2014年の百貨店・スーパー・コンビニの予想

本日は2014年の百貨店・スーパー・コンビニの予想について記載します。

【百貨店・スーパー】

百貨店業界は2013年初めから高額品(美術・宝飾・貴金属)の売上高が目立って増え、3月には前年同月比15.1%と、アベノミクス効果の恩恵を受けました。高級ブランド品の販売も好調に推移しました。一方でスーパーに関しては衣料品を中心に販売不振が続きました。このような流れの中で2014年の小売業界を予想するカギを握るのが4月からスタートする消費増税となります。

前回1997年4月の消費増税の時には、百貨店では売上高が前年比1.8%増から1.9%減、スーパーでは前年比0.2%から2.8%減という結果になりました。14年の消費増税に関しても、その影響により百貨店やスーパーでは減収になる可能性がありますが、百貨店では人件費の削減や自主企画品の拡充などによるコスト構造の見直し、スーパーでは出店数や改装店数の拡大やPB商品の品数拡充による粗利の改善を行っていくことで、乗り切っていこうとしています。

円安で食品、衣料品を問わず調達価格は上昇基調にあります。また、出店や改装のための建築費用も高騰を続けています。また、増税により消費者の購買意欲の低下が懸念されることから、小売店が消費増税による税金の上乗せ分を、消費者へ全て価格転嫁するというわけではないため、その分の負担が加わることが想定されます。また消費増税に伴うシステム費用も発生します。

上記のように、消費増税に伴い小売業界はコストアップ要因に見舞われることが想定されます。それに伴って、2014年、体力を欠く地方や小規模の企業が大手企業に飲み込まれていくことも可能性として想定されるようです。

【コンビニ】

2013年はセブン‐イレブン、ファミリーマートが過去最高の1500店の出店を発表し、シェア争いが一段と加速しました。中堅以下では不採算店舗を閉め、規模を縮小せざるをえないチェーンも出てきました。また、夏には南九州でサークルKサンクスのエリア会社がローソンに鞍替えするなども起こっています。

2014年に関してもセブン‐イレブンは1600店、ファミリーマートも前年並みの出店、13年には出店を控えていたローソンも出店を拡大するという予定になっています。中堅以下のチェーンでは大手への鞍替えの動きも続くことが想定され、コンビニ同士の競争の激化が予想されます。

2013年、既存店の売上に関してはセブン‐イレブンのみプラス成長を維持しました。これはセブンカフェ(100円のカウンターコーヒー、年間4.5億杯を売り上げた)やPB商品を軸に客足を伸ばしたことが功を奏したようです。14年は消費増税に伴う節約志向の高まりが想定される中、新たなサービスや商品で集客力を強化していくことが必要となってきます。そのためにカギを握っているのがシニア対策です。ローソンはミネラル分の多いカット野菜や糖質の少ないパンなど、健康価値を重視した商材で勝負に出ています。ファミリーマートは次々と地方のドラッグストアと提携し、医薬品や日用雑貨を扱う一体型店舗を増やしています。シニア対策として注目される宅配ビジネスではセブン‐イレブンが一歩先んじており、宅配と合わせて御用聞きも行い、シニア層の囲い込みを着々と進めている状態です。

一方で、コンビニに人手不足の問題が発生しています。大手を中心とした大量出店に加え、店内の品揃えが増え、サービスも多様になった結果、パートやアルバイトなどの人手不足が深刻になっているようです。14年はこの傾向が一層強まることが想定され、この問題に対してコンビニがどのように対応していくのかということも課題となります。

2014年の小売業界の趨勢の最大のポイントは消費増税だと思われます。業界内の声としてアベノミクス効果の持続に期待する声も挙がっており、97年の時の増税ほどダメージがないのではないかという見方もあるようです。消費増税後の景気減退への対策として追加の金融緩和が行われると思いますので、そうなれば、売上高としては影響が思ったより少なかったという結果になるかもしれません。しかしながら、円高やシステム変更等に伴うコスト増があるため、少なからず利益面では影響が出てくると思われます。そういったことを踏まえると小売業界においてはアベノミクスの効果に頼るのではなく、さらなる体力の強化が求められるのかもしれません。

(参考文献 週刊東洋経済12/28-1/4新春合併特大号)

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