本日は2014年の世界経済予測に関して記載します。
【アメリカ】
アメリカにおいては、緩やかな回復トレンドが継続し、14年は2%後半の成長が予想されています。リーマン・ショックの影響により2009年10月には失業率が10.0%を記録しましたが、2013年11月は同7.0%と低下。13年8月以降に生まれた雇用は月20万人を超えていると言います。個人消費は雇用・所得環境の改善に加え、株価や住宅価格などの資産価値の上長によって増加基調が続いています。直近の問題としては財政問題で、14年2月の政府債務上限問題で、米国債が債務不履行に陥れば、米国債投資や米国債を担保とする取引が影響を受け、金融機関などの資金繰り問題に発生する可能性があります。この問題に対する動きが本格化するのが2月中旬から3月初めとなります。
一方、FRBが2月初めにイエレン新体制に移行します。13年にFRBは、金利上昇の見極め、財政問題、景気回復への自信喪失といった理由から、QE3縮小を見送ってきました。しかしながら、上記のようにアメリカ経済は回復基調にあることや、財政の目途がつく財政問題にめどがつく、14年3月までにはFRBがQE3縮小に踏み切ると予想されています。
【欧州】
ユーロ圏経済は2011年後半以降の景気後退局面から脱しました。金融市場が安定化し、家計・企業のマインドが改善し、個人消費や設備投資の持ち直しに繋がりました。また、海外経済の復調やユーロ安効果による輸出回復も景気を支えました。国別でみると、ドイツが力強さを増しつつあるほか、南欧諸国も景気後退を脱し、持ち直しに転じつつあります。欧州委員会の集計によると、ユーロ圏全体の緊縮規模は12年GDP比1.2%、13年同0.7%で、14年は同0.2%と更に縮小される見通しです。緊縮政策が緩和されれば、国内民間需要への逆風が和らぐこととなります。
14年もユーロ圏の景気の回復は続く見通しですが、通年では1%程度の低成長にとどまると予想されています。
【中国】
中国の14年のGDP予想は7.2%~7.5%。習近平主席が率いる新指導部が13年に発足していますが、基本的に引き締め気味の経済政策を推進しています。FRBのQE3の縮小により中国経済も影響を受けることが想定されます。
【新興国】
これまで、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)への成長期待とリーマン・ショック後の世界的な金融緩和によって、新興国へ海外から資金が流入するという状況でした。新興国はその海外資本をテコに背伸びをした成長が可能でした。ところが、アメリカのQE3縮小の動きに伴って状況は一転しています。
ブラジルとインドは資金流出圧力が高まり、自国通貨安と輸入インフレに見舞われました。ASEANも順風満帆ではなく、インドネシアは通貨ルピアが急落、高インフレになっています。フィリピンは台風30号の被害があり、外資誘致の障害になる可能性もあります。タイは与野党の対立が激化し、都市部では大規模なデモが続き行政がマヒしています。
14年はQE3の縮小に伴って、世界的な金余りの状況が解消され、新興国のありのままの実力がむき出しになる年と予想されます。
QE3の縮小がどう影響していくのかが、2014年の世界経済の大きなポイントの一つとなりそうです。特に多くの企業がアジアへの進出を行っていますが、カントリーリスク含め、どうリスクヘッジをかけていくのかが重要なポイントとなると思います。
(参考文献 週刊東洋経済12/28-1/4新春合併特大号 週刊エコノミスト12/31・1/7迎春合併号)