本日はチャネルリーダーに関して記載します。
【高い利益の確保に直結するチャネルリーダーのポジション】
流通経路の中で主導的な役割を果たし、商品や情報の流通をコントロールするものを“チャネルリーダー”と言いますが、このチャネルリーダーのポジションを確保できるかできないかは、企業が高い利益を出せるかどうかの重要なポイントとなってきます。
例えば、スティーブ・ジョブズが存命中のアップルは高い利益と株価を上げていましたが、その理由はアップルがチャネルリーダーだったためと言います。同社は製品の価格決定権を握っていましたし、同社と取引するために多くの企業は競い合っていました。同社は販売力のある製品を背景に、通信会社に対して有利な条件で契約を結ぼうと交渉を進めることができました。それと合わせ、世界各地のメーカーが作った部品を徹底的に比較し、より低コストで作られた部品を調達するということが行えたのです。
このようにチャネルリーダーのポジションを確保することは、企業が優位な立場に立つために重要であるということが言えます。
【チャネルリーダーのポジションの変遷の中で】
戦後日本では多くの商品でチャネルリーダーのポジションはメーカーが握っていました。しかし、近年、大量仕入・大量販売を広域に展開する小売業の方へチャネルリーダーはシフトしつつあります。こうした中で、メーカーが採るべき道は2つあると言います。一つはアップルのように同業他社に真似のできないような圧倒的に優れた製品を生産するということです。そしてもう一つが、影響力のある大きな小売業に対抗できるようなチャネル戦略を模索し、チャネルリーダーのポジションを維持するという方法です。
資生堂は二つ目に記載した方法を採ってチャネルリーダーのポジションを維持しようとしています。同社は自らの商品を販売するチャネルをいくつかに分け、それぞれのチャネルで違った商品と販売方法を選択しています。デパートでは資生堂自らが出店して高価格高サービスを維持。大型量販店では広告などを積極的に使ってブランドの認知度を高めて大きな市場を確保しつつ、価格については値引き販売も覚悟した販売戦略を実施。そして、全国に広がる資生堂の系列店には特徴のある独自の商品を投入し、地域の専門店ならではの接客によって顧客を確保します。このような戦略を採ることによって資生堂はチャネルリーダーのポジションを維持しようとしているのです。
日本において、チャネルリーダーは戦前までは卸売業が握っていたそうです。時代の変遷・社会の変化に伴ってチャネルリーダーのポジションに立つ企業は変わっていきます。時流を読み取り成長を続け、そのポジションに立てるようにしていくことが重要だと言えそうです。
(参考文献 「流通大変動 現場から見えてくる日本経済」)