ニトリの事業モデル「製造・物流・小売業」に関して

本日はニトリの事業モデル「製造・物流・小売業」に関して記載します。

ニトリホールディングスは、2000年2月期には売上高489億2200万円・店舗数50店舗でしたが、2011年2月期には売上高3142億9100万円・国内店舗数237店舗と成長を遂げた家具専門店業界のトップを走る企業です。ニトリは近年、自社の事業モデルを「製造・物流・小売業」と表現していますが、そのことに関しては以下のような背景を受けてのものとなります。

【小売業】

ニトリはホーム・ファニシング・ストア(HFS)という、家具、カーテン、カーペット、家庭用品など住生活を構成する商品を幅広く品揃えし、顧客が自己の好みに応じて各部屋の色・柄・素材・サイズ・イメージをトータルコーディネートできる機能を提供する、新しい小売業態を展開しています。同社はアメリカの小売業界の動向から、伝統的な家具店からHFSへ業態転換することを決めたのですが、そのことにより既存の家具店やホームセンターとの直接的な競争を回避する好結果を生み出せました。

【製造】

HFSから更なる経営の進化は「安さ」の追求から生まれました。仕入先である問屋だけでは価格の引き下げは容易に実現できなかったことから、各地の家具産地を訪問し、メーカーの開拓に全力を上げます。しかし、産地との取引拡大にも商品原価引下げには限界がありました。人件費の高い日本で手工業的な体質の家具メーカーの費用削減努力は限界に達していました。なおかつ桐ダンスなど伝統的な家具の需要の減退に直面した産地メーカーの経営は急速に悪化していました。そのような状況下、1980年代半ば、取引先の旭川の高級家具メーカー・卸のマルミツが経営不振となります。それを機にニトリはマルミツと業務提携。2000年8月に完全子会社化。マルミツは家具製造と海外生産に関する深い知識と多様な経験を持っていました。それを活かし、ニトリとマルミツは協力し、海外工場の稼働による低価格で商品を提供することを実現します。ニトリの海外輸入商品の対売上高比率は1989年2月期の3%弱から、2011年同期には約80%に急増します。海外の工場では、熟練の家具職人がノミやカンナを使って作っていた工程を分け、それぞれの工程を標準化された単純作業に分解し、誰でも早期に仕事を覚えられるようにしました。そして単純な労働作業により、品質にバラツキのない部品をつくり、組み立てられるようにしていったのです。

【物流】

商品在庫型の中核物流センターが札幌、埼玉、横浜、神戸、福岡の5か所に配置され、各店舗への納品、及び購入した顧客に商品を届ける各地区の配送センターへ(2009年1月現在74か所)の納品を担当しています。物流網の整備をすることで、各店舗に対する在庫補給と顧客が購入した商品の宅配サービスを円滑に進められるようにしています。各物流センターは自社開発商品をはじめとした直輸入品の集荷機能も担っています。その受け入れコンテナ数は年間7万4000個。単独企業では日本最大級の規模となっています。

また、2007年5月に広東省に建物面積5万3000平方メートルの物流センター、2008年に上海に9万8400平方メートルの大規模物流センターを開設し、中国国内にある多数の協力工場の商品を集荷し、日本の物流センターへ一括の混載出荷体制を整えました。日本の小売業界全体を見渡しても、このような物流システムを持つ企業は見当たらないと言います。

独自の商品展開、低価格路線、効率的な物流網の整備、その3つが連携し、家具専門店業界売上ナンバーワンの地位を支えているようです。大きな売上を作っていく(顧客から支持されるサービスを提供できるようにする)には、しっかりとした仕組みを作り上げていくことが重要そうです。

(参考文献 日本の優秀小売企業の底力)

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