スリーエム 15%ルール

本日はスリーエム、創造性と革新性を生み出す“夢想の時間”に関して記載します。

【15%ルール 社員が夢見る時間】

スリーエムはアメリカにある化学・電気素材メーカーで、サンドペーパーやマスキングテープ、ポスト・イットなどを開発してきた企業です。この会社には1948年に決断が下された、「15%ルール」という、有名な企業方針があります。これは社員が勤務時間の15%を自分の好きな研究などに充てても良いというもので、同社の文書で「スリーエムの技術関連従業員には、その配置にかかわりなく、就業時間の15%を上限として、日々の仕事に囚われないプロジェクトに時間を充てることを推奨する」というものがあります。この方針により同社は様々な革新的な商品を生み出しています。その中の一つとして、記録的なヒットとなった“ポスト・イット”があります。これは同社の研究員が聖歌隊で歌の練習をしている時に、聖歌集からしおりが何度も落ちたことが技術開発のヒントとなっています。

【スリーエム 15%ルールへの歴史的背景】

この15%ルールの考え方は、その考え方が評価されるようになる以前から、スリーエムに企業風土として根付いていたようです。スリーエムの創業者たちは自分たちの会社を1902年に創業した際「ミネソタ・マイニング&マニュファクチャリング」と名付けましたが、創業者の中に採掘(マイニング)や製造(マニュファクチャリング)をした人は誰もいなかったと言います。創業者たちは当初、コランダムと言われる硬度の高い鉱石を採掘することを目的としていました。しかし、2年に及ぶ作業と投資の結果、自分たちが採掘したのはコランダムよりもずっとやわらかい斜長岩という鉱石だったと気づきます。そこで彼らは鉱石の販売をあきらめ、砥石車の製造に取り掛かりますが、これもそもそも知識を持っていなかったために失敗。続いてサンドペーパー製造に目標を変えます。この際、サンドペーパーに関しても創業者たちは知識を持っていませんでした。その後、サンドペーパーのサンプルをリチャード・ドリューという社員が地元の車体塗装工に持っていったときに、車を塗装する際に周囲をマスキングするテープの品質の悪さに作業員たちが怒っていることを目にします。それを受けてドリューは、上司からサンドペーパーの仕事に戻るように言われつつも、仕事の合間を縫って新しいテープの開発を続けました。そして1925年にマスキングテープが完成。同社のロングセラー商品となったのです。

スリーエムは創業当初からお金を儲けるための新たな方法を探し続けてきました。それに加えて、社員が上司に逆らって自分が情熱を傾ける製品の開発に打ち込むと、その商品が同社の成功を導くということがあったのです。

【内的なモチベーションの重要性】

近年、創造性と革新性に関する研究が盛んです。その中で『創造性や革新性を引き出すには、外的なモチベーションよりも内的なモチベーションの方が大切である』という発見がなされています。また、自分の仕事が誰かに評価されることを知りながら作業する場合、ただ自分のためだけに仕事をする場合よりも創造性が下がることが、多くの研究から明らかになっていると言います。スリーエムのリーダーたちは、上記のようなことを経験的に体得していたようです。

この15%ルールは現在では他の企業にも取り入れられています。例えばグーグルでは、技術者は勤務時間の20%を個人的なプロジェクトに充ててもよいとしています。

スリーエムの例は“内的なモチベーションをいかに高めていくか”ということが重要なポイントであるという証左のように思われます。

(参考文献 ありえない決断)

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