中国の小売業

本日は中国の小売業に関して記載します。

【中国市場】

中国は14億人規模の人口を有し、人口100万人を超える都市が30以上、50万人を超える都市が40以上あり、小売市場としては魅力的な場所となっています。また、農村部から都市部への人口移動が起こっているようで、住民一人あたりの所得の伸び率が1994年の59%から2004年に66%に伸びたのに対し、農村部では41%から34%へと減少しています。小売業者にとって都市部は魅力的な市場となっているのです。

【外資参入に伴う市場の変化】

1999年時点で中国におけるハイパーマーケットの数は100店舗以下でしたが、それ以降、爆発的に増加していきます。多くの地元企業もハイパーマーケットを展開しましたが、ウォルマートやカルフールなどのような外資系の小売業者には対抗できず、その多くが閉鎖に追い込まれ、ハイパーマーケットの分野では外資系同志の戦いがなされることとなりました。

また、2004年にはWTO加盟に伴う公約を果たすため小売業に対する規制が大幅に緩和され、外資による100%の投資が可能となりました。それにより、メトロは所有権を従来の40%から90%に、ウォルマートが65%に、カルフールが50~60%に引き上げていきます。そして、スーパーマーケット、ハイパーマーケット、コンビニエンスストア業界で競争が激しくなっていきます。それにより地元のスーパーマーケットは強力な外資系小売業と競争するために、より効率的な経営が求められることとなったのです。

一方で、地元の小売業者は立地確保や情報入手などにおいて、政府から優遇を受け、事業展開を進める上で有利になっているそうです。ある現地調査によると、地元の小売業者の売場1平方メートル当たりの売上は外資系の小売業者より70%も高いという結果が出ているそうです。また、政府は外資系の小売業者に対抗できるように、元国有企業の吸収合併を通じた大規模化も進めていると言います。

外資企業が参入し経済発展が促されるのと同時に、政府が自国の小売業を保護しているということでしょう。

【不動産賃貸料の高騰に伴う影響】

不動産の賃貸料の高騰による小売業に対する影響が大きいようです。以前、多くの国有企業は極めて低い賃貸料で有利な立地を閉めていました。しかし、こうした物件の多くも、契約更新を契機として、通常の料金水準に引き上げられました。このことは、企業の収益に大きな打撃を与えています。

また、既存店が契約を更新する場合、賃借料がそれまでの倍に引き上げられます。このような状況だと、利益を予測することが非常に難しくなります。

かつて小売業者は土地を賃借して最小限の投資で急速に成長する戦略を描いていました。ところが、良い立地が少なくなって賃借料も急騰するにつれて、小売業者が土地を購入するようになりました。その流れの中、土地を購入することによる企業の収益の低下に加え、熾烈な他社との競合により、体力の限界に達した小売チェーンが競争力のある企業の買収の標的となっていきました。

【中国の百貨店】

中国で百貨店が誕生したのは19世紀末で、最も伝統的な小売業態です。百貨店は華僑によって始められ、現在、成功しているものも華僑系の百貨店です。百盛はマレーシア系の企業で、トレンド商品を求める中高所得層をターゲットにした、中国最大の百貨店です。太平洋百貨は台湾系の遠東グループの傘下企業で、最も早い時期に中国に進出した百貨店の一つです。

その他、国有企業百聯の傘下にある第一百貨や、北京における地元の大手百貨店であり、16社の完全子会社を持つ王府井百貨があります。また、最近だと2013年10月に仏百貨店のギャラリー・ラファイエットが上海に出店する動きがあります。

急速に発展してきた中国市場は小売業者にとってみても魅力的に映ります。確かに、少子高齢化が始まるまで、市場は魅力的なものだと思います。一方でカントリーリスクがあったり、自由で開放的ではなかったりという部分もあります。全てにおいてそうなのでしょうが総合的に見てどうなのか判断することが必要なのでしょう。

(参考文献 変わる世界の小売業)

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