本日は2014年、ネットや先端技術に絡んだ商環境の変化の予想に関して記載します。
【ビッグデータ】
ビッグデータはいろいろと話題になってはいますが、未だ市場黎明期にあります。調査会社IDC Japanが2013年に約500社を対象に行った調査では、ビッグデータの認知度は74.8%(企業の情報システム部の回答)に達しているものの、すでにビッグデータを提供、または利用していると回答した企業は9.8%にとどまっているそうです。しかし、以前よりもビジネスが具体化していることも事実です。NECは、2014年以降、「商品等の需要予測システム」が使い方として大きく伸びる一つだと予測しています。需要予測システムとは、コンビニやスーパーなど小売業が使うシステムで、季節や天候、時間帯や立地などの条件がその商品の売れ行きにどれだけ影響を及ぼすかを定式化し、商品需要を予測し、在庫管理の精密化につなげていくものです。NECがミニストップと共同で実証実験を行ったところ、従来比で約30%もの廃棄ロス削減につながったと言います。このことは食料品を取り扱う小売業にとっては大きな話だと思います。2014年以降も継続的に、ビッグデータの活用は拡大していくことが想定されます。
【ウエアラブル端末】
2013年、スマホの次に来るデバイスとして注目を浴びたウエアラブル端末。腕時計型端末としてサムスン電子の「ギャラクシー・ギア」、ソニーの「スマートウォッチ2」が投入されています。また眼鏡型端末としてグーグルの「グーグルグラス」の試作品が13年、開発者らに提供されています。現状、ウエアラブル端末でヒットしているものは健康管理に特化した製品などごく一部となりますが、14年も激しい開発競争が繰り広げられると想定されます。この流れが進んでいけば、今後ますます、ネットとリアルの融合が進んでいくことは間違いないように思われます。
【インターネット通販VS家電量販店】
現在、家電量販店業界は業績が急速に悪化してきています。要因の一つとしては、薄型テレビやAV機器、パソコン、デジタルカメラ、携帯電話・スマホなど情報家電の販売が大きく落ち込んでいることにあります。4Kテレビも登場してきていますが、まだまだコンテンツが不足しているようで、まだまだこれからの状態です。また、インターネット通販との低価格競争が激化してきていることも要因です。JMR生活総合研究所の推定では、情報家電の売上のうち、楽天やアマゾンなどのインターネット通販の売上は9000億円に達すると見込まれ、その割合は現在11%。その売上高はコジマを買収後のビックカメラの売上高を上回る規模です。最近、ショールーミングという消費行動が注目されていますが、店頭で商品を見て、購入は価格の低いネットで買うという行動も常態化してきています。厳しい競合環境の中、現在の上位グループのヤマダ電機やエディオン、ビックカメラ、ケーズHD、ヨドバシカメラを軸に、下位グループをさらに吸収していくということが今後想定されます。
【楽天VSヤフー】
ヤフーが2013年10月7日にネット通販サイト「ヤフーショッピング」の出店料と販売手数料を無料化すると発表しました。それにより2020年3月期までにネット通販取引高で国内トップを目指しています。無料化戦略の出足は上々のようで、既存の出店者数2万に対して、11月末時点で出店の申し込みは8万件という、好調な滑り出しです。ヤフーが対決相手とするのは楽天なのですが、楽天は出店料無料化の動きには追随せず、現状の手数料モデルを維持しています。2014年、ヤフーの手数料無料化の戦略により、インターネット通販業界の楽天とヤフーに激しい戦いが繰り広げられるのかもしれません。
今後、ビッグデータの活用やウエアラブル端末の登場により、ネットとリアルはその境界線をより曖昧にしていくと思われます。そして、その流れの中で、将来的にO2Oの戦略に変化が出てきたりするとも想定できます。また、ショールーミングの動きが示すように「コモディティ化したモノならば安いところで購入すればいい」という消費者行動が増えてくるようにも思われます。情報技術の進歩に合わせて、今は様々な変化が訪れている時代なのでしょう。
(参考文献 東洋経済12/28-1/4新春合併特大号 エコノミスト12/31・1/7迎春合併号)