スマイルカーブ

本日は“スマイルカーブ”に関して記載します。

【スマイルカーブとは】

メーカーから消費者までの商品の流れを水の流れに例え、メーカーを上流、中流を問屋、小売業を下流と呼ぶ場合がありますが、このスマイルカーブとは「上流や下流は高い利益率を上げることができるけれど、中流の利益率が低く、上流から下流へ利益率を線で引くと、笑った時の人間の口の形のように両端が少し上がった形の曲線になる」ことを言います。

スマイルカーブは市場が成熟すると、その傾向が強くなります。その理由としては以下のようになります。まず、市場が成熟すると企業間の競争が激しくなり、利益を上げるためには差別化が必要となってきます。上流にある企業は製品で差別化をしやすい立場にあります。そして下流にある企業は、消費者やユーザーに近いところにいるので、ビジネスモデルなどで差別化を図ることが出来ます。しかしながら、中流にある企業ではそのどちらの差別化も難しくなります。

【スマイルカーブの例】

スマイルカーブはいろいろな業界で見られると言いますが、その典型として繊維・アパレル業界があります。上流で世界的ブランドを展開している企業や、東レのように炭素繊維などの素材を提供している企業は高い利益率を上げられます。一方、下流ではユニクロのようなファストファッションに見られるように、消費者の価値を取り込んだビジネスモデルを構築し利益を上げています。

【スマイルカーブ、中流にある問屋の生き残り策】

スマイルカーブ下での市場縮小で、問屋は生き残りをかけて大きく変化していきます。それは業界の再編、大手問屋による地方の中小問屋の吸収、大手問屋間での合併といった変化です。また、問屋の廃業や倒産もありその数を急速に減らしていきます。

合併等による問屋の生き残り策以外に、中流にある問屋が下流の顧客により深く入り込み、高い付加価値を生み出し、利益を上げるという手法があります。アメリカで医薬品や医療機器などの問屋をしているカーディナルヘルスでは社長の“Follow the pill”の指示の下、自分の商品の動きを追うということを実施しました。その中で、ある担当者が医薬品を管理している場所へ行くと、無駄な在庫があったり危険な薬の管理が悪かったりしていることを発見します。それを受けて、同社は薬の容器の提案や医薬品の在庫管理による無駄の削減を提案し、病院の薬品管理の機能を引き受けることとなりました。病院の困っていることの解決策を提案することで、同社は高い利益を上げることに成功したのです。

市場が飽和している時、メーカー・問屋・小売業ともに差別化を図っていくことが重要であるということが言えます。

(参考文献 「流通大変動 現場から見えてくる日本経済」)

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