するかによって前売り券の価格を決めています。ディナーで込み合う時間帯ではその価格は高く設定し、逆にアイドルタイムではその価格を低くしています。
■シブステッド・メディア・グループ
ノルウェーのオンライン広告会社「FINNno」は、ユーザーが投稿する広告を無料で掲載しています。その一方で希望に応じた掲載については料金をとっています。顧客は料金を支払うことによって、例えばシブステッド・メディア・グループ内の他の新聞に掲載したりすることが出来ます。
■ヒルティ
「ヒルティ」は建設業者向けの電動工具をコア・ビジネスとしている企業ですが、故障による予定外の作業中断や盗難など、工具を所有することによる隠れたコストから建設業者を守るためのプログラムを作りました。毎月一定額の料金を払っていれば、必要に応じて代わりの工具を貸し出したり、アップグレードのオファーをしたり、必要な修理の費用を負担したりします。このプログラムによりヒルティには反復的な収入が入ってくることとなりました。
従来から当たり前のように使われている利益モデルを見直すことにより新たな利益を生み出すことができます。当たり前と思っている集金・課金モデルを見直すことも重要なようです。
(参考文献 ビジネスモデル・イノベーション ブレークスルーを起こすフレームワーク10)