本日はオランダの小売業に関して記載します。
【限られた国土面積ゆえの、小売業の国際化】
オランダはヨーロッパで人口密度が最も高い国であり、長い間に亘って政府が新しい建設地の使用を抑制していたことから、国内での店舗の拡大や拡張が制限されてきました。例えば、オランダのショッピングセンターの開発数は、フランスやイギリスと比べると半分程度だそうです。その様な中、オランダの小売業者は、国内市場での拡大展開の余地が限られていることから、積極的な国際化を進めることで成長の活路を見出してきたのです。
【オランダの小売業の国際化の事例】
オランダ最大の食品小売業者「アホールド」は世界の小売上位250社のリストの中で9位になっている企業です。
アホールドはアメリカで大きな投資を行っていますし、2005年にメキシコとアルゼンチンから撤退した後、チェコ共和国、エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、スロバキアで店舗運営を行っています。
非食品小売業としては、ヴェンデックスがあり、こちらはベルギー、フランス、ドイツ、デンマーク、ルクセンブルク、スペインで事業を展開しています。
【オランダ小売業のロビー活動】
オランダは世界で最も法的規制が厳しい国です。膨大な数の法律と規制が、商業活動のあらゆる側面に影響しています。一方で、オランダ人は“合意に達する”ということが得意な国民だそうで、主要な小売団体が常に一致協力しているそうです。小規模小売業者の団体NWRと大規模小売業者の団体RND、二つの主要小売団体は専門のロビー集団を結成し、「小売店舗へのアクセスのしやすさ」「小売業に課される地方税の条件改善と種類減少の交渉」「万引き、強盗、破壊行動など、小売ビジネスに被害を与える犯罪行為」「小売業の為の支払制度や金融制度に対する料金、インフラ、規制に関して」といったことについてのロビー活動を行っています。
オランダの小売市場に拡大の余地が少なかったことから、オランダの小売業者は国際化を進めてきました。所与の条件の違いが小売業の発展に大きく影響する一つの例と言えると思います。
(参考文献 変わる世界の小売業)