本日はキャラクタータイアップ、銀座松屋「エヴァンゲリオン展」の事例に関して記載します。
【銀座松屋「エヴァンゲリオン展」】
2013年8月7日~26日にかけて銀座松屋で「エヴァンゲリオン展」が開催されました。この催は庵野秀明氏と制作会社が監修していて、最新作「Q」を含む生原画や設定資料が初公開されるなどしました。また、シャワー効果を高めるべく、催と売場が連動し、エヴァ展に来場した顧客を各フロアへ誘導する施策を実施しました。
3階の婦人服売場や5階の紳士服売場にはエヴァの登場人物の等身大フィギュアを展示し、加えてキャラクターをイメージしたコーディネイトの提案も行いました。アスカの私服のコーディネイトを展示するセレクトショップ「リタズダイアリー」の売場の前には男性客が訪れ、シンジやカヲルの私服コーディネイトを展示する紳士服売場の前には女性客が訪れる、といった具合に、普段は行かない売場へ誘導する仕掛けを凝らしました。
他にも、屋上「美しくなるビアガーデン」では作品の中に出てくる赤い海をテーマにしたカクテル「RED OCEAN」を販売したり、食料品フロアではネルフのロゴ入りクッキーの販売を行ったりしました。各フロアの飲食店においても、作品をモチーフにした限定メニューの提供を行いました。
このように、催と売場が連動し、8階催会場から各階への顧客の回遊性を高めたのです。
【店内のエヴァファン有志がチームを組み、知恵を出し合う】
このエヴァ展では、フロアを超えて催と売場が連動しただけでなく、この催で獲得した新規顧客が、その後も継続的に来店してもらえるよう、会期中5000枚の数量限定でエヴァデザインのポイントカードを発行しました。このように、売場や催だけでなくカード担当も加わり、部門の垣根を超えてエヴァ展を盛り立てたのです。
このように様々なセクションが連携できたのには、直接の担当部署であるコンテンツ事業課だけでなく、他部署からエヴァファンを募集したことにあるようです。この時、15人の有志が集まったのですが、彼らは店舗外壁を催期間中『エヴァ初号機』の色にライトアップするというアイデアを出し、実施に移しました。ちょっとしたことのようにも感じられますが、ファンにとっては嬉しい演出だと思います。
【エヴァ展の結果】
エヴァ展の実施により、期間中の入店客数は前年同月比12%増、銀座店全体の売上は9%増と店全体の売上・入店客数にも大きく寄与。催単体で見ても、エヴァ展来場者数は20日間で延べ15万人と同店催史上2~3位という大きな成果を出すことに成功しました。来場者層も10代~70代と幅広い顧客層を集客できたのですが、特に同店の平常時に比べて若年層の集客に成果を上げることが出来ました。
同店ではエヴァ展の前にも高橋留美子氏の展覧会や「赤塚不二夫展」「ベルサイユのばら展」を実施してきました。サブカルコンテンツの催を行う際には、瞬間風速的に流行しているコンテンツよりも、各世代にコアファンを有し、顧客層の拡大が期待できるものを選んでいるといいます。
キャラクターとタイアップするメリットの一つに、そのファン層に狙いを定めてアプローチできるということがあります。既存の顧客層と異なるファンを持つキャラクターと組めば、新規顧客獲得につなげることが出来るのです。銀座松屋がエヴァと組むことによって若年層の新規顧客の獲得につながることができるということです。
また、このエヴァ展においては催会場内に「ローソン松屋銀座店」と題し、過去にローソンが販売したオリジナルエヴァグッズなどを展示していますから、その柔軟な発想力も成功の秘訣だったように思われます。
(参考文献 販促会議February 2014)