本日は『WEAR』とショールーミングに関して記載します。
ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイが10月末から、スマートフォン用アプリWEARの提供を始めました。WEARはユーザーが気になった商品を店頭で見つけた際、スマホでWEARを立ち上げ、値札についているバーコードをスマホで読み取ると、その場で商品情報や様々なコーディネート画像を見ることができます。また、店頭での購入を決断しなかったとしても、閲覧履歴を残しておけば、いつでもどこでもスマホを使ってブランドのECサイトかZOZOTOWNから商品を購入することが出来ます。また、ZOZOTOWNで服を購入した人に、購入完了画面でその商品をWEARに登録するように促される仕組みになっているのですが、登録した商品はすべてWEAR上の仮想クローゼットに収納され、ここから服を選ぶと、その服を使ったコーディネートが表示されるようになっています。消費者サイドから見ると、自分が実際に見て気になっていた商品をいつでもどこでも買えるというメリットや自分がどのように服をコーディネートしようか参考にできるというメリットがあります。スタートトゥデイによるとWEARのサービスを開始した10月末以降、数日でダウンロード数は10万を超えたと言います。
アパレルブランド側のメリットとしては、WEARを使って店頭で様々なコーディネート画像を顧客に見てもらうことが出来るので、購買意欲を高めることができます。また、店頭での購入に至らなくても、あとから顧客が買ってくれる可能性もでてきます。店頭の販売員が個人単位で公式アカウントを持ち、自らもコーディネート画像を投稿することが可能となりますので、販売員のモチベーションが高まることも想定されます。
上記のようなWEARのメリットがある一方で、商業施設側がその導入を避ける傾向もあるようです。理由としては、商業施設がテナントから得る賃料は、通常、固定額に加えて売上高に応じた歩合となっているため、店舗に来た顧客が店頭で商品を購入せずネットで購入してしまうと賃料収入が減ってしまうことからです。現在、セレクトショップなど約200ブランドが参加したものの、テナントが集まる商業施設で参加表明をしたのはパルコの一部店舗のみ。渋谷や池袋などの4店舗で約半年間(2013年11月8日~2014年4月30日)の実験的な導入となっています。
商業施設としてはWEARによるショールーミングを懸念しているということです。ショールーミングとは、消費者が小売店の店頭で購入を検討している商品実物を手に取って確認し、そこで商品を購入せずにより安いECサイトを探し出して購入する買物手法のことを言います。アメリカで先行して見られている現象で、家電・AV機器など型番商品を扱う家電量販店などはその影響を受けやすいと言います。日本においてもこの現象は現れていて、インターワイヤードという会社が2013年4月に発表した調査によると、同社モニター回答者約5000人のうち、ショールーミング経験がある人は42.1%にもなるようです。またそのうちスマホ・タブレット利用者に限ると、その割合は50.1%と過半数を超える状況のようです。WEARのように、店頭で商品のバーコードを読み取り、ECサイトの商品価格を見ることで、店舗での価格とECサイトでの価格を比較できるスマホアプリが充実しているようで、今後より一層、ショールーミング化が進むことも想定されます。
WEARの登場は、今の世の中がネットとリアルが融合してきている例の一旦だと思われます。ウェアラブルデバイスが今後社会に普及するでしょうから、ネットとリアルの融合は今後加速していくと思われます。
(参考文献 「週刊ダイヤモンド2013 12/7」 「最新マーケティングの教科書」)