イギリスの小売業

本日はイギリスの小売業に関して記載します。

【イギリス食品業界の価格競争】

イギリスの食品小売業は「テスコ」「アズダ」「セインズベリー」「Wm.モリソン・スーパーマーケット」4社による寡占的な市場状況となっていますが、各社による競争は非常に厳しく、小売業者は“価格の引き下げ”“プロモーション”“安売り”という環境の中で事業を行っています。

テスコは小売業売上高世界第3位(2010年度)の企業であり、事業開始時はスーパーマーケット業者として事業を始め、最近ではコンビニエンスストア部門の発展と非食品部門への移行にも力を入れています。また国外市場への急速な拡大する成長戦略を採っています。アズダはイギリスで2番目に大きい食品小売業であり、1991年に新たに着任したCEOによる、ウォルマートのEDLPや価格の引き下げなどを模倣する戦略で成長。1999年にはウォルマートに買収されています。

ウォルマートがアズダ買収を買収したことにより、イギリスの食品小売業界では価格中心の競争が行われるようになり、物価が下がったと言います。つまり、業界にウォルマートが参入したことにより、各社による価格競争が始まり、その結果、値引き合戦が繰り広げられることとなったのです。本来、価格競争を仕掛けるのは規模的・体力的に優位な立場にある上位の企業です。しかしながらイギリスの場合、上位企業のテスコが価格競争を仕掛けたのではなく、下位企業のアズダから仕掛けました。アズダは世界一の売上規模を誇るウォルマートの後ろ盾があったからこそ、値引き合戦を仕掛けることが出来たのです。この下位企業から値引き合戦を仕掛けるのは珍しいパターンのようです。

【イギリスのプライベート・ブランド】

イギリスは、ヨーロッパにおいて最大のPB市場で、ヨーロッパ市場におけるPB売上の4割を占めています。また、PB市場では高級化が進んでいて、例えば、テスコの「ファイネスト(Finest)」やセインズベリーの「テイスト・ザ・ディファレンス(Taste the Difference)」などは、イギリスの多くのトップブランドと並ぶものとして認められています。

併せて、多くのメーカーが特定のスーパーマーケットと提携することに価値を見出しています。例えば、P&Gは「フィジーク(Physique)」というブランドをテスコで独占的に流通させていますが、テスコがこのブランドを店内及び消費者向け小冊子で宣伝したおかげで、P&Gは広告費や販促費の経費削減を行うことができたという事例があります。

【イギリスの百貨店】

イギリスの百貨店は小売販売額全体の5%を占めます。国内で最大規模の百貨店グループのジョン・ルイス百貨店や、セルフリッジ百貨店、高級百貨店ハーベイ・ニコルスなどの百貨店があります。価格引き下げの流れの中で、百貨店の高級化戦略が功を奏しているそうです。

また、ハロッズ百貨店は有名で、博物館のような雰囲気の百貨店です。この百貨店はイギリス王室のメンバーから御用達の指定も受けていました。

イギリスの食品小売業における価格競争を見るに、小売業の企業間の競争も国際的になってきていることが伺えます。

(参考文献 変わる世界の小売業)

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