本日は価格プロモーション(値引き、特売)を行う際の課題に関して記載します。
店舗内で直接的に顧客に購買を働きかけるマーケティング活動を、インストア・プロモーションと言いますが、その手法の一つに価格プロモーションというものがあります。価格プロモーションは、一定期間、定番価格から価格を下げること消費者に割安感を与えることを言い、つまりは“値引き販売”“特売”のことを言います。時間を限って商品の価格を下げて「今買えばお得」「今買わないと損」という消費者の購買意識を高めるのです。そのようなことから、価格プロモーションは売上を拡大する手法として、強い短期即効性を持っています。しかしながら、この方法を採ることには注意しなければいけないポイントがあります。
ポイント1 内的参照価格の低下
値引きによって低価格の値段が消費者に記憶されてしまい、元の定番値段に戻ったときに消費者がその価格で商品を購入すると損したという感覚が強くなり、定番価格での購買が阻害されてしまいます。そのため、延々と同じレベルの価格プロモーションを実施しなければいけなくなる危険性があります。
ポイント2 ブランド・イメージの低下
消費者は、過度な値引きが実施される商品に対して、「品質が悪い」「人気がない」というイメージを持つようになります。
ポイント3 需要の先食い・先延ばし効果
消費者による需要の前倒し、買いだめが起こり、特売時への販売の集中が起こる可能性があります。そのため、長期的に見て平均売価を引き下げる可能性があります。また逆のパターンとして、値引きを待って消費者が購買しないということもあります。
ポイント4 需要の共食い効果
同じカテゴリー内でAというブランドから値引きを行っているBというブランドへ買われる商品がスイッチしただけという、ブランド間での顧客の取り合いが起こっただけという結果につながることがある。
ポイント5 営業利益からの観点
値引きにより営業利益の低下が考えられます。
店内での販売促進活動(インストア・プロモーション)は値引き販売以外にも様々ありますが、どうしても値引き販売に偏る傾向があります。値引き販売を行う際には上記のようなデメリットが発生することを踏まえておくことが必要そうです。
(参考文献 インストア・マーチャンダイジング)