本日は総合電機メーカーから見る日本企業と韓国企業の強みの違いに関して記載します。
【日本企業と韓国企業 経営スタイルの違い】
最近、経営が日本の総合電機メーカーより、マーケティングに力を入れることによって業績を伸ばしたサムスンやLGなどの韓国企業が注目されることがあります。日本企業と韓国企業の大きな違いは経営スタイルにあり、韓国企業は、自社の技術を活かすという観点よりも売れるモノを作ることを重視する「マーケティング指向経営」であるのに対して、日本企業は自社の技術を使って良い製品を創り出す「モノ作り指向経営」となっています。双方、それぞれに別々の経営スタイルを持っていて、それがマネジメントにも影響を与えることとなっているのです。どちらが良い、悪いというわけではなく、活躍の場が異なるということです。
【マーケティング指向】
マーケティング指向経営は、自社に足りない技術があれば企業買収や他社から技術者を引き抜くことによってマーケットで必要とされる商品を開発するスタイルで、液晶テレビやスマートフォン、タブレットPCなどの消費者向けの商品を作るBtoCの領域に向いている経営スタイルとなります。このことは流行り廃りが激しい、短い時間軸で考えなければならない製品が向いているということに繋がります。なお、サムスンの利益の約半分を稼ぎ出している半導体事業は、大規模な投資が必要であるとともに、価格の上下変動と製品サイクルが短いハイリスク・ハイリターンな事業となっています。
【モノ作り指向】
一方でモノ作り指向経営は、研究開発や製品の改良を積み重ねていくことにより結果を出す素材産業や部品産業のように、長い時間軸で考える製品が向いています。このことはマーケティング指向経営がBtoC の領域に向いているのに対して、BtoBの領域に向いているということとなります。一方で冷蔵庫や洗濯機のような改良を積み重ねていく家電製品も得意分野となります。
【韓国の貿易数字で見ると】
早急に結果を出すことを求める韓国企業は、長い時間をかけて改良を重ねる素材や電子部品などの分野は苦手となります。そのため、韓国企業は日本企業から多くの部品を購入していて、サムスンなどの韓国企業の売上が増えれば増えるほど、日本の部品メーカーの売上も増えるという関係にあります。韓国の2010年の貿易数字を見ると、日本への輸出が282億ドル(2兆2,560億円)、日本からの輸入が643億ドル(5兆1,440億円)と対日貿易では3兆円近い赤字となっています。この対日赤字の主な原因は部品素材の輸入によるものと言われます。
経営スタイルの違いは時流に乗れば結果を残せることになるでしょうし、逆であればマイナスの報道として伝えられることとなります。単純に売上数字だけを見ていると見えてこない部分もあるということが言えるような気がします。
(参考文献 ビジネスモデル分析術)