小売業のM&A

本日は小売業のM&Aに関して記載します。

1月31日にH2Oリテイリングが関西地盤の大手スーパー、イズミヤと経営統合することを発表しました。H2Oは高級スーパー「阪急オアシス」を約70店展開しているので、イズミヤを加えて商品調達力などの競争力を高めようとしています。

小売業が大型店化を進め、企業の成長を成し遂げようとしていく場合、成長に合わせて地理的に市場(店舗)を拡大していくことが必要となります。また、市場を拡大していくに当たり、スピード感を持った出店も求められてくることとなります。小売業の大型店化が進む中で、今回のH2Oとイズミヤの事例のように、M&Aを実施することにより市場の拡大を図る対応が行われています。

例えば、家電量販店業界の事例を記載します。過去、家電量販店業界にはNEBAという組織が結成されていたために競合他社の店舗のある商圏への出店に消極的でした。しかしながら、1990年代末頃からその意識が崩れはじめ、大型店の立地場所の獲得競争や大型店同士の近接立地による競争が激しくなっていくこととなります。企業が成長していくためには出店数を増やしていくことが求められますが、有利な立地には先に競合他社の店舗があるため、新規出店を行うこととなり、激しい競争を招いてしまうこととなったわけです。また、安売りを行うためには、仕入れ価格を低下させることが必要であり、そのためにはメーカーに対して仕入れる商品量を増すことで、競争力をつけていくことが必要でした。

この問題を解決するためにM&Aの手法が採られてきたのです。M&Aを行えば、無駄な競争なくして商圏を拡大することができ、出店スピードを速めることもできます。

また、M&Aを行うにあたって店舗の重複がないようにすることも必要です。例えば、家電業界2位のエディオングループですが、合併前の各会社の店舗が最も多い地域を見てみると、“デオデオ、広島38店舗”“ミドリ、兵庫29店舗”“エイデン、愛知42店舗”“石丸電気、東京9店舗”“100万ボルト、福井7店舗”というように地域が重ならないように合併が進められてきていることが分かります。小売業がM&Aを行おうと思った場合、相手企業の店舗の立地場所も検討材料の一つとなるわけです。

1月20日には、2011年に出店したばかりのJR大阪三越伊勢丹が売場面積を5万平米から半分程度に縮小するという発表がありました。2014年春にあべのハルカスの近鉄百貨店阿倍野店が開業しますので、関西エリアの小売業の競合環境は激化していくことが必至です。M&Aを含めて今後の動きが注目されます。

(参考文献 立地ウォーズ)

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