フランスの小売業

本日はフランスの小売業に関して記載します。

【小売業の国際化が進んだ国 フランス】

フランスは世界でも小売業の国際化の進んだ国の一つであり、フランスのハイパーマーケット業態は世界中に拡がっています。ハイパーマーケットとは、衣食住全てを扱う郊外立地の倉庫型・集中レジ方式の総合スーパーの一つの形態のことをいいますが、ハイパーマーケット業態を用いた最初の店である「カルフール」は世界で2番目に大きい小売業で、2010年度現在で出店国数33か国に展開しています。同じくハイパーマーケット業態を用いている、世界15位の売上を誇るオーシャンは13か国に出店しています。

【フランスの小売業の国際化が進んでいる訳】

フランスの小売業が国際化している要因としては以下のような点が挙げられます。

まず、フランスの75%の人々が都市部に住んでいるのですが、そのような状況の中、市場がすでに飽和していると考えられています。そのため、フランスの小売業者の方針として、自国では新たに店舗を開かず、利益の出ない自国の店舗はスクラップする一方で、店舗を立ち上げるコストが低く、競争の激しくない外国市場へ進出するという方向になっています。

また、フランス政府の小売業に対する規制が理由として挙げられます。

1973年以降、フランスではロワイエ法という法律が施行され、すべての小売業者は認可を得る必要があります。この法律は20年に亘って運用されました。この規制は最近規制され、認可が必要な店舗面積の条件が引き下げられてはいます。併せて、フランスでは小売価格設定と小売価格の値引きを制限する法律も存在します。こうした状況がフランス小売業の国際進出を促したのです。

【ハイパーマーケット カルフール】

前述したように、カルフールはハイパーマーケット業態を用いた初めての小売業者です。初めはアメリカ市場に進出したものの成功せず、撤退を余儀なくされていますが、その後、中欧やラテンアメリカなど、近代的な小売業が確立されていない国々に集中して出店し、成功を収めています。

カルフールは多国籍の事業展開が特徴的です。当初は、経営を分権化システムによって、国際的に事業を拡大してきましたが、1994年以降、この戦略を翻し、中央集権型の運営に転換します。これにより、大規模な共通の品揃えができ、カルフールにとってより有利な条件で仕入れを行うことが可能となりました。

【フランスの百貨店】

世界初の百貨店「ボン・マルシェ」がパリに誕生してから、130年間に亘ってフランスは百貨店分野のリーダー的な存在でした。しかしながら、現在では伝統的な百貨店は困難な時代を迎えているといいます。この理由としては、百貨店がハイパーマーケットのように自らの物流システムを効率化してこなかったということが挙げられます。そして、ハードディスカウンター(小売業の業態の一つで超安売り業態のこと)が市場に参入し、同じ商品をより低価格で販売を始めたということが挙げられます。

フランスは百貨店とハイパーマーケットという業態を生み出した国で、現在、その業態は世界各地に拡がっています。近年ではオーシャンが「クロノドライブ」というドライブ・スルーの店舗を展開するなど、新たな小売システムを創り出しています。国家の規制がある中、進化を遂げるフランスの小売業には興味深さを感じます。

(参考文献 変わる世界の小売業)

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